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カレーにこれ入れる 第1113話・2.20

「今日は何にしよう。ぱっとしないな。じゃあカレーでいいか」そのあと俺は席を立ち上がる。立ち上がってあるものを探した。それはレトルトカレーである。「あれ?このあたりにあったはずなのに」俺はいつも入っている戸棚にレトルトカレーが無いことに気づく。いつもなら食べるものに困らないようにレトルトカレーを常備している。もちろんカップ麺や袋麺もだ。このなかで後者のカップ麺や袋麺はある。だがカレーが無い!レトルトのカレーをいくら探しても見つからないのだ。
「でも、麺の気分じゃないんだよな」俺は決心した。どうしてもカレーが食べたくなって仕方がない。だから買いに行くことにした。

 俺は簡単な身支度を終えると、家を出る。俺は家を出て向かった先はスーパーであった。コンビニでも良かったが、スーパーの方が種類が多い。そのうえ、俺の家からコンビニとスーパーはほとんど同じ場所にある。俺はスーパーの営業時間外であればコンビニを使うが、そうでなければスーパーに行く。今回のようにレトルトカレーを買うとなれば、断然選択肢が多いからスーパーを目指す。

 こうしてスーパー内にある食品売り場を目指す。「さてとどのレトルトカレーにしようか?」俺はスーパーに入って、その売り場に来てから考える。昔ながらの定番の物から、こだわりがパッケージからも伝わるものまで様々だ。「今日はこれにしよう」と選んだのは、定番とこだわりのちょうど真ん中あたりのポジションにあるといっていいアイテム。俺はこのアイテムは過去に食べたことがある。そんなにこのアイテムのファンではないが。

 このまま俺は店を出ようとした。ご飯はあることを確認しているからかえってこれを温めればすぐにカレーが食べられる。だが俺はここで突然足が重くなった。ふと周りを見ると、他の食品売り場がある。
「せっかくカレーを買いに出て来たしな」と思って俺はついでにほかの食品も買うことにした。しかし、よくよく考えれば、これはスーパーの戦略にまんまと引っかかったのかもしれない。だが俺はやはり何かを買いたくなった。とはいえ、何を買うのかなんて計画も何もない。「まあ見て考えよう」肉のコーナー、野菜のコーナー、魚コーナーそれから加工食品、酒類といろんなコーナーがある。そんなコーナーを目的もなく呆然と歩きながら眺めていたが、このときふと俺の中で面白い発想が浮かんでくる。「そうだ、カレーの中に何か変わったものを入れてみよう」と。

 俺はようやく目的が見つかったのか、水を得た魚のように元気になる。さてカレーに何を入れようかと思ったが、肉やジャガイモなどと言った定番物を入れてもつまらないと思った。「もっと、この際だから普通はあり得ないものを入れてしまおう。なあに、俺ひとりで食うもんだし、失敗は恐れない。むしろ成功したら、ネットのサイトに紹介して自慢してやるぞ」

 そうなると俺の選択肢は一気に狭まった。通常カレーに入れないものでかつ、想像を絶するものを探せばよいことになる。少なくともスーパーで普通に売られているもので毒はないし、まさかカレーのルーと化学反応を起こして毒になることも考えにくい。
 
「食感の問題と、味の問題だけだ。意外カレーは何でも行けるのではないか?」俺は奇抜さを求めようと食品を見るが、見る食品どれを入れてもカレーに入れても違和感がない気がする。辛い物を入れても甘いものを入れてもカレールーの茶色い半液状のソースが、全てを受け入れてくれそうな気がしてならないのだ。

「カレーはうどんにも、パンにも漬物にも合うからな。ウームどうしたものか、いやいや、こうなった以上、ありえない食材を意地でも探すぞ」俺はこだわった。もう俺の頭の中では最強レベルの奇抜な食材をカレーに入れて、それの味を自ら検証し、その結果をSNSに乗せる。その事しか考えていなかった。だが考えれば考えるほど出てこない。困ったものだ。

 俺は時計を見た。もうここにきて30分近くが経過している。もし自宅にカレーのレトルトがあれば、遠の昔に食事を終えているはずの時間。なのにカレーが無くてスーパーに来たばかりか、それに加えて何を入れようかと迷ってしまうとは...…。
「ええい、もう適当に買ってしまえ!」俺は心中で叫んだ。こうして小走りに売り場を見る。もう考えても無駄直感で選ぶしかない。でなければいつまでたってもご飯食べられない。お腹からあたりから空腹を告げる音がした。もう時間がないのだ!

こうして俺はある食材をレトルトカレーに追加して購入した。家に戻りレトルトカレーを温めている間、その食材を細かく刻んだ。ちょうどレトルトカレーが温まったので、ご飯を皿に入れる。そしてその刻んだ食材を乗せると、その上からカレーのルーをかけた。

「さて食べよう」俺はようやくスプーンを聞き手に持ちカレーライスを口に含んだ。「なるほどこういう味になるのね」俺は食べながら納得する。だがこの食材をカレーライスに入れたことについてSNSに紹介するかどうかは、迷った。ではいったい何の食材を入れたのか?それは想像にお任せしよう。


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シリーズ 日々掌編短編小説 1113/1000
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