寂しいおばけ

中途覚醒した。

寂しいおばけがやってきて取り憑いた。
みぞおちが重くなって呼吸が苦しい。
体が痺れるように感じて涙が流れる。

そのうち死にたいおばけにも取り憑かれる。
こうなると、誰かの言葉も、大好きな作品も太刀打ちできない。
何度もこんな夜を過ごしてきたけれど、今度こそおばけに勝てないと思って、だけど、勝ったから今こうしているんだよなとだんだん冷静になってくる。

ひとりで、ひとりぼっちの部屋の中で、誰かが頭を撫でてくれる想像をして、とてつもなく嬉しくて安心するのと同時に、想像でしかないことに強烈な虚しさを感じ、どうしようもなく寂しいのだと気づく。

涙がひたすら流れ続けて夜が明けた。
もうすぐ目覚ましが鳴る。
なんでもない顔をして仕事に出掛けて、誰かとたわいもない会話をして、普通の1日が始まる。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?