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未熟な卵子でも採卵できるの?

こんばんは(^ ^)クマです!

今日はPCOS(多嚢胞性卵巣)の方に用いられることがある治療法についてご紹介していきます。



◎未成熟卵子を用いた体外受精

未成熟卵子を採卵する方法をIVM-IVFといいます。

IVM-IVFはまだ成長過程の卵子を早めに採卵し、体外で成熟させる方法です。

通常の体外受精では卵胞の直径が20mm前後に発育してから採卵を行い、即日媒精した後、受精卵を培養します。
IVM-IVFというのは、卵胞の直径が7mm前後の早い時期に卵核期の未熟卵子を採卵し、その後24時間の卵子培養の後、ふりかけ法または顕微受精することです。




◎PCOSの治療法の一種

IVM-IVFはPCOSの治療法の一種とも言えます。

PCOSの方は通常の採卵にて刺激を行うことで卵巣が腫れてしまい、OHSS(卵巣過剰刺激症候群)という副作用を引き起こしやすいです。

OHSSについてはこちらの記事でまとめていますので是非読んでみてください∩^ω^∩


しかしIVM-IVFは、無刺激もしくはすごく少量のFSH/HMG製剤を投与するため、通常の刺激周期よりも卵巣への負担が小さくなります。

また卵胞のまだ小さい段階での採卵になるため卵巣が腫れてしまう前に採卵することができ、肉体的負担がかなり軽減されます。

そのためOHSSのリスクファクターであるPCOSの方に有効な治療の選択肢の一つと言えます。




◎未熟な卵胞を採卵して問題ないの?

未熟と聞くと不安を抱くと思います。

通常の体外受精は採卵率が95%以上あるのに対し、IVMの採卵率は50%前後と非常に低い。 また、その後未熟卵子を培養し受精を試みてもその受精率は低く、胚盤胞達成率はさらに低いとも言われています。

しかし、実際の成績を比較すると安心に繋がるかもしれません!


少し古いデータにはなってしまいますが、

通常の体外受精での妊娠率が29%、流産率が26%であるのに対し

IVM-IVFでの妊娠率は27%、流産率は22%

という結果が出ています。

結果だけを比較するとさほど大きな差はないことがわかると思います。


では安全性に関してはどうでしょうか?

IVM-IVFにて誕生した子の先天異常の発生頻度は1.2%というデータが出ています。こちらもは通常の体外受精と差がありません。

流産絨毛検査においても染色体異常頻度は53.8%と、通常の体外受精の71.6%と有意な差はありませんでした。



IVM-IVFは未熟な卵子を採卵してくる治療法で、少し不安が大きいと思います。

しかし、OHSSなどの副作用を回避できる方法の一つです。

上記のように妊娠率や流産率には影響がありませんので、PCOSをもつ方は治療の選択肢の一つとして考えてもいいのではないかと感じます。

ただ、通常の採卵では使用しないような道具を使っての採卵になるため、施設によっては急な対応が困難な場合があります。ご自身の通っている病院ではIVM-IVFが可能なのかは問い合わせてみてください。



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