くろまめ

くろまめ

最近の記事

理由はない

理由がないものを理由がないままに受け入れる強さを育てている。 寂しいという気持ちはどこから来るのか、どうして寂しいのか、たくさん考えてきた。 理由が欲しかったし、理由があれば改善できると思ったからだ。 でも本当は理由などないこともわかっていた。どんな理由付けをしても嘘っぽかったからだ。 ものごころついたときから寂しかったし、大切な人がそばにいても、その気持ちは常にどこかにある。 体調が悪いと誰かが心配してくれる。だから、誰かに気にかけてもらいたいときに身体が勝手に調子を崩

    • 生存戦略

      長らくうつと付き合うと、良い時も悪い時も波があり、それが私のバイオリズムによって変化していることが分かってくる。"今は“こうなのだ、と自覚しておく。自分が生存しているということ自体が、うつに陥落しないということの証明になっている。 今落ちているこの瞬間に、自分以外の誰かも落ちているかもしれない。この世界にいる同じ感覚を持つ人に思いを馳せると、ひとりではないことを実感する。ひとりだと思い込んでいる誰かは必ずいるから、多分その人とは仲間だ。あなたがそうだったら私は仲間です。

      • 寂しいおばけ

        中途覚醒した。 寂しいおばけがやってきて取り憑いた。 みぞおちが重くなって呼吸が苦しい。 体が痺れるように感じて涙が流れる。 そのうち死にたいおばけにも取り憑かれる。 こうなると、誰かの言葉も、大好きな作品も太刀打ちできない。 何度もこんな夜を過ごしてきたけれど、今度こそおばけに勝てないと思って、だけど、勝ったから今こうしているんだよなとだんだん冷静になってくる。 ひとりで、ひとりぼっちの部屋の中で、誰かが頭を撫でてくれる想像をして、とてつもなく嬉しくて安心するのと同時

        • 怯えた私をもう殺さないことにした

          母親は厳しい人だった。 私はいつも怒られまいかと恐れていて機嫌をとりたがった。 怯えた私は死んだと思った。 だけど、仕事でミスして間違いを指摘されると蘇る。 体が硬直する。呼吸が乱れる。みぞおちが重くなる。どうしたら許してもらえるかを必死に考えて、自ら廊下に正座して待ってても、目の前を通り過ぎてゆく母。私には一瞥もくれない、あの時の絶望感が鮮明に蘇る。 この子供を救うのは私しかいない。すげー月並みだけど、自分自身の母親になって守って癒やしてあげるしかない。 誰かの手助け

        理由はない

           観察する。  細胞のひとつひとつまで検分する。頭髪の一本、切り揃えられた爪の放物線に至るまで完璧である。薄い皮膚の下にある眼球の中心には、僅かな悲しみを湛える勿忘草色の虹彩。その花を守るように鬱蒼と生い茂る睫毛は、檸檬果汁を溶かし込んだ様に清々しく、それでいて濃密であり食欲すらそそられるのである。  私は彼の瞬きの度に爽やかな炭酸が弾けるのを感じ、繰り返し満たされた。そう、見れば見る程、少しの欠けたところもない。 #短文 #小説

          孤独なあなたへ

          2023年1月25日  読書家なのだから書けるでしょう、と人は言う。いやむしろ、本を読めば読むほど自分の文章のダサが分かるからつらくなるのだ。わざわざ私が書く必要がない程この世は才能で溢れていることを知る為、ますます書くことから遠ざかる。もう、おもしろいとか、かっこいいとか、どうでもいい。凡人は凡人なりの、平凡な日常を綴るだけだ。  月が魚座にあったので、不安を煽るフィクションを見てもいいかなと「不滅のあなたへ」というアニメを見た。評判は聞いていたが陰鬱そうなので避けてい

          孤独なあなたへ

          パンケーキとドーナツ

          2023年1月23日  何か書かなきゃと毎日考えているのに何を書いたらいいのかわからない。白紙に向かうと本当に書くべきことなど何もないと感じる。というか、書きたいという欲求はあるのに書く内容がない。空っぽだとしみじみ思う。  今日は高円寺へ行った。有名パンケーキ屋の整理券を獲るべく、早起きして中央線で向かうつもりだったが、まさかの人身事故。予定を変更して西武新宿線で野方まで行き、高円寺まで25分歩いた。10時からの配布に合わせて9時40分に到着すると、店の前には既にひとり

          パンケーキとドーナツ

          夏のいち日

          私にはタトゥーが入っている。二の腕、胸、脇腹、太もも、足の甲。私は夏でも半袖やサンダルは履かない。他人に威圧感を与えるからだ。こうして10年以上積極的に晒さぬように生きてきたが、この夏、転機が訪れた。知り合い数人とタトゥーOKの公衆浴場へ行くことになったのだ。私は拒絶したが強く誘われたため勇気を出して行った。人前で裸になること自体抵抗があるものだが、私の場合はタトゥーが入っているという後ろめたさがあった。社会通念上許されないもの、自分が疎まれて当然の存在だと思い込んでいた。し

          夏のいち日