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突然炎のごとく

誤字に気づいたため修正しました。
2022/8/3

恋は、とめることができない。「好き」が高ぶり、一晩中相手のことを想う時期は誰にでも訪れる。ただ、恋に落ちる前に躊躇する理由は人それぞれだ。

  • 国籍が違うから

  • 民族や肌の色が異なるから

  • 宗教が違うから

  • 言語が違うから

  • 相手が既婚者だから

  • 歳の差が離れすぎているから

  • 親友の妻あるいは恋人だから

最後の理由はどうだろうか。不倫は不道徳、略奪愛は外道という慣習はフランスでは少数派なのかもしれない、多くのフランス映画(今月見た三本とも!)では恋愛至上主義というか、みな愛こそ最も尊ぶべきと認めている。

以下、ネタバレを含むため未見の方はご注意ください。


ジュールとジムの関係

ジュール()とジム()は出身は異なるが、詩を披露しあったり、人生哲学を語り合ったり、意気投合する二人。モテ男のジムはジュールに女の子を紹介するも、根が真面目すぎてうまくいかない。ところが、ドイツからやってきた男まさりなカトリーヌを二人とも好きになってしまう。

魔性の女カトリーヌ

ジュールとつきあいはじめたカトリーヌは、男装したり、三人でナイトクラブに繰り出したり、アバンギャルドな魅力あふれる女だ。
ある日、引越しが決まり、ジュールの代わりにジムが荷物運びを手伝いに来る。このシーンが秀逸!

 クズ入れの紙(たぶん手紙)を燃やそうとするカトリーヌ。「何をするの?」「嘘を燃やしてしまうの」とマッチをするが火はつかず、ジムがマッチをすると、炎がめらめらと燃えさかり、誤ってカトリーヌのスカートの裾にも火の粉が飛ぶ。
当時の女性のファッションは脚はみせない。だが、うっかり火の粉を消そうとカトリーヌの足首にふれてしまうのだ。
そのとき、突然炎のごとく恋に落ちてしまう二人。うまい演出である。邦画タイトルも洒落てる。

熱情のはて

敵味方と分かれて戦った対戦が終わり、ドイツの片田舎に招かれたジム。カトリーヌはジュールとの間に女児をもうけていた。再会を喜ぶ三人、だがカトリーヌの恋の炎は燻り続け、ついにはジムと一線を超えてしまう。それに気づいた夫ジュールはカトリーヌを愛している。

で、どうしたか⁈

カトリーヌと関係を続けてくれないか、君となら安心できるし、そばで彼女を見守ることができるから、
と親友に願いするのだ。

えぇぇぇ... そんな愛ってあり得ねぇ。

ジムにはフランスに残してきたGFがおり、カトリーヌには他にもセフレ男がいる。ただあいまいに微笑むジュールだけが性愛と無縁の純愛を、悲劇的な結末まで貫くのだ。
愛とは、恋とは、いったい何だろう。
考えさせられる物語だった。

女ひとり男ふたりの恋愛模様

突然炎のごとく 1962年/フランス
監督:フランソワ・トリュフォー
出演:ジャンヌ・モロー, オスカー・ウェルナー, アンリ・セル
字幕:山田宏一

★★★★☆ 4/5

#とは #フランス映画 #ジャンヌ・モロー
#フランソワ・トリュフォー #恋愛映画

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