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青春と、再会した。/三浦春馬君出演映画「SUNNY 強い気持ち・強い愛」

私の中の全米が泣いた。
泣くと思ってなかったから、驚いた。
これは、まるで私たちの物語みたいじゃないか。

「SUNNY 強い気持ち・強い愛」は、2011年公開の韓国映画「サニー 永遠の仲間たち」が日本向けにリメイクされた、笑って泣ける青春音楽映画。
韓国版では、過去の女子高生時代を1980年代後半に設定していたが、日本版では1990年代中頃の、いわゆるコギャルブームの頃に設定している。
日本版監督はドラマ・映画「モテキ」、最近ではドラマ「共演NG」の大根仁監督、音楽は、TKこと小室哲哉さんで、公開は2018年。
音楽の使い方が上手な大根監督が、珠玉の90年代J-POPをノスタルジックに映像に載せて、物語を紡いでくれた。
ちなみに、韓国版の音楽は、あのシンディ・ローパー先生の「タイム・アフター・タイム」や、ボニーMの「サニー」が使われている。
韓国でそれがどれだけ流行っていたかは分からないけど、韓国の曲ではなく、汎用性の高い英語のヒット曲を使ったところが、もともと、あの映画は韓国内だけで終わるだけじゃなく、世界を目指してたのかもなという意気込みは感じられる。
それに比べると、日本は逆で、音楽ももともとガラパゴスだし、J-POPだけで固めてくれた方が、人々のハートには刺さりやすいだろう。
(▼全曲ちょっとずつのメドレー、下の動画で見て聴いてみて。)

韓国版オリジナルも面白かった(▼)。

日本版では、主人公・奈美の現在を篠原涼子さん、女子高生時代を広瀬すずさんが演じている。
そして、女子高生時代の奈美が憧れる、年上のDJやってる男の子・渉役で三浦春馬君が出てくるのだ。

あらすじは、一番上の動画を観てもらえば、大体わかるのでそちらにご覧くだされ。

いつもなら、どの映画の記事も春馬君の登場シーンにフォーカスして、春馬君のべた褒め祭りを繰り広げるところだが、この映画ではちょっとそれは難しそう。
春馬君のところだけをピックアップするのは無理っぽい。
というのも、春馬君の出番自体が少ないこともあるけれど、この映画に対する私の思いが強すぎて、その思いを言葉にして書いておきたいという欲求がおさまらない。
申し訳ないが、この映画を観ながら私が思い、感じたことを最初から最後まで、春馬君のこともそうでないこともミックスして、ほぼほぼノーカットで書いていくので、皆さん、お付き合いどうぞ夜露死苦。

名場面をプレイバック!いや、1990年代へタイムワーーーープ!

ー 冒頭、ローファーにルーズソックスを履いた女子高校生らの足元が映る。バックには安室奈美恵さん(以下「安室ちゃん」)の「SWEET 19 BLUES」が流れる。いきなり安室ちゃんかっ!うわー、心が鷲掴まれる。もうこの曲を聴くだけで、一気に1990年代まで脳内タイムトラベル。安室ちゃんの歌、よくカラオケで歌ったものだ。

ー 韓国版と日本版とで、ところどころ違っているところもあるけれど、シナリオや撮り方はほとんど同じ。オリジナルとここが違う、同じって比較しながら観るのも楽しい。韓国の社会情勢に関連する部分はばっさりカットされているし、似たようなシーンでもちょっと意味合いを変えていたりして、日本向けに外したり、加えたりしたところは、ストーリーの良いスパイスとなっている。リメイクものの例としては、非常にうまくいったケースなのではないかと思う。

ー 奈美が母校を訪ね、自身の女子高生時代に思いを馳せるシーン。もうこのあたりから、私のノスタルジー感が炸裂。年がバレるのがアレなのだけど、私はずばりこの世代だ。私も女子校育ちで、中学・高校の6年間、同じ学び舎で過ごした仲間がいた。それなりに厳しい学校ではあったので、SUNNYの皆みたいに、そこまでギャルギャルしてはいなかったけど、先生の目を盗んでは、ルーズソックスを履いて、スカート丈を短くして、ラルフ・ローレンのワンポイントが付いた服を着て、うっすら茶髪にしてみたり、バーバリーのマフラーを巻いたりして、色んなことをやらかしていた。冒頭の奈美のモノローグにもあるように、あの頃は、毎日が楽しくて、毎日面白くって、毎日笑ってばかりいた。それは全くその通りだ。

ー 久保田利伸 with NAOMI CAMPBELLの「LA・LA・LA LOVE SONG」。この曲に合わせての、登校時に絡めて大勢の女子高生ダンスシーン。校庭で皆で踊る直前までは、カットなしの長回しで撮ってるように見える(上手く繋いでるかもしれないけど)。1コーラス分丸まる使って、ミュージカル風に仕立てていて、それが女子高生の「パワー」をすごく感じられる絵面になっている。私の好きなシーンでもある。当時、私も有志でダンスチームを組んでいた。文化祭の時には、中庭で制服姿でダンスを披露したのを思い出す。ダンス用の衣装を作ることなく制服にしたのは、制服が当時の私たちを象徴して、私たちを一番カッコよく見せてくれる、最高の戦闘服(ユニフォーム)だと思ったからだった。

ー 鰤谷(小野花梨さん)とかが一番見てわかりやすいけど、日に焼けてる子が多いのにお気づきだろう。日焼けと言えば、こんなことを思い出す。

私が学校にいた頃は、ヤマンバギャルとかが登場する前だったけど、イケてる女子の間では、日焼けした肌の方がイケてるとされている時代だった。ある日、普段はあまり話しかけてこない、同じクラスのちょっと大人っぽい子から、「垣さん、良い色に焼けてるね、どこの日焼けサロンに行ってるの?」と聞かれた。しかし、私は日焼けサロンなんかには行っていない。受験勉強もあったからそんなに遊びにも行っていなかったし、ただ単に、生まれ持ったメラニン色素の反応がすこぶる良かったというだけで、毎日の登下校と体育の時間に日に浴びただけでの、このこんがり小麦肌。いや、自覚のないまま、ナチュラルにガングロ女子高生になっていたという事実に驚愕し、彼女の問いに返す言葉が見つからなった高校三年生の私。(遠い目)

ー 当時の小道具の再現度がめちゃめちゃ高い。ルーズソックスを良い位置で止めておくための、ソックタッチ。ストローを突っ込んで1日中飲み続けた、1リットルの紙パックのジュース、確か100円だった。お金がない時も助かるので、私たちは「ビンボー(にも優しい)ジュース」と呼んでいた。無印良品(だったかな?)の写真用のクリアファイルに入れて、蛍光色のポスカとかで、写真にメッセージを書き込んだものだ。奈々(池田エライザさん)が履いていた、チェックのプリーツのミニスカート。あれは、安室ちゃんが妊娠・結婚の記者会見の時に履いてて、その後に流行らせたものだ。

ー 梅(渡辺直美さん)の会社の上司(新井浩文さん)。1シーンしか出てこないのだけど、やっぱり新井さんって芝居がうまいなぁって思う。緩急付けて、しっかりと笑いにする。インパクト十分。短い間にもしっかりと爪痕を残してる。残念でならない。

ー 芹香(山本舞香さん)と鰤谷のもみ合いを止めようと、奈美が怒鳴り散らすシーン、笑えるわ。白目向いて奇声を発する奈美。「口に手、突っ込んで奥歯ガタガタ言わしたろか!耳の穴にストロー突っ込んで、脳みそチューチュー吸うたろか!」ここ、韓国版も同様にゲラゲラ笑えるシーン。すずちゃん、よく頑張った!あー、何度見ても面白い!(笑)

春馬君登場シーン①

ー SUNNYのメンバーが、梅の家で遊んでいるところに、梅の兄が友人を連れて帰ってくる。その友達の最後に入ってきたのは~~~~~、前髪をかきあげながら~~~~~~、渉が~~~~~~、キタ~~~~~~~~~~っ!キラッキラしとるわ、キラッキラ。韓国版原作では、イム・ナミ(韓国版の奈美)に向かって、ジュノ(韓国版の渉)が「可愛いね。」って言って去っていくのに、日本版リメイクは「よろしくね。」で終わる。あんまり期待を持たせてくれない、渉はつれない。あのねぇ、この頃、こういう髪型の男の子はいた、確かに。でも、そういう髪型をする男の子は、オシャレに目覚めてて、女の子にもモテたいし、スレてて粋がった感じの子が多かったと思う。だから、こんな春馬君みたいな綺麗なお顔じゃなくて、もっとワイルドな感じというか、危険な匂いもするような、誤解を恐れずに言えば、皆、もっと人相が悪かった(断言)。春馬君、貴方は美し過ぎる。でも、韓国版のオリジナルに近づけるという意味なら、春馬君で正解。韓国版での渉にあたる、ジュノを演じたのはキム・シフさん。こちらも春馬君に負けず劣らず、甘~~~~いマスク。(▼)

ー 大人の奈美、自宅で、娘(松本穂香さん)の制服を着て、安室ちゃんの「Don't Wanna Cry」を熱唱。それを娘に見られる。恥ずかし過ぎて、もう目も合わせられない。言い訳すら出てこない。ここもオリジナル同様、めっちゃ笑えるシーン。逆に、自分の母親が自分の制服着て歌って踊ってたら、申し訳ないが、とりあえず、私だったら暫く寝込みそうだ。最近の女子高生は、わりとドライなのだろうか。「自分の買ったら?」と、軽く流しているところが凄い。

春馬君登場シーン②

ー 渉の後を追って、クラブに入り込んだ奈美。渉が、自分のヘッドフォンを奈美の耳にあてるシーン。これ、渉のヘッドフォンからCharaの「やさしい気持ち」が流れるとかありえないし、周りにシャボン玉まで飛んじゃってるし。でも、これはきっと奈美の頭の中では、シャボン玉が飛んで見えて、Charaの「やさしい気落ち」が聴こえたってことなんだろう。本当なら、あの、渉のヘッドフォンから流れる音楽は、ゴリゴリのヒップホップだと思う。

Charaで思い出した、全くどうでも良い余談だが、もしカラオケ好きの方がいたら、「Chara選手権」をやってみるとすっごい楽しいのでお勧めする。「Chara選手権」とは、あらゆる曲もCharaみたいに歌ってみるっていうだけのことだが、面白すぎて息ができなくなるぐらい笑えるからぜひお試しあれ。「Chara選手権」をきっかけに、私は千葉雄大君のことが好きになりました。(from「久保みねヒャダ こじらせナイト」)

あと一つ、クラブと言えば、私も背伸びをして、何度か芝浦のクラブには行ったことがある。そこでは、テレビで見る芸能人、雑誌で見る有名なダンサー、モデルたちがいて、煌びやかな世界が繰り広げられていた。私みたいな何の特徴もない普通の女子高生だと、かなり気後れする空間ではあった。クラブに行くのも、その時にできる、精一杯のおしゃれをしたつもりだったが、今思えば、私は奈美みたいだったのかもしれないと思う。つまり、ダサかったということだ。

ー 白目をむいてトイレを探す奈美。急に正気に戻り、「なんなんこれぇ!なんなんこれぇ!運命ちゃうの、これ?渉、ごっつかっこいい!きらきらしとったぁあああ!」と叫んでしまう。さりげなく、渉のこと、呼び捨てにしている。わかるよ、奈美。渉、めっちゃかっこよかったなあ、後ろのミラーボールの反射も手伝ってキラキラしとったなぁ。その通りだよ、奈美、渉はごっつかっこいいな!

春馬君登場シーン③

ー 絡む鰤谷らから奈美を助け、帰り道、奈美を送っていく渉。渉が黙って奈美に顔を近づけてくる。奈美は内心、「来るぞ、来るぞ。」と、キスされると思って目を閉じる。すると、渉は「ガム…。」と髪についたガムを指して言う。どうやら、先ほど鰤谷らとのもみ合いで、ガムが髪についてしまったらしい。渉曰く、サラダ油を付けたら取れるのだそう(from 「伊藤家の食卓」)。このシーンで、私はこんなことを思い出した。

もっと大人になってからのことだったけど、当時、付き合っていた男の子とカフェのカウンター席に横並びで座っていた時のこと。私の顔をまじまじと見ながら、顔をゆっくりと近づけ、私の顎のあたりを触る彼。私は「え?これはキッスではないのか。キッスされるのではないのか。昼間なのに?こんな公衆の面前なのに?キッスされるなんぞ、え?うそ~~~~~!!」と思いつつも目を閉じようとした瞬間、顎に微かな痛みが。
「毛!!!!!!」
彼がそう言った。私の顎に、短くて太い毛が生えていたのだ。(人はそれをヒゲと言う。)それに彼は気づいて引っこ抜いたのだ。自分の顎に太くて短い毛が生えていたこと、それに気づかず、ずっと顎から毛を生やしたまま笑って生きてきたこと、彼にキスされると勘違いしたこと、彼にその毛を気づかれたこと。もう、もう、もう、もう、恥ずかしくて死にたいDEATH。

頭にガムつけるってどんだけ鈍くさいんだとも思うが、奈美よ、ガムなんて大したことない。私なんて、毛だ!毛!顎から生えた毛を好きな人に引っこ抜かれる、史上最悪の辱め。奈美はいいな、「彼氏って言っていいから。」って渉に言ってもらったのだから。

ー 芹香(板谷由夏さん)、梅、裕子(小池栄子さん)、奈美が女子高生の格好をして、浮気をしていた裕子の夫に仕返しをしに行くのだが、大人SUNNY、意外に制服コスプレが似合っている。それに、大人SUNNYと女子高生SUNNY、制服の着方がそれぞれ同じになるよう気を付けた感が見て取れる。篠原さんはすずちゃんに見えるし、板谷さんは舞香ちゃんに見える。大人SUNNYの面々、このシーンを撮る前に女子高生SUNNYの映像を観て、しっかり寄せてきたと思われる。

ー 空き教室(?)かどこかで、小沢健二の「強い気持ち・強い愛」に合わせて踊る女子高生SUNNY。もう後ろの奈美が、奈美が、奈美のダンスのひどさが…、もうお願いだから、奈美だけを見て欲しい。笑えて笑えて仕方ない。途中、奈美はラッセン芸人・永野になっていなかったか。なってた、うん、なってた。

ー グループ名の「SUNNY」、もっとあの頃っぽい名前もあるような気もするけど、「SUNNY」って韓国版オリジナルの映画タイトルでもあるし、リメイク版では、このグループ名だけは絶対に変えられなかったかもしれない。ただ、日本版では単に韓国オリジナルの指定通りというわけではなくて、SUNNYのメンバー一人一人ともリンクさせたんだなって、この5文字をよーく見ているとわかる。

ー 大人の心(ともさかりえさん)、奈美と再会するところからの登場だけど、この落ちぶれてしまった姿でストーリーに入ってくるのに、結構な役作りが必要だったのでは。見てる観客は、1990年代と現代を違和感なく行き来してるけど、演じてる役者さんはそれぞれの年代でしか演じてない。一方、役の中のSUNNYは、1990年から現代(2018年)までの人生もあったはず。その間の人生を埋めながら、大人SUNNYは役を作る必要があっただろうから、その役作りは楽しい反面、難しいところもあったかもしれない。

ー 将来の自分へのビデオメッセージ。それぞれのセリフは決まっていたそうだが、アドリブも多かったそう。芹香の涙は予定にはなかったものだそう。いいなぁ、あの頃は。あの頃の未来に私たちは立っているのかな。立ってないかもしれないな。って、SMAPの「夜空ノムコウ」の歌詞みたいなことを考える。

春馬君登場シーン④

ー 渉を見に、海辺のイベントに向かう奈美。相変わらずダサい。渉はA BATHING APEのTシャツを着ている。あの頃、流行っていた。映画の中では「SWEET 19 BLUES」が後ろに流れるけど、たぶん、渉が回す音楽はヒップホップだと思う。そうなると、春馬君のノリ方がなんか微妙。撮影の時、音楽は何を掛けてたのか気になる。だって、春馬君、全然ノレてないから。

ー 大人の奈美、海岸近くのお店へ。入ると、昔の渉にそっくりな青年が。奈美に気づくと、「いらっしゃいませ~。」と言って微笑む。「お父さん、俺、そろそろ行くよ~。」彼は渉の息子だ。奥から、渉と思しき男性が出てくる。奈美は「お久しぶりです。」と言い、封筒を手渡すが、渉は奈美のことを覚えていない模様。封筒の中には、奈美が行ったイベントのフライヤーと、そのイベントの時に撮った渉の写真が入っていた。この現代パートでの、春馬君が演じる渉の息子は短髪。やっぱり短髪の春馬君の方がいい。春馬君のは、Twitterに下の写真をあげていた。こんな風に腕を組んで浜辺を歩くなんてシーンは、映画の中にはない。韓国版にも似たようなシーンはない。回想用とかに撮っておいて結局使わなかったシーンなのか、スチールを撮るために二人で歩いてみたのか。このシーン、渉とこういう風に歩いてみたかったんだよっていう、女子高生だった頃の奈美の願いを叶えてあげているよう。だけど、現実はそうではなかったっていう、胸がキュっと締め付けられるような、切ない思いも同時に胸に来る。篠原さんと春馬君、やっぱりこの二人の組み合わせはしっくりくる。ちなみに、この渉のお店はセットではなくて、由比ケ浜のレストランシードレスバーという、実在するお店だそう。

ー 海辺でタバコを吸っている渉。脚が長い。そこに、これまた脚の長い奈々がやってきて、二人でぶっちゅーーーーーー!とキスをおっぱじめる。あんな大人なキス、目の前でしているの見たら、しかも、渉の相手は仲間の奈々なのだから、ダブルでショックだったろう。どうでもいいけど、春馬君って、出演作(映像)でキスシーンのなかったものって何がある?「銀魂2」ぐらいじゃないのか。ほぼほぼ、大抵の女優さんとぶっちゅーーーーってしてるんじゃ?

春馬君登場シーンまとめ

ー 春馬君の出演シーンはここまで。出番はあまり多くはないけど、ストーリーのキーになる重要な役どころだった。渉を演じる春馬君を見て思ったのは、案外、近い時代の役柄を演じる方が、役作りって難しいのかもしれないなってこと。いや、もしかしたら役作り自体は、普段とそう変わらないかもしれないが、実際にその時代を生きていた人が観客側に沢山いるので、リアリズムが足りないと厳しい評価を下されがちなのかもしれない。春馬君も、撮影前には色々資料を見たり、キムタクみたいな風貌でどうイヤらしく見えないか研究して臨んで、シナリオ通りに演じたのだろうと思うけど、その時代を生きた私からしてみたら、何とも表現しがたい違和感が、渉にはずっとある。簡単に言うと、当時、あんなイケメン(当時はイケメンなんて言葉はなかった。)なんていなかった。もっと皆、カッコ悪かった。春馬君の渉は美し過ぎる。あんなシュッとした人、そういないから。ていうか、もしも、あの時代に渉みたいな男の子がいたならば、私は、その渉みたいな男の子に出会ってみたかったって思う。当時、DJだの、ダンサーだのっていう、昔の言葉では「B系」の男の子ってのは、カッコよく見えたものだ。渉みたいな人のことも、きっと好きになってしまうだろう。でも、私も奈美みたいに撃沈するんだろうね。

ー 芹香のお葬式でのダンスシーン。もうここで私はオイオイ声を上げて泣いた。芹香が亡くなったのが悲しいから?SUNNYの皆が集まったから?何でこんなに泣くのか、自分でもよくわからない。この映画を初めて見たのは、春馬君が亡くなってから1週間位した後で、こんなにキラキラしていた春馬君はもういないんだなっていう喪失感も強くあった。いつ、人は亡くなるかわからない。生きているうちに、会いたい人には会っておけ。そういう思いもあるだろう。けれど、それだけの涙ではない気がする。私の仲間も、高校卒業後はそれぞれ別の大学に行って、就職をし、結婚したりしなかったり、子供はいたりいなかったり、今は、仕事を持っていたりいなかったり、海外で暮らしている子もいる。今も頻繁に連絡を取り合う子もいるけれど、ある時から連絡を取れなくなってしまった子もいる。私にとって、彼女たちと過ごした6年間は、本当に楽しくて、面白くて、笑ってばかりの思い出しかない。あの頃は楽しかった。でも、もうあの頃には戻れない。あの頃以上の楽しさを、味わえることはもうない。そういった寂しさもあるが、もしかしたら、あの頃は良かったって言える思い出があることは、幸せなことなのかもしれない。そんな思いがぐっちゃぐちゃに混ざり合う。

ー 日本版エンディングは、オザケンの「強い気持ち・強い愛」に載せての女子高生SUNNYと大人SUNNY全員でのダンス。実は、韓国版だと、シンディ・ローパーの「タイム・アフター・タイム」が流れ、最後にハ・チュナ(日本版での芹香)のお墓のイラストが出てきてしんみり終わる。日本版はすっごい明るくポップに仕上げてくれて、私はこっちの方が好み。

「青春と、再会する。」

初めてこの映画を観たのは、春馬君が亡くなった1週間後のこと。
春馬君のことを知りたくて、出演作を片っ端から見始めた中の一つだった。
「青春と、再会する。」
これは、この映画が公開されたときの、宣伝ポスターに書かれていたキャッチコピーだ。
春馬君を見ようとしただけだったのに、思いがけず、私も、私の青春と、再会することができた。
そういう意味では、春馬君、きっかけを与えてくれてありがとう。
とても悲しい出来事が発端ではあったけれど、自分からはなかなかリーチできない、新しい映画の世界に私をいざなってもらえたように思う。

こんなに自分とシンクロする主人公が出てくる映画なんて、いまだかつてなかったと思う。
これは、「私たち」が主人公の映画だと思う。
そう思わせてほしい。
そんな映画に、巡り合えてよかった。
私の仲間にも、薦めたい。
できることなら、一緒に観ながら、あの頃のことを語り合いたい。

もしサポートをいただけるのでしたら、自身の心を潤すような音楽や映画などなど、エンターテイメントのコンテンツ購入に充てさせていただこうと思います。