今知っておかないといけない、殆どの人が気付けていない保育園・こども園での保育の質の危機という、とても重要なお話

 幼稚園教諭1種・保育士の免許を所持しています杉本倉規です。

私は決して高い水準の優れた保育ができる人間ではなく、ごくごく普通の保育士です。

そんな私ですら、危機感を感じずにはいられないレベルで、出来るだけ多くの方に知ってもらいたい事があります。保育関係者に会った時には、今までにもこの話をしてきています。

出来るだけ多くの方に知って頂きたく、2015年から順次を始め、2019年の4月からSNSをはじめ色々な活動をし始めました。 山の上で私が1人叫んだところで誰にも耳を傾けてもらえないですし、それでは意味がないからです。

 冒頭ですが、皆様に1番伝えたい事を先にお伝えしておきます。

【保育園不足・保育士不足という事だけが注目されていますが、実は今日の日本では保育園と呼べる水準の保育の質が既に失われて行く方向に進んでしまっている】

という事です。

もう少しだけ説明を付け加えると

【メディアで取り上げられる利益優先型企業経営の保育園だけではなく法人・企業、そして新設園・設立して若い園・昔からある園など関係なく、保育園不足・保育士不足が深刻な地域において、保育の質がどんどん低下しており、既に保育園として従来保たれてきていたはずの水準を下回る、とても保育園とは呼べない園が増加しています。
 そしてこの事は残念な事に様々な現代の事情が折り重なって、その様な園が出来上がる最悪のシステムが負の連鎖で構築されてしまっているのです(詳しくはこの後説明していきます)。
 知らず知らずの内にそのシステムに蝕まれていっている事で、保育業界において保育士も含めほとんどの保育現場にいる人間がこの事には気付いておらず、既に多数の保育園が該当する事態になっている】

という事。

そして、ここで誤解のない様にお伝えしなければいけないのは

【保育士も実はそのシステムの被害者でもある】ということ。

※このお話はとてもデリケートなので短文にせず、あえてある程度詳細に書いています。詳細を省き短文にしてしまうと、誤解が生じやすくモンスターペアレンツを増やしてしまったり、保育士批判と誤認され気分を害する保育士が出てきてしまう内容ですので。最初にしてmainであるこの記事に関しては、意図的に長文になってしまっていることを最初にお伝えしておきます。

 それではまず、何故その様な最悪なシステムが出来上がっているにも関わらず、保育園経営者・保育士・保護者が気付く事が出来なかったのか、今もなお気づいていないのか、そしてどうして保育の質を左右する保育士が何故被害者となってしまっているのか、理由を順を追ってお伝えしていきたいと思います。

 今日の日本で【保育園不足・保育士不足】という日本国内の社会問題を知らない人は、ほとんどいないと思います。

 社会問題になり、後手後手で政府がとった処置は、単純に保育園が増える様に保育施設を作りやすい法的な規制緩和を行い、それに伴い従来の法人系だけでなく、企業が保育園経営に参入し易い様にしました。

その結果、待機児童が多かった地域の待機児童をゼロにする為、数字だけに着目し保育施設の増設だけに力を入れ、ある地域では早くに結果ゼロにしたものの、【保育の質】が保たれていないという声が当時から上がっていました。

私が皆様にお伝えしたい【保育の質の低下】と、一般的に言われている【保育の質が保たれない】は聞こえは同じなのですが、内容は別物です。

一般的に認識されている保育の質の低下の原因とされているのは

◉利益追求型の企業が人件費と設備費等を削減し劣悪環境での保育

◉保育士の人員不足(シンプルに最低人数しかいないから人数さえ増えれば問題としない)

というのが理由ですが、今回私が皆さんにお伝えしたいのはこの2つはあくまで保育の低下の氷山の一角でしかなく、これらをクリアしたからといって安易に保育の質の低下は止められないという事です。

 保育園不足と同時に、保育士不足の原因の保育士の待遇にも世間は注目しました。

余談ですが、ここで皆さんにお聞きします。

『昔から学校の先生はそれなりのお給料をもらっていきている中、皆さんは何故、昔から公立を除く幼稚園や保育園の先生の給料が安いと思いますか?』

意外な事に『給料安過ぎ!』と文句をいう保育士は全員なのですが、そもそも、何故給料が安いのかを考えた事がない保育士が大半なのです。昔から安い職業と認識でいたからと、そこまで考える人が何故か極少数派なのが保育士をしている人の傾向としてあります。

私は小学3年から『将来の夢は保父さんになる事です』と言っていた人間でして、中学生の時には試験休みが1週間あった学校に通っていたので、それを利用して自分が通っていた幼稚園に勉強の為にとお手伝いをさせてもらっていました。その経験をしている時から自然と感じたり知った事で、これはあくまで昔から個人的に感じている持論ですが、

理由は

【昔の日本では、幼稚園や保育園の先生はほとんどが女性で大半の先生が結婚と同時に先生を辞めていた。だから役人の頭には幼稚園・保育園の先生という仕事は結婚するまでの仕事で長く続ける人などほとんどいないから給与を上げるシステムを作る必要もないという認識が〝ある時期〟からずっと来ていて、時代が変わってもつい数年前まで〝国にとって子育てがどれだけ重要なのかの無理解〟と〝間違った待遇の認識〟のままでいたから】

と認識しています。

私が中学時代に手伝っていた時の先生との会話で給料が安いことも聞いていたし、皆、結婚すると先生を当然の様に辞めていっていたのが昭和・平成の日本の幼稚園・保育園での日常的な景色でした。

とてもスキルもありプロとして尊敬している保育士の先輩から経験談をお聞きして私も知ったのですが、〝ある時期〟と書いたのには理由があります。

実は保育士も、昔一時は今ほどの給料の低さではなかったとのこと。美濃部知事主導で行政が動き、質の良い保育をする保育園を日本中に沢山作っていこうと動いていた流れが進んでいた時は、公私間格差是正で待遇が今より良かったそうです。しかし、その流れは政治のTOPが変わった事でどんどん待遇の低下が加速していき今に至ります。

そんな中、保育士不足が社会問題になり、今になって役人が色々待遇をなんとかしようと上辺だけの改善策を年々出してくるのだけれど、内容がかなり酷く、現場と現状を知らない人間だけで勝手に決めて現場へかなりいい加減な状態で丸投げをするものだから、現場は大混乱。経営者や事務をかなり困らせているし、正直、改善策になど、ほぼなっていません。

あと、保育業界しか知らない事で、なおかつ保育士が意外と気づいていないのは、保育の現場は給料がしっかり上がっていくシステムがほぼないという事です。

この事により。初任給が良くなっても、長年継続して勤めていても給与面で明るい未来は見えてこないのです。


 次に、ニュースなどでご存知の方もいらっしゃるとは思いますが、

保育園不足に関しても、いざ保育園を作ろうとすると、近隣から子どもの声を騒音という認識での反対運動で保育園作りを妨げる人たちの存在も社会問題になっています。

日本国民みんなで、少しでも協力して子どもたちを育てていこうという地域の協力が、失われつつある場所も少なくないということです。実際には開園した後にも、中には昔からある園に対しても、昼間の子どもの遊ぶ声ですら苦情を言ってきたり、直接子ども関係のクレームだと印象が悪いからと、粗探しをし色々些細な事で苦情を言ってきて、子どもの保育が十分にできない環境での保育をせざるを得ないことも多々現状としてあります。


 これらを踏まえた上で、何故、知らず知らずの内に今日の日本で最悪なシステムが自然と構築されたのかの話。

 保育園不足が深刻な大都市エリアでのケースで説明します。 今、地方から大都市への人口流入が止まらず、深刻化し日本の社会問題になりつつあります。 なので大都市エリアでの保育問題は日本の問題と言っても過言ではありません。

 新しく園を開園するにあたり、近隣との話し合いが何度も行わなくてはならない程、昼間の子どもの遊ぶ声を日常の音として認めない人が少なくなく、そんな中、保育士をはじめ最低限必要な人員集めにもとても苦労します。保育士不足の日本ですから、ここで必要最低限ではなく十分な人員を揃えられる園はとても稀で、大半は最低限の人数確保で一杯一杯です。

そんな中で、なんとか無事に新設園を開園します。たとえ系列園があったとしても、新設園では保護者は【新設園】だからという理由から、このタイミングで言えば自分の要望が通り易いかもとか、先生たちが新人ばかりで不安だからと、過剰に保育園に色々な事を求めたり苦情を言ってきたりします。

大半が新人やキャリア2年目などの中に1人や2人ベテランがいても、子ども同様に保護者も10人10色です。この状態はとても厳しく、1日1日を何とか子どもに怪我させない様に保護者の機嫌を損ねない様にと乗り切り、行事の準備もし、必死の日々を何年か頑張ります。

 ここで、まず1つ目の大きな歪みが生じる園が沢山出てきます。

それは最悪なシステムが構築されるキッカケになっていると言っても過言では無いかと思われます。
例外は勿論ありますが、通常であれば、大半の仕事の現場には新人・中堅・ベテランがいます。そして知識だけは勉強済みであるものの、学生気分がどうしても少し残っているのが新人です。そんな新人を現場で中堅やベテランが日々指導し、プロ意識や知識の実践化を身につけていきます。3年・4年続ければ、頑張ってきた中で教えられてきた事が実践出来てきている経験が自信に繋がりプライドも当然持ち始めるのが、自然な流れです。

しかし、今日、保育園新設の立ち上げでは、ほとんど新人もしくは新人同様の保育士で構成されており、1人や2人ベテランが居ようとも日々に疲弊し、日々間違いの指摘やアドバイスなどをしてもらえる余裕が皆になく3年・4年と過ぎてしまうのです。ベテラン勢は自分の仕事だけでなく、当然多くの新人のリカバリーに追われる日々で、余程の保育への強い信念を持ちつつ心身ともに強靭でないと、そんな中で、新人に教えられる心の余裕を持つ事ができない程の大変さがある現実があります。3年または4年のキャリア、年数だけで見れば本来十分にスキル面でも、中堅になっていなければいけません。しかし、こういう状況下では、残念ながらスキルは新人に毛の生えた状態でしかない状態で、自信やプライドだけ付いてしまいます。

この部分が最初にお伝えした【保育士も実は被害者である】という理由です。

しっかりとしたスキルが身につかないのは、環境によるものが大きいのです。もししっかりした中堅・ベテランがそれなりの数がいて全体の保育士の人数が十分潤っていれば、たとえ新設園初年度でも学べる機会は十分にあり務めた年数だけのスキルが身についたかもしれません。しかし、残念ながらそれだけ整えられるケースは皆無です。

新設から何とか3年・4年と乗り越えた事で、少しだけ気持ち的に余裕が出てきます。そして流石にそれだけの間に求人を出していると、中堅経験ベテラン経験がある人が入ってくることがあります。

ここから新たな歪みによる負の連鎖が起こります。 

保育の基本中の基本が【ポジショニング】と【見守り保育】です。
この2つが常に念頭になく実践出来ていない人はプロの保育士とは言えないと思って頂いて大丈夫です。

これをせずに子どもの最低限の安全と保育士としての水準の子どもに対しての保育など不可能だからです。

【ポジショニング】とは、保育士が基本的にその場にいる子ども全体を常に視界に入れられる場所を意識してポジションを取ることを指します。園内だけでなく、広い公園や広い園庭などでも、保育士それぞれがその空間をしっかり把握し、常に子どもと他の保育士の行動を見、もし他の保育士が動かなければならなければ、その保育士が見守っていたエリアを視覚フォローができる様に、他の保育士みんなが自然とポジションを変えていかなければいけません。

【見守り保育】とは、子どもたちの自主性や集中する事を身につけてもらう為にも子どもが保育士とはではなく、子ども同士または1人で集中して遊べる環境づくりや促しを保育士がし、保育士は見守る存在となり、あくまで困った時のフォローをします。もし何かを子どもとする時も常に子ども全体を意識し見る様にします。2人保育士がいて、もし必然で集中して何かを子どもと作業をする場合は、必ずもう1人は全体を把握できるポジションを取って全体を見なければいけません。1人しかいない場合は、絶対に、集中して作業をし全体を見るということができない状態になってはいけません。見守ることにより、子どもの争いのキッカケや流れも把握出来ますし、日々の生活の躾もしていくことが出来ます。【躾】というと、食事時や挨拶・整列・話を聞く・じっと立って待つ座って待つという事を身につけさせるだけと勘違いしている人が、保護者・保育士関係なく近年多く見受けられ正直驚いています。物を大切に扱う・物の片付け・整理・椅子の座る姿勢や扱いなどの【躾】も遊びの中で伝えていかないといけません。しかも、未だにそれらすらちゃんと身につけずに小学校へ送り出す保育園すら存在します。

【ポジショニング】と【見守り保育】が出来ていないとどういうことが起こるのかを、簡単に説明します。

まず【ポジショニング】がちゃんと行われていると子どもが怪我をするのを未然に防ぐ事が出来たり、もし怪我をしたとしても、かなりの確率でどこをどの様な状態で怪我したのかが分かるので、処置や保護者への説明がしっかり出来ます。逆に出来ていないと死角で怪我をすることなどもあるので、未然に防ぐことはまず不可能ですし、原因などを目視できている大人がいない状態も容易に発生します。その場合、保育士は近くにいた子どもから話を聞いたり憶測でしか把握できず、処置や保護者への説明も実際は曖昧で、憶測で誤魔化した内容にもなります。言ってしまえば、怪我を未然に防げたかもしれないのに、保育士が保育の基本をしていなかったが為に生じた怪我という事が余裕でありえるのです。勿論、それができていませんでしたなどと保護者に説明する園など、ほぼ皆無です。

次の【見守り保育】もまずベースに【ポジショニング】が出来ていないと出来ない事なのですが、【見守り保育】をしっかりすることにより団体行動での子どもの躾や他人との関わりなどのひと目で分かり易い躾ではなく、その子どもの生活する上でのベースとなる躾をする事が出来ます。私が実際に見たケースが、保育の基礎ができていない保育士によって保育された来月就学という子どもの姿(1人や2人ではなくそのクラスの大半の子どもの姿)で、本や物を歩いている最中に踏んでも、全くの無反応でそのまま歩き続ける6歳の子ども。しかもそれが1人や2人ではなくクラスの大半の園児がその様になっていました。勿論、踏んで痛かったら体の無意識の反射として反応しますが、痛覚を感じない限りは反応が皆無です。これは普段からしっかり【見守り保育】ができていない現れです。

皆さんも考えてみてください。

例えば、私たちは何故、入っていい芝生と進入禁止の芝生の分別ができるのでしょうか?

1つは看板や放送などのインフォメーションで知らされることによって分かります。あとは経験則です。

芝生がある場所や状況で過去に注意されたり教えられたりしたことにより、その分別ができるスキルが身につくわけです。もしインフォメーションが無く誰にも注意されずどこの芝生にも土足で入っていたら、芝生は入っていいものとして認識しますよね。子どもであれば、尚の事です。

団体行動以外での子どもの姿を見る事もとても大切です。ただ、私個人の考えとしては、そっち以外の方が優先順位としては上だと思っています。何故なら個があっての集団ですから。躾がなされていない状態は、子どもにとってマイナスでしかないのに、自分のせいでその様なことになっている事に保育の基礎ができていない保育士は気づくことすらできていません。そういう保育士に子どもの姿だけ話すと皆揃って『そうそう!なんでなんだろ?』とか『保護者の家での躾が出来てないんだろなぁ』などと普通の顔で口にしてきます。

余談ですが、私はこのような状況を危険と感じ改善しようと動いた事がありました。1年以上前からその園の大半の保育士が保育の基礎ができていない事を、園の統括・園長・主任に伝え、改善に努めて欲しいと申し出ました。しかし、結局園は何もしませんでした。それらの人達の怠慢と認識の甘さによって、言葉のみの返事で行動に何1つ移さなかったからです。なので私自身だけでもと、何人かの保育士には【ポジショニング】と【見守り保育】を説明して実践してねと伝えました。言われてすぐは、大半の保育士が意識をしていました。でも今までしてこなかった事なので、少しするとすぐその保育園から実践している姿は消えました。上が動かずただの保育士の私1人だけ動いても、自分の職務もあるので限界がある訳です。私はその園を辞めました。辞める直前に再度同じアドバイスや指導を、来年度の為に説明もしました。

その保育士の皆さんが、その後どこまで出来ているかは分かりませんし、多分しっかりとした実践は出来ていないだろうと正直思っています。

決して見下しているとかではなく、言われてすぐしっかり実践できるのであれば就職前に学校で教えられる保育の基本なので既に出来ています。要するに、私も含め、日々の現場で何度も指摘・指導を受ける事で、又は出来ている事を褒められることで確認でき身について自然と日々実践できる様になるのが一般的なスキルのつき方だからです。

そして、その後新人が入ってきても誰も【ポジショニング】【見守り保育】を教えてくれる人はいないという訳です。

故に負の連鎖が止まらないと言えます。

改めて言いますが、【ポジショニング】【見守り保育】が出来ていない保育士が今、本当に多いです。

何故今増えていると私が痛感出来たかを説明します。
認可認定保育園を作る際には、園庭の大きさ規定があります。ただ地価が高いやエリアの事情で確保できない地区もあるので、救済処置として、園からの規定の距離内に公園がある事が条件にあります。認可認定だけでなく、無認可でも十分な園庭を確保できなければ、必然的に近くの公園へ散歩に出かけます。なので公園に散歩で行くと様々な園の保育士の保育の姿が垣間見られるのですが、かなりの割合で【ポジショニング】と【見守り保育】が出来ていない保育士を目にします。そして、子どもが危ない状態になっている現場を何度も見た事があるからです。勿論プライベートで住んでいるまたは関わっている園以外のエリアの公園にいった時も子どもに自然と目が行くので保育士の姿も視界に入ります。それ以外にも出先でたまたま現役ベテラン保育士に会ったら現場の不満を聞くのですが、その時にも『基本中の基本が出来ていない保育士がいて』という話を必ず耳にします。

 1つの大きな原因は、先に言った様に教えてもらえる環境がなく過ごしてきてしまったからです。しかし、別の角度からも負の連鎖が発生します。
長くなりましたが、

ここからが、最初の負の連鎖からの新たな歪みによる負の連鎖の話です。

そういう園にも、仕事が出来る中堅・ベテランが後々に入ってくる事があるのですが、入ってきた保育士が知っているまともな保育が園で実践されていない現場という事で、唖然とし、思っている保育が出来ないその園の酷い現場にストレスがすぐ溜まり、適当に理由をつけて辞めていきます。もし親切にこれらの基本中の基本が出来ていない事を指摘しても、改善の方向に進む事は少ないです。残念ながら新卒からの3年・4年後だとタイミング的に変にプライドが高くなる年頃です。伝えたところで、『私たちはこれで今までやってきているから』とダイレクトで突っぱねる人もいれば、その場では『アドバイスありがとうございます』とはいうものの、口だけで実際にはそんなこと思ってもいないので変えません。結局、改善がされなければそんな保育と呼べない環境はストレスでしかないので、結局良い人材は去っていくしかないのです。何らかの理由で、足踏みをし辞めることが出来ず留まる人もいますが、その場合はその人の中で大きな諦めが入り、本当はまともな保育ができる人だったのに色々な事を諦める事でその現場に馴染ませストレスを緩和させてしまい、保育レベルが急降下してしまった保育士になってしまう勿体ないケースも、私自身の目で実際に見てきました。

会社全体でも小さな部署ででも言える事ですが、上司次第で職場や仕事の質は全く変わってきます。

保育園も同じです。その園が良いではなく、園長が変わると同じ園でも質がかなり変わります。

園長が口だけだったり言っていることがコロコロ変わったりすると、園長への信頼がなくなり職員全員の士気が下がります。そうすると、あっという間にその園全体の保育にも影響します。保育士で反旗を翻すほどの行動を起こせる人は残念ながら少数派ですし、反旗に同調してくれる人を集めるのも今の時代では難しい様です。

逆に

【園長が職員からとても信頼されている園は、必然的に良い保育ができています】

ここで勘違いしてはいけないのが、

【保育士が居心地がいいのと、良い保育をする園はイコールではない】

ということです。

よく考えてみて下さい。ダメな人間が集まって、低いレベルで傷の舐め合いをし、志が高い人に正当な事で非難されたら排除して居心地をキープする職場やグループを見たり聞いたりしたことありませんか。それと同じケースが結構あるということなのです。

あくまで園長が保育の仕事の面で信頼されていて園長と保育士の関係が向上心の上で良好であるということが重要です。

基本をしっかり意識している保育士が、園長などに改善を求めても改善されない理由の1つに、職員から信頼されていない園長に限って

◉全体の保育の改善は、それまでやって来た園長への非難と捉え断固として現実を受け入れない。

◉今まで保育をしてきた保育士の保育がダメと言っている様なもので、指導したら保育士が何人も辞めていく可能性が高く、保育士が減るのは困るから何もしない。

◉一言伝えたら改善できると思ってそれで改善への行動を終わらせる。

などとんでもない考えや行動によって阻まれるのです。

完全にこれらの考えに子どもたちの為の保育は存在しません。


 ただこれとは別で最初の方で少し触れましたが、政府が社会問題になったからと現場の現状をちゃんと把握せず付け焼き刃で色々決めて現場に丸投げしてくる改定事項により、園長や事務関係の皆さんが書類や設備改変などで、無駄に振り回されて自分の園の事務的な事で一杯一杯になり余裕がなくなっているのも事実です。

なので、昔からある園でも保育士不足は深刻な事は変わらず、その事と政府が丸投げしてくる改定事項への対応で余裕がなく保育士に対して十分な指導や意思疎通などが出来ずにいるのも事実です。

 あと、これらとは別件で、負の連鎖に関係している保育士不足に関係する問題が生じている事を最近になって話を聞いて知りました。

保育業界は世の中の新しい流れに今までは興味を持つ必要性がほとんど無かったせいで、今の時代の流れに適応できていない経営者や園長などの職員を纏めている人が多いです。今までは企業参入が無かったので法人系の大半がこれに当てはまります。しかし、今の時代、保育士をはじめ求人はネットなどを駆使しないといけません。企業系はその点に関してノウハウもあるので、とても優れています。その差によって新卒や若い保育士の目に企業系の求人が目に止まりやすく、逆に法人系の求人はそれらの人に届きにくく企業系にばかり人が流れる現状があります。

企業系は企業なの利益追及しないといけなく、保育内容より利益追究重視の園がまだまだ沢山あります。そうではない企業系保育園も勿論あることは、忘れないでください。しかし、利益追究型で内情がブラックの園に新卒の保育士が就職する確率が、先に伝えた現状により高くなります。初めて務める職場ですから、それが保育園の現状と思ってしまう人も少なくありません。すると保育士という仕事に、希望を失います。人によってはそれが日本の保育園のスタンダードと思い、その事をツイッターなどのSNSにアップし同じ境遇の人がそれを拡散します。しっかりとした保育園も今のところはまだありますが、これでは保育士をしたいという若者は増えませんというか確実に減ります。

今日の保育の世界というのは人も現場もとても閉鎖的で特殊なところです。先日、私よりも歳上で保育のスキルがとても優れている方とお話をしている時に、それに関しても話が出たのですが、昔は今みたいに保育園が必要以上に忙しいという事はなく、定期的に全国から色んな園の保育士が集まってしっかりと情報交換・意見交換をし自分の園の保育が第三者から見てどう見えるのか、自分の園での問題を他の園ではどう対応してきているのかなどを生の声で質疑応答できる機会に、保育士たちがしっかり参加する様に園が仕向けそれに対する補助も出したりすることで充実してたそうです。

しかし、今は研修は色々開催しているがそこまでの場はなかなかなく、自分の園と身近な他の保育士の主観くらいでしか知る機会がない。あったとしても、それは普段から物事に疑問を持ち、探究心を持ち、積極的に自分から探してはじめてそういう場に参加できるわけで、保育業界ではそこまでの人が多数派ではないのが実情です。

そういう訳で、正直、

【中堅でもスキルが変なところに偏って、もっとも大事にしなければいけないスキルが身についていない中堅保育士も、今の時代残念ながらいます

保育園の中で保育士が子どもの名前を呼び捨てにして良い保育園は基本存在しません。

法人等で子どもの名前を呼ぶ際の規定があります。名前にくんやちゃんを付けるのみという母体もあれば、ご家庭内で呼ばれているニックネームや本人も周りからも親しまれているニックネームで呼ぶことを可としているところもあります。

しかし、呼び捨てを可としている所は私の知る限りでは聞いた事がありません。

色々理由があるのですが、《名前の大切さを教える》《名前で差別をしない》など様々な理由があります。私個人の考えでいうと、そもそも人様のお子様をあずかり受けているのに呼び捨てをする必要性・理由がどこにもないのです。

親しみは呼び捨てを使わなくても持つことはできますし、寧ろ呼び捨てにしないと親しみを持たせられない保育士は、既に保育士とは呼べるスキルや意識を持てていないと言わざるを得ません。子どもがいけない事をして注意する時であっても、呼び捨てに意味はないのです。

しかしながら残念な事に、中堅・ベテランでも子どもを平気で呼び捨てにする保育士は存在します。

逆に若くても良い先輩に恵まれ(当然本人もちょっとやそっとでは挫けずその先輩から沢山学ぶ精神を持ってスキルを身につけ)、【とても質の良い保育をする若い中堅保育士も実際に何人の見てきて知っているので存在します】

こういった流れによって負の連鎖によって最悪のシステムが構築されてしまっており、尚且つ、現場の人間は本質に気付くことは出来ていません。逆に何故自分は気づけたのか。それは5年前にカナダに語学留学で1年住んでいたのですが、正直、心底日本人の民度の低さを痛感し、日本の保育からのアプローチでどうにかできないだろうかと考え、4年前に自分で保育園を作ろうと、その為には現場の現場を知ろうと正規職員として保育士復帰し何園か年単位で勤めました。保育士をする中で客観的に現場を見、保育の基本が出来ていない保育士に対して『あの保育士はダメだ』で片付けず、何故その人は保育の基本すら出来ていないのだろうかという視点で物事を見直して検証したからです。要するに、それだけはじめから見る角度を変えた状態で観察し始めたからこそ、担任にはならず何園もフリーのいうポジションで見てきたからこそ、見えてきたものなのです。そうでなければ私も気付くことは出来なかったと思っています。

これらに当てはまらないのは、ご近所付き合いなどがまだ残っている地域のコミュニティーが今だにしっかり機能しているエリアの保育園です。でも、そういうエリアは基本的に本当の意味での深刻な保育園不足には陥っていなかったりします。

人間の子育てというのは、多数の人間がいないと基本的に出来ないものと遺伝子から見ても分かってきているそうです。それを今までは本能的にも分かっていて、家族だけでなく地域で協力して行ってきました。しかし、今日の日本は核家族化・地方から大都市への人口流出・悪質&凶悪犯罪の多発などにより人口が流入しているエリアは近所付き合いなども浅かったりと様々な要因が重なってしまい、皆無になりつつあります。

深刻な保育園不足の今、保育園を選ぶことはとても難しいです。

文句ばかり言っていても状況は何も変わりません。そして保育園不足・保育士不足も解消される目処も立っていません。即ち、負の連鎖による最悪のシステムもこのままでは解消されません。

私が皆さんにお伝えしたいのは、

保育園に入れるだけでありがたいと保育園に子育てを依存せず、自分の子どもが通っている保育園はどんな保育なのかを気に掛けて下さい。

●もし最低限の保育をしっかりしてくれている園であれば、そこの職員に優しい声をかけてあげてください。間違いなくとても貴重な人材で、その園は地域の宝ですので大切にしてあげてください。

●万が一なされていなければ、それはもはや保育園では無いので、保育園や役所に【改善を平和的に求めてる事】が貴方のお子様の為です。

※ここで決して間違ってはいけないのはあくまで【ポジショニング】と【見守り保育】だけに着目してください。上を求めればきりが無いですし、上を求めて保護者が色々クレームを言うことは保育にも悪影響を及ぼす可能性が出てきます。上を求めたい方は、高級な保育園やそういう事を身につけさせてくれる教室などに通わせてあげることを強くお勧めします。この2つが出来ていれば他の保育にも良い影響は必ず出てくるので安心してください。

※あと子どもの名前を頻繁に呼び捨てにする保育士がいたら直接園長の方にクレームを言って頂いて大丈夫です。呼び捨てをして良いとしている園がないというのが標準であることから、クレームを入れるべき事案です。

●自分の子どもは、時間のない中でもしっかりご自身で躾をして育てていくという親になるという覚悟を持って下さい。(正直に言いますと、地域の人の協力があり自然と良い躾が出来ていた時代の人の方が、その覚悟と子どもがある年齢になるまでは【子どもとの時間を楽しむという子育て】をしていたんだなと今の色んな子持ちの方を見ていて感じずにはいられない事も多々事実としてあります。)

ただ、覚悟という言葉を使うと《自分の時間を全て犠牲にして子育てしないといけない》と思ってしまう方が一定数いらっしゃるので誤解のない様書きますが、決してそういう訳ではありません。

ここでいう覚悟とは【子育ては色んな人と協力してやっていかないと出来ませんので人や施設に頼る事は良いのですが、自分で出来る範囲の事には全力で子どもの事考えて下さい。丸投げの人任せはやめましょう、《協力関係を常に念頭に》というだけの事】です。


【保育の基礎すらできていない保育園に改善を求める事をしないとシワ寄せは、その後の子お子様と保護者の方にやってくる】のですから。

私から勿論、色々改善策といいますか対抗策といいますかを提案をしていきますが、読者の方にもこれを機に色々と考えて改善策の模索をして頂ければと思っています。

他にも、色々と子育てに関する事・保育園に関する事・保育士に関する事などを書いていっていますので(更新は不定期)コチラをクリックして貰えれば読んで頂けるのでよろしくお願いします。
※他の記事は文章が10分の1ほどの短い記事となっております(笑)

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