スリ師の犯行現場を目撃し、コピーライター失格レベルの日本語を言い放ってしまった
イタリアのヴェネツィア(ベニス)で
スリ師の犯行現場を目撃し、
あぁ本当にいるんだな、こういう人、と、
ちょっとガッカリした気持ちで今過ごしている。
想像以上に日本人は狙われやすい感じなので、
ここに書き残しておこうと思う。
まず、ヴェネツィア自体は
本当に素晴らしい場所だった。
およそ120近くの島が、
150を超える運河と
400の橋で結ばれている。
まさに水上都市だが、
2019年11月には市の75%が水に浸かり、
過去50年で最も深刻な水没被害が出ていたりもする。
(今回は特に水位も問題なく
無事に過ごせたのでよかった)
途中、水上タクシー、水上パトカー、水上救急車なども見た。
車が一台もないのは不思議な感覚だった。
さて、このヴェネツィアには
リアルト橋という有名な橋があり、
そこで本物のスリ師と対面した。
すでにロンドンで偽警官+スリ師には出会っているが、
ヴェネツィアでは本当にあと1秒ズレていれば
盗まれるところだった。
非常に上手な手捌きだったと思う。
夕方、リアルト橋からの景色を、
僕と、家族で、静かに見ていた。
この橋は観光名所でもあるので、
昼も夜も人でごった返している。
隣の人と肩がぶつかっても
あまり違和感がないくらいに。
そんな中、スリ師が家族に近づき、
偶然チャックが少し空いていたカバンに手を出す。
ピンク色の財布を引っ張り出し、その瞬間、
イタリア人らしき女性二人が
「こいつは泥棒よ!」と叫ぶ。
僕も家族もハッとしてカバンに目をやると、
スリ師がちょうど財布を盗む瞬間だった。
あまりにもいきなりだったので
一瞬だけ硬直してしまったが、すぐに、
「財布以外にも
パスポートとか盗まれてたらマズイな…」と思い、
「何か他に盗まれてない?」と冷静に確認を取る。
そして、スリ師の男が逃げないように、
僕は彼の胸のあたりを突き飛ばし、
「お前いま取ろうとしたよな?ふざけんなよ?」
と汚い日本語でまくし立てる。
男は目を丸くして、首をかしげる。
あくまでシラを切るつもりである。
喧嘩になったら川から突き飛ばしてやろうと思った。
日本だったら問題になるが、
異国の地だし、なんならヴェネツィアだし。
でも男はすっとぼけた顔をしながらも、
そそくさとその場から消え去った。
全てが一瞬の出来事で、
現実で起きたことのように思えなかった。
それにしても、かなり久々に
汚い日本語を使ってしまったと思う。
「お前」とか「ふざけんなよ」とか、
あまり好きな言葉ではない。
コピーライターでもある身として、
言葉を扱う際はそれなりに配慮をしているのだ。
汚い言葉、人を傷つける言葉を使ってしまったら、
コピーライター失格かなとも思う。
あとそもそも、完全なる日本語なので
相手には1mmも伝わっていない。
当然、周りの人にも伝わらない。
「彼はスリ師なので気をつけて」
と大声で言いたかったのだが、
英語に変換できずにタイムアウトになってしまった。
ちゃんと勉強していないと、
咄嗟には出てこないものである。
そういえば、イタリアに来てから
色々なレストランで食事をしているが、
机の上に小さなカバンを置いていたら、
もう二回も店員から注意されてしまった。
「机の上には置かない方がいい。取られるよ」と。
その時はまさか〜ハハハと思っていたが、
いざターゲットとして狙われると、
その意味がわかった。
日本と違って、
こっちでは至るところにスリ師がいるのだろう。
それにしても、ヴェネツィアという
テレビにもたびたび出ている素敵な場所にいながら
スリの被害に遭ってしまうと、
その思い出は最悪なものになるだろう。
こっちに来る機会があれば、
くれぐれも注意していただきたい。
日本という国は良くも悪くもかなり守られている。
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