影響

寺山修司の詩集を一冊、買ったまま、少し読んで本棚にいたものを、今日改めて読んでみた。買った当時よりも感銘を受けて、溶けるように詩集に心を委ねながら、ふと、自分は過去に読んだ際の詩集の内容を全然に覚えていなかったけれど、今日の自分の詩の言葉は、眠りの中に影響を受けていたことを知った。溶けあった輪郭のまどろみが、私の詩のかすかな息のつかいのように、こちらに目じりで笑いかけた。女性の腕の、柔らかな肌の、甘い体温の香りのような。夢はたしかに、春風のよう、慈しんでは、なでてゆく。

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