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日々掌編短編小説(そよかぜの千夜一夜物語)

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2020年1月1日から、ほぼ毎日掌編小説を執筆中。東南アジア小説をはじめ、興味のあるあらゆるジャンルをネタにして作品を発表しています。ちなみにこちらには「書き下ろし」としてしばら… もっと読む
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2020年10月の記事一覧

ランタン持ちのジャック

この話の続編ぽいですが、単独作品です。 ーーーーーーーーーーー 「ふつうは緑色のカボチャ…

抗体種

 これは西暦2100年の世界である。ちょうど一年ほど前からゾンビが世の中に現れ人を襲うように…

パーキングエリアで褒めること?

「北海道がこんなに広いとは、また眠くなってきたわ。ウファア」と欠伸をする海野沙羅は、瞼(…

丑三つ時の漁船

「ふぁあ、ねえ海斗、こんな夜中に呼び出してどうしたの?」  奈々は眠そうに左目をこする。…

Staring at the fried egg

「どうしたの。またメダカの生育について考えているの?」「違う!」  春香は同棲している洋…

深夜のカフェ

 ここは、午前1時の喫茶店。都会の歓楽街にあるため早朝まで営業している。弘樹は、ある人物…

北国からの羊肉で出会いそして ~都道府県シリーズその1 北海道~

「大地君、まさか帯広でジンギスカン食べるなんて。てっきり札幌かと」 「近くに、うちの会社が所有している牧場があるからこの地域にはよく来るんだ。で、卸している羊肉を扱っているこの店は、昔ながらのジンギスカン屋。せっかく亜美ちゃんが来てくれるんだから、僕がイチオシのジンギスカンを食べさせてあげたかったんだ」  ギンガムチェックのブラウスに黒いロングスカート姿の横川亜美は、茶色いシャツの上にベージュのソフトジャケット姿の西岡大地と遠距離恋愛をしていた。亜美は名古屋で両親とともにカ

出発を前に

「『最後に言う。その仮面をとれ!』」そういうと、男は女に一輪の青薔薇を投げつけた。しかし…

単調な道

「絶景という風景にふさわしい」おいらは思わず唸った。レンタカーを数日チャーターした甲斐が…

直前のとき

「いつからここにいるのだろう」何もわからない。ただ裸のまま、薄暗いこの場所で気が付いたら…

網が走る

「旭川君。網が走る?これって、よく考えたら凄い。と画期的に感じないか?」と自慢げに語る千…

ツナの気持ち

「エドワードどう、このスカート昨日買ってきたの」と言いながら、肩まで伸びる長い金髪と共に…

天秤座新月

 頭を捻った。「一体なんだろう気になる。これは小劇場用に作った餅菓子と見た。伝統的な和の…

シルクロードの月夜

「そうか、わかった。大樹ゆっくりでええ。待っておるぞ」そういってスマホの通話を切ったのは伊豆茂。 「大樹君?」「ママ、そうじゃ。孫はワシに似て律儀じゃからな。大学を出たのが遅れたから、ここに来るのが約束の時間より15分くらい遅れるという連絡じゃ。まだ時間に余裕があるし、会社でもないのに、気を使ってわざわざ電話してきたんじゃのう」そういうと茂は、カウンターに置いているコーヒーを口に含んだ。  ここは、レトロな昭和の喫茶店・皇帝貴族でのひとコマ。ひとりで店を切り盛りしている女主