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【詩】先生 (劣情の嘔吐)

先生、あなたは男で
あぁ、あなた初老に壮年だ。

あなたにはじめて会って
あなたの言葉はすぐに、
私に宇宙だって
知らしめた。

香水をつける男なんて嫌いだけども
あなたの香水は死ぬほど好きだと

描かれた漫画は、衝撃のあの頃で

先生、わたし、いま
先生にならキスできる気がする

先生、あなたそんなこと言う
子どもに顔をしかめるから

先生、あなたに飛び込もうにも
あなたは私に興味がない

私は笑顔に好きを纏いながら
あなたにLaLaラ、突進する

そして六十センチの空間に
跳ね返される
優しいオノマトペとともに

先生、私はあなたが好きで
先生、それは恋情ではなくて

先生、あなたは私に女の
魅力を見出だしてなくて、

私、あなたに憧れていて
あなた、学生時代モテていたと
自慢を通さぬ事実をくれたわね

私は笑いながら
私も周りと変わらぬ女だと
お酒に酔えない心の縁が
ひんやり、伏せ目に囁いた

あなたの部屋はいつも香水の香りがして
私、十年越しに、彼女の言葉を知ったの

あなたは、わたしに興味がなくて
だから私はあなたが好きで

先生、せんせい、

あのね わたし ゆめを みた

私は先生の部屋を知っているのに
なのに重たいあの部屋に
あなたがいるのと
確信だけで開けたのよ

不思議と、わたし、

深い緑の壁紙に
重厚感のある机

なぜか扉は二枚、あった

先生、私に
話を聞いてあげるから、と
ショートケーキを買っておいでと
眼鏡をとおして、笑いかけて

先生、私、嫌な顔されてもいいの
先生、だから、嫌わないで

うっとおしいと、思わないで

折角、先生は
笑ってたのに
違う誰かが部屋にきて
先生、怒って 話せなくなった

センセ、

夢はクルクル歩いて歩いて
センセは、なぜか、家にいて
私は料理を、しようとしてた

先生、私に間に合わせずに
無言で包丁使ってた

ジャガイモ片手に
くるくるくるくる

くるくるくるくる
くるくるくるくる

せんせい わたし きづい たの

先生の包丁握る手が
手だけが何故か、わかってて

短く太い指たちは
私の父の ものだって

せんせ、わたし、きづい、たの

緑は父の 好きな色
渋い机は 父のもの

あなたは父に変わってた

夢なる男はアニムスで
父なるものでも
あるんだろうね、

先生、

二枚の扉のぶんだけ

あなたの六十センチのまま

先生、
先生、

ねぇ、先生

ねぇ、嫌な顔していいよ
先生、だからこっちをみて

ねえ、わたしが一番可愛いと

一番 可愛い 生徒と 言って

一番と、言って!!

(父さん!)

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