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日々掌編短編小説(そよかぜの千夜一夜物語)

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2020年1月1日から、ほぼ毎日掌編小説を執筆中。東南アジア小説をはじめ、興味のあるあらゆるジャンルをネタにして作品を発表しています。ちなみにこちらには「書き下ろし」としてしばら… もっと読む
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2021年10月の記事一覧

畑と天体とハロウィン 第647話・10.31

「さて、かぼちゃの用意はできた。あとこれか」私は郊外で小さな農園コスモスファームを運営し…

「たまごかけごはん」を食べよう 第646話・10.30

「あれ、どうしてこんなに?」木島優花は、交際相手の太田健太が住んでいるアパートに来た。す…

インターネットのない1日 第645話・10.29

「ふわぁ、よく寝た。ネットのチェック、あ、じゃなかった」時刻は午前9時30分。坂上達也は、…

芸術の秋 第644話・10.28

「芸術の秋か......」伊豆萌が、うわごとのようにつぶやいた。それを同居人のパートナー、蒲生…

これも読書なのか 第643話・10.27

「じいちゃん、入ってもいい」伊豆大樹は大のおじいちゃん子。一緒に住んでいる祖父の茂の部屋…

柿と飲む 第642話・10.26

「松坂さん原子力機関車ってなんとなく夢があると思いません」後輩の徳山と、久しぶりに飲みに…

続・文鳥とのお出かけ 第641話・10.25

こちらの続き 「ついに来たわね」玲子は文鳥のルイとともに熊本の天草で、フランスに戻ったはずの、あこがれの男性ルイと再会した。 「Il y a vraiment un dieu(本当に神様がいる)玲子と再会できて本当に良かったよ。ここまで公共交通では厳しかった」玲子の助手席には文鳥のルイが入ったキャリーケース入りのバッグを固定しているため、人間の方のルイは笑顔で後部座席に座っている。  ふたりは天草下島で、まさかの再会後、公共交通で移動していたルイは玲子の車に乗る。こうして

文鳥とのお出かけ 第640話・10.24

「さあ、いよいよお出かけよ。 ルイ!」玲子は、ルイと名付けた文鳥をキャリーケースの中に入…

霜降 第639話・10.23

「圭さん、これ霜降だよ」石田圭は妻のベトナム人ホアがパソコン画面のある画像を見せようとす…

パラシュートが?そして1000年の都に! 第638話・10.22

「あ、あれ、ちょっと待て、あれ?」龍二は慌てた。彼は訓練により、はるか上空にいる。飛行機…

あかり 第637話・10.21

「本当に真っ暗だ!それにしてもずいぶん古いトンネルだなあ」僕はある山の中、すれ違いが難し…

おすすめグルメは集合住宅の裏 第636話・10.20

「本当に急に冷え込んだわ」番田麻衣子は、少しずつ紅葉し始めている街路樹を見ながらつぶやい…

隠しているモノ 第635話・10.19

「あなたが私のモノを隠していることはわかっているわ」私は川中を問いただした。  私はいま…

猫と帽子 第634話・10.18

「そろそろ朝夕冷えてきたが、いよいよ主さんとはお別れだな」秋が深まり涼しさから寒さすら感じるようになった秋の日の夜中。一匹のオス猫は静かに起き上がると、人間には『にゃー』としか聞こえない小さい声を出しながら、長い間ペットとして居候をしていた家を静かに後にした。  猫は人間の飼い主たちに『epi』と呼ばれていたが、彼にとっては本名ではないという認識がある。なぜならば彼は生後1歳のころ、人間でいう18歳まではいわゆる『野良猫』であったからだ。 「そういえばあの日も、こんな冷え