kujira / atsunori takahashi

ランドスケープデザイン事務所のクジラです https://kujirascape.com

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  • クジラの考えるランドスケープデザイン

    まだまだぼやっとしているランドスケープデザインについてまとめてみました

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ランドスケープデザインの世界へようこそ

 ランドスケープデザインを生業にしているけど、デザインの分野の中にランドスケープデザインというものがあることはどのくらい知られているのでしょうか。  自分は大学時代から、かれこれ15年くらいは考えていることだけど、なかなか共有したり発信できていなく、上手くも伝えられてないんだろうと思うところ。  日本では建築のひとつの分野、屋外やみどりの設計という認識が強いけど、学問や領域を考えると実はちょっと違うところにあるものだと考えてます。とはいえ、自分でも整理しきれてはいないのです

    • 湯河原惣湯 玄関テラス

       久々に湯河原。以前から行われていた湯かけまつりですが、何度も通っているのに初めてでした。本当は公園の改修前に行きたかったんだけれども、それが叶わないまま改修は終わり、コロナでの中止もあったりで、関わり始めてから5年以上経ってようやく参加することができました。  なかなかにゆかいな祭りで、お湯や桶が商店街の中を飛び交う様子など普段目にしたことのない光景が最高でした。近くに泊まれたら中に入りたかったくらい笑  竣工の際にも万葉公園のことは書いていたものの、当時は他の仕事もあり

      • 三島駅南口駅前広場整備計画案について

         先日、用事があり三島の市役所を訪れた際に、三島駅前広場の計画資料や模型が展示されていました。それを見て市民であり、ランドスケープアーキテクトとして、思うところがあったので、せっかくの機会に記載しておきます。(計画に対する意見を書いてしまうと設計界隈の方に怒られそうだけど、今回は市民、つまり当事者ということでお許しを。)  それに、少し考えたことを整理できたので、自分のランドスケープ観や公共空間の設計の考え方を理解してもらうのにちょうどいいかと思いまして。 最初に模型を見て

        • わっぱらのぬるめ

          昨年の途中からまたフリーランスランドスケープ生活に戻ったのでだいぶ時間があったなぁと改めて。あまり準備をせずにそうなったのでいろいろ大変だったけど、おかげでいろいろなところに行けたりも。 そのうちの一つが夏に行った、長野県大町市わっぱらのぬるめ。 なにかでここの写真を見て行きたいなと、ただそれだけで向かってしまった場所なのでした。 「ぬるめ」は、北アルプスの雪解け水を集めて流れてくる川の水がとても冷たいことから、水稲の生育に適した水温へ上昇させるために、浅く広く蛇行させな

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        ランドスケープデザインの世界へようこそ

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        • クジラの考えるランドスケープデザイン
          4本

        記事

          路面電車のある町

          宇都宮でライトレールが開通したとのことで、全然違うところに住んでいるのにちょくちょく調べていたりします。 全国では新規路線は昭和23年以来、LRT新規路線としては初めてとのこと。東日本でも古くは各地であったものの廃止されて、今回の宇都宮の取り組みは新しいものであり、またこれからの可能性を図るためのものとして取り扱われそうでだいぶ気になっているところ。 そんなわけで路面電車が好きです。 といっても、路面電車そのものよりも「路面電車のある風景」が好きだったり。 路面電車のある

          パリの景観 その2

          外での過ごし方 フランス人は外での過ごし方が違う。 気候の違いか文化の違いかフランスでは外でのんびりしたり、ゴハン食べたりするのが当たり前のよう。人と人との距離も近い。 追いかけるように日本でもウォーカブルな町にしようとかしているけど、日本ではそうはなかなかならないんじゃないかと思うくらい。 たとえ心持ちがそうなったとしても、40度超えるような夏では外にずっといられないし、外にある程度の時間滞在できる物理的な仕組みが必要だし、パリはそこまでの気候ではないけどすでにしていると

          パリの景観 その1

          もろもろ一段落して空いた時間ができたので、フランスに行ってみました。 建物や施設はほどんど外から見ただけなんで、内装とか中身までは全く見てないし、エッフェル塔さえも登ってない。美術館巡りをサラッと少し。 とにかく町歩きに時間をかけました。ゴハンはしっかり食べつつ。 パリの町は昔ながらの建物が多く残っているからそれ見てるだけで楽しいし、それに伴って由緒ある広場や聞いたことある公園も多くあってむしろずっと歩いていたい町でした。それに舗装やストリートファニチャー見るだけでも十分

          ココロの景色

          かねてからやろうとして、15年以上ほったらかしてしまったランドスケープの宿題をようやくこのお盆に整理したので、恥ずかしながら公開してみます。 大学のときの卒業研究なんですが、「スタジオジブリの作品にはランドスケープめいたところが多くあるなぁ」となんとなく思っていたとこから始まったことに加え、今も自分の評価基準の一部になってるので改めて整理してみたというところです。※今回のタイトルはその卒業研究の題名でもありまして。 よかったら、これを見られた方の風景観とかジブリ観を聞かせ

          風景観

          なんでランドスケープデザインに関わっているかということをときどき考えるんですが、なんとなくいつも思うのが、「場所」を感じられる分野に関わりたいと思ったからかなぁと。 関わり始めたのは1人暮らしをしたいのと雪国で暮らしたいと思って進学した新潟の長岡造形大に入ってこの分野に偶然出会ったというところですが、建築や都市計画も選択できるのにこの分野を選んだときのはそれら以上にランドスケープという分野がより場所を感じられるからと思ったからと記憶してます。 その根源はおそらく小さい頃の

          公園のリノベーション

          神奈川県の湯河原万葉公園が竣工しました。2016年頃の周辺調査など構想開始から関わり始めていたので、もう5年くらい経ちます。といっても当初は公園をどうするか?という話ではなく湯河原の温泉場をどうするかという話だったのですが。 温泉場区と呼ばれる地区を歩き回って、地域の資源を探し歩いたのですが、あれやこれやしているうちに公園と隣接する観光会館を改修する計画になっていきました。「公園を温泉場の入口の滞在広場として蘇らせる」というもの構想となりました。 温泉場区の入り口に万葉公園

          公園のリノベーション

          風景への取り組み

          というわけで、クジラとして取り組むランドスケープデザインは、ただのサイトプランニングということだけでなく、できれば町並みとか里山とか生業の風景に関することに取り組めないかなぁと思っているところです。 実践できるものなのかよくわかってもいませんが、今関わっている古民家改修のまちづくりがそのヒントになりそうと思っていたりもするわけです。 精進せねばですね。

          風景への取り組み

          クジラのランドスケープデザイン

           さて、ランドスケープのデザインに戻りますが、敷地のデザインに加え、風景・景観としての目線があるものと捉えています。 ※ここまでいろいろと述べてきましたが、自分としてはランドスケープデザイン=風景をデザインすることと捉えたまま(勘違いしたまま)でいます。 敷地デザインとしてのランドスケープデザイン ランドスケープデザインの職能として、日本で最も認識されているのが敷地デザインであるかと思います。これは自分自身もランドスケープデザイン事務所に勤務していた頃から取り組んでいたこと

          クジラのランドスケープデザイン

          その前に、

           「ランドスケープデザイン」を考える前に、「ランドスケープとはなにか?」「デザインとはなにか?」、ということを先に考えてみたいと思います。  ランドスケープデザインという言葉はニューヨークのセントラルパークができる際に生まれた言葉らしいです。  "landscape"は直訳すると風景。つまり、風景をデザインすることがランドスケープデザインと言え、風景や景観を構成する諸要素をデザインすることと捉えるとよいかと思います。(「風景」という言葉も色々な意味を持っており、ややこしいの

          ランドスケープデザインとはなにか

           ランドスケープデザインとはなにか?というのを考え、整理してみました。 というのは、日本では特にあまり認識されていないことに加え、人によって捉え方が異なるように感じられるので改めて。(と言いつつ、ここではクジラが考えるランドスケープデザインとして捉えてもらえればと思います。)  日本の大学でランドスケープデザインに出会った自分ですが、大いなる勘違いをしていた(る?)こともあり、改めてランドスケープデザインとはなにかということを考えてみたく思ったのも理由の一つです。 ではさっ

          ランドスケープデザインとはなにか