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日々掌編短編小説(そよかぜの千夜一夜物語)

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2020年1月1日から、ほぼ毎日掌編小説を執筆中。東南アジア小説をはじめ、興味のあるあらゆるジャンルをネタにして作品を発表しています。ちなみにこちらには「書き下ろし」としてしばら… もっと読む
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2021年6月の記事一覧

アインシュタインも見てたかなぁ 第525話・6.30

「アルベルトさんもこれ見ていたよね」「アルベルト? 誰だそれ、初めて聞くぞ?」  翌7月…

佃煮を求めてきた小さな町 第524話・6.29

「この辺りだと思ったのだが。どこかで道を間違えたか」目の前に小川が流れる町を歩きながら不…

時間指定の予約投稿で未来へのメッセージ 6.28

「よし、1か月先までの投稿が終わったわ」番田麻衣子はスマホを片手に達成感に浸っていた。「1…

ちらしを作って旅の思い出に浸る 6.27

 今日のバイト先での勤務を終え、挨拶を済ませた正樹は、足早にロッカーに行きそのまま退社し…

白馬・姫川の天神露天風呂 6.26

「ヒメカワ温泉なんとなく良いわ」「ああ、ほんと良いネタだよ姫川は。同じ温泉が県境を境に新…

客として見た帰りに? 6.25

「でもこうやって客の立場としてみるのは面白かった」風林ハウスの真中俊樹が運転する車の助手…

立憲革命と同時に流れたピアノメロディー 6.24

「呑気なもんだね」ここはタイの北部チェンラーイ。タイ人のソムチャイが頭を上げて1時間以上も夜空を眺めているのを見ていて指摘したのは、妻の雅代。 「シラナイノカ? キョウ6がつ24にちは、UFOキネンビだぞ」 「え、UFOって空飛ぶ円盤の」「ソウ、アメリカではじめてミカクニンヒコウブッタイとしてUFOがハッケンされたんだ」 「まあいいわ。でももっと大事な日じゃなかったかしら。革命の」この雅代の言葉に突然体が動いたソムチャイ。雅代のほうを向くと真顔になり。 「ソレ、リッケンカク

古神道・三輪明神を前に 6.23

「先生間もなく、三輪駅です」ここは奈良県桜井市。奈良盆地の南東付近である。自称歴史研究家…

雨の日のボウリング 6.22

「エドワード。今日も雨ね」英国人女性のジェーンはつまらなさそうに窓を眺めた。同居人のパー…

SNACK 6.21

「おい、ここだ」霜月秋夫はとある歓楽街の外れに妻・もみじとおよそ歓楽街に似つかわしくない…

ペパーミントを出荷しよう 6.20

「ああ、ミントの上に虫が乗っているわ」私はさわやかに感じる緑がまばゆいミントの上に吸い付…

パンダと温泉の外側で 6.17

「御挨拶だけして、宿泊は隣町でもよかったんじゃないか」ここは和歌山県の紀伊半島。車を運転…

和菓子の恩 6.16

「ねえ、今日いったん家に戻ってからこれ持ってきたの」高校生の今治美羽は制服姿のまま。バッ…

オウムとインコ 6.15

「里美、小鳥飼ったんだってね」双子の片割れ美里は嬉しそうに里美の部屋に来た。「美里、なんでもう知ってるの? まだ誰にも言ってなかったのに」 「そりゃわかるわ。私とあなた別人格だけど、顔がそっくりな一卵性双生児。だからどこかつながってるのよ」  美里はそう言って里美を見る。確かに同じような髪型と服装。どちらもほぼ無地の白いTシャツに同じような形をしたロングスカート。違うのは里美のほうが桜色で美里のほうは薄いパープル色しているというくらいか。 「一卵性双生児ね。なんとなくソー