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ジラフ イン ザ ボトル
「ユーリがいなくなったぁ?!」
いましがた僕が口頭でした報告に、課長の大きな声が事務棟中に響き渡った。部屋にある書類棚のガラス戸が震えるほどだ。皆びっくりしてこちらを見ている。
「飼育小屋の中にもいないのか?」
「本当に探したのか? またエリアの端っこにいて見落としたんじゃないのか?」
「あんな大きな動物がいなくなるわけ無いがだろうが!」
課長がつばを撒き散らしながら続け様に僕に言葉をぶつけて
【ショートショート】交番と落し物
著:式さん
「あの、落とし物です」
若い女性が命の落とし物を、交番に勤務する俺に差し出した。
「また会いましたね」
「えぇ、最近よく命が落ちていまして」
二十代から三十代の男性の命。俺が命の落とし物の情報をリストに書き加えている途中で、彼女は「それでは」と言って立ち去った。
彼女はこれまでに何度も命の落とし物を交番に届けにきた。最初