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長編

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複数編の怪談です。一編の長さは中編と同等か若干長いです。
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2024年4月の記事一覧

ムシ ムシ ムシ 第四話

ムシ ムシ ムシ 第四話

脅威の羽化

 全世界の既知の総種数は約175万種で、このうち、哺乳類は約6,000種、鳥類は約9,000種、維管束植物(木や草、野菜などを思い浮かべて貰って差し支えない)約27万種。これに菌類などを合わせても、昆虫種の約95万種には遠く及ばない。更に言えば、アマゾンを筆頭に未開の地には未確認の生物が生息しているとされている。一部の科学者曰く
「地球上には凡そ2000万種の生物がおり、人間はその1

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異形の匣庭 第二部⑫-3【怨故知新】

異形の匣庭 第二部⑫-3【怨故知新】

 テーブル、麦茶の注がれた湯呑みが二つ。
 毎秒無音をかき消す秒針、時折唸る冷蔵庫と製氷機。
 妻と母、あるいは既にこの世にいない人物の写真。

 綺麗に整備されたアスファルトの歩道と目隠しの為に設置された生け垣の間に、エントランス前の噴水から続く水路がどこかの用水路まで続いている。用水路がほんのりと電球色に照らされ生け垣に反射し、ゆらゆらと生け垣の木々が揺れている様に見える。
 首が痛くなる高さ

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ムシ ムシ ムシ 第三話

ムシ ムシ ムシ 第三話

シンクロニシティ 渡り鳥は隊列を作り集団となって飛ぶ。先頭の鳥の羽ばたきが空気の渦を作り出し、後方の鳥達が少ない力で飛べる様になるからだ。列の順番を順繰り入れ替え飛ぶ事で、先頭の負担を減らし長距離を移動する。
 飛行力学を本能的に理解し適用出来るのが、渡り鳥が群れである利点といえる。
 逆に鷹や烏、カワセミ等は基本的に単独で行動する。勿論番いになれば別だが、それでも寿命までの大半は単独だ。
 彼等

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異形の匣庭 第二部⑫-2【怨故知新】

異形の匣庭 第二部⑫-2【怨故知新】

 一軒のアパートの前に立ち、終始何かを気にして辺りを見回している。
 目の前をヘッドライトが横切ったのを確認して道路を渡り、1階中央の部屋に入っていく。
 物が散乱した室内のどこからか饐えた匂いが漂っており、これだけの暑さの中クーラーも扇風機も無い故の蒸し暑さが臭さを増進させている。
 廊下でそれらを纏いつつ一番奥へと向かい、ポケットから鍵を取り出して部屋の鍵を開ける。
 年季の入った学習机の他に

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