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『綾ちゃんはナイショの妖精さん』とはこんな話 小説のワンシーンを切り取りました 1巻その2

少女漫画『綾ちゃんはナイショの妖精さん』は投稿小説サイト「エブリスタ」で公開中の長編小説を作者が自力でコミカライズしたものです。


元の小説版のタイトルは『ナイショの妖精さん』。本編9巻と短編集1巻の10巻分ありますが、その小説のワンシーンを切り取ってご紹介したいと思います。

漫画派の方にはネタバレになります。ご注意ください!

★ ゴーヤぷすぷす 86ページ ★

 ヨウちゃんの横にリンちゃんが寄っていって、猫みたいに人懐っこい目で、ヨウちゃんを見あげてる。

 ヨウちゃんもまんざらじゃなさそう。リンちゃんのぶんの空いた食器まで、トレイの上から取り上げて。食器入れのかごに、かたしてあげてる。


 なにあれ? 紳士気取り?


 あたしは、箸で、ゴーヤをぷすぷす。

公開用 ゴーヤぷすぷす170525

★ しぴぴぴぴ 92ページ ★

「あ……綾~っ!! 」


 ヨウちゃんのほっぺた、真っ赤っ赤。

 で、そのかっこう見て、あたしは「あはははは」って大笑い。

 だってこの人、うちのクラスのボス。女子たちにキャーキャー言われてる、モテモテくん。


 それが……それが……。


 農家のおじさんみたいな、麦わら帽子をかぶって。黒いゴム長ぐつをはいて。軍手にホースを持っちゃって。


 ホースの先から、水がしぴぴぴぴ。

公開用 ガーデニング男子170525

★ 葉児 笑み 94ページ ★

 あわてて追いかけたら、ヨウちゃんは、開いたドアを背中でおさえて待っていた。


「入れよ。リコーダーの特訓終わったら、かあさんのハーブティー、ごちそうしてやるから」


 ふんわりやわらかい琥珀色の瞳。

公開用 葉児 笑顔

★ びー 100ページ ★

 音楽のテスト本番。

 五線譜の引かれた音楽室の黒板の前に立って。リコーダーを両手ににぎりしめたら、教室のみんなが見わたせた。


 教室の一番後ろの席の、ヨウちゃんと目が合った。

 う~ん、無反応。しらっと冷めた目で、腕を組んでる。

 ヨウちゃんが、こくんとうなずいた。


 ……あ。

 が、がんばるっ!


 リコーダーに口をつけたら、でっかい音が「ビーっ!」

公開用 リコーダーぴ~170525

★ アリッサム 107ページ ★

「おまえ、花係だったよな。花、四等分にして、教室の四方に置け」


 さっくり。冷めた声。


「……へ?」


「アリッサムには、妖精の魔力を解除する力がある。これをつかえば、あいつらも正気にもどるだろ」


 ……だよね。

 こんな冷血オトコに「恋する音楽」なんて効くわけないよね。


 あたしが花束を受け取ると、ヨウちゃんはもう背中を向けて、教室に歩き出していた。


「あ……。ま、待ってっ! あ、あのっ! ヨウちゃん、ありがとうっ!! 」


 花束をにぎりしめて、あたしは植え込みの陰から立ちあがった。


「きのう、ヨウちゃんが笛を教えてくれたおかげで、あたし、テストで最後までまちがえないで吹けたっ! 一発オッケーもらったの、はじめてなのっ!! 」

公開用 アリッサム 綾 背景つき


今回はここまで。
コミカライズ版は↓からどうぞ。

漫画の試し読みページも作りました。


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