マガジンのカバー画像

短編

15
数分以内に読める怪談です。
運営しているクリエイター

#ショートショート

リベット【オカルト…?】

リベット【オカルト…?】

「この国が誇る素晴らしい技術によって、唯一無二の文化は保たれて来た訳です」
司会を務める芸人が声高らかに説明する。
「人口は減少傾向にある訳でありまして、つまり今対策をしなければこの国の、世界的な経済力は衰退してしまう訳でして」
ゲストとして呼ばれた政治家が神妙な顔で訴える。
「ここが戦地から1番近い難民キャンプなのですが、あの歌姫からの支援物資が届いたそうです」
「流入する外国人労働者によって国

もっとみる
ショートショート【葬儀】

ショートショート【葬儀】

道端にカラスが脚を天に向けて倒れている。
確かめずともそれが死んでいる事が分かり、よく見れば黒い虫が集って目をほじくっている。
頭上には無数のカラスが渦を作り、死を悼む様に鳴き声をあげている。
「うわぁすげぇや」
すぐ脇に建つアパートの2階から笑いながら男が顔を出し、空を見上げて言った。
次の瞬間、その男目掛けて黒い竜巻が根を下ろした。

クリスマスと夢の後ー真澄編ー

クリスマスと夢の後ー真澄編ー

「……これは不味いわね」

項垂れる男を目の前にして、私はそう呟いた。

この悲壮感溢れる男の名前は「江藤真澄(ますみ)」。29歳、独身、彼女無し、至って普通のサラリーマンである。項垂れ、溜息をつき、デパートの商戦に上手いことほだされ、来たるクリスマスを孤独に迎えようとしているのだった。

私は真澄の幼馴染であり、家も隣で、それはまぁ仲良しだった。家族ぐるみでの付き合いもあったし、恋の悩みを相談す

もっとみる
鏡の池【都市伝説】

鏡の池【都市伝説】

特に名前もない、何の変哲もない溜池がある。元々は農耕用だったのだが、過疎化と共にただ生活排水を垂れ流す為だけになってしまった、どこにでもありそうな池。
だがいつ頃からかその池は「鏡の池」と呼ばれる様になった。藻や浮草、生活排水その他諸々によって鏡と言うには程遠い汚さと反射率なのだが。

月の無い夜に覗き込むと、鏡を張った様に綺麗に自分の姿が水面に映るのだと言う。そこですかさず
「お代わりください」

もっとみる