名家の娘 第882話・6.24
「うむ、間違いない。流石は我が一族の娘である」娘の父親は威厳のある声でそこまで言い切ると、笑顔になる。そのあと父親は軽く咳ばらいをすると、この家の歴史について延々と語り始めた。
要約すれば父親は代々伝わる古い商家である。蔵に残されている記録によれば、室町時代、足利義満の時代にさかのぼるのだという。だがその後迎えた戦国時代は戦続きで商売どころではなかったようだが、それでも細々と商いを行い、豊臣秀吉の家臣に献上品を出したこともある。そのあと江戸時代を迎えた。
江戸時代になっ