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短編

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#短編小説

山に埋まっていた物【怪談】

山に埋まっていた物【怪談】

作業員全員が土の詰まった筒を見て固まっている。

地質調査の為に訪れたこの山地で、通常通りのボーリングを行った際に異変は起きた。
土の詰まったパイプを外し中身を確認した所、地面から数メートル下の部分で人骨が発見した。人骨が見つかるのは別段珍しい事では無い。
問題なのは、それが1番上の人骨から約2メートルおきに3箇所、綺麗に頭蓋骨のみが入っていたからだ。
つまり、体の向きはどうあれ、全く同じ位置に人

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年明け早々の【オカルト】

年明け早々の【オカルト】

「あー・・・・明けましておめでとうございます」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・おめでとう」
神社へ延々と続く人の波の途中、あと半分といった所で日付が変わり、至る所から新年の挨拶が聞こえてくる。
何時間ぶりに口を利いただろうか?まず間違いなくこの波に並び始めた時から、お互い咳の一つもしていないと思う。最寄り駅に着いてから?いや電車に乗る時もその前の居酒屋でも、言葉を交わした記憶がない。
しか

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鏡の池【都市伝説】

鏡の池【都市伝説】

特に名前もない、何の変哲もない溜池がある。元々は農耕用だったのだが、過疎化と共にただ生活排水を垂れ流す為だけになってしまった、どこにでもありそうな池。
だがいつ頃からかその池は「鏡の池」と呼ばれる様になった。藻や浮草、生活排水その他諸々によって鏡と言うには程遠い汚さと反射率なのだが。

月の無い夜に覗き込むと、鏡を張った様に綺麗に自分の姿が水面に映るのだと言う。そこですかさず
「お代わりください」

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いたずら電話【都市伝説】

コールセンターで働いていると稀に妙な電話が掛かってくる事がある。大抵はイタズラ電話の類いとして処理される方が殆どだが、明らかに「そういうもの」の場合もあるのだ。
先月私が取った電話では、初め風を切る様な「ビュー」とか「ゴー」みたいな音が聞こえたと思ったら一瞬人の話し声が聞こえ、そのすぐ後に凄まじい衝突音がした。あまりの大きさにヘッドセットを外してしまったが、付け直した時には普通に客が話していた。客

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