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短編

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数分以内に読める怪談です。
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#都市伝説

リベット【オカルト…?】

リベット【オカルト…?】

「この国が誇る素晴らしい技術によって、唯一無二の文化は保たれて来た訳です」
司会を務める芸人が声高らかに説明する。
「人口は減少傾向にある訳でありまして、つまり今対策をしなければこの国の、世界的な経済力は衰退してしまう訳でして」
ゲストとして呼ばれた政治家が神妙な顔で訴える。
「ここが戦地から1番近い難民キャンプなのですが、あの歌姫からの支援物資が届いたそうです」
「流入する外国人労働者によって国

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ショートショート【葬儀】

ショートショート【葬儀】

道端にカラスが脚を天に向けて倒れている。
確かめずともそれが死んでいる事が分かり、よく見れば黒い虫が集って目をほじくっている。
頭上には無数のカラスが渦を作り、死を悼む様に鳴き声をあげている。
「うわぁすげぇや」
すぐ脇に建つアパートの2階から笑いながら男が顔を出し、空を見上げて言った。
次の瞬間、その男目掛けて黒い竜巻が根を下ろした。

ボタン【オカルト】

「これ本当に押しちゃダメなんですか?」
「気持ちは分かる。だが、まだダメだな」

隣に座る部下がソワソワしながら聞いてきた。
この会話も何回したのか分からないくらいだが、正直私も早く押したい所だった。

飲食店とかによくありそうな楕円形で、土台が黒に押す部分が赤色のボタン。
これを押すのが私達の仕事だった。

頻度は多い時で週に3桁は押す事もあるし、少なければ1ヶ月押さない事もある。
他にやらなけ

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不幸の花屋【短編】

不幸の花屋【短編】

「いらっしゃいませ。本日はどういった物をお探しですか?」
 店に入るとふんわりと甘い香りを漂わせながら、エスニックな装いの店員が現れた。何処と無く、妖艶とか甘美とかの単語を連想させる見た目だ。年齢は50くらいなのだろうが、瞬間瞬間によってそれ以上にも見えるし下にも見える。
「ちょっと……人に送りたくて」
「花束や鉢植、1輪などございますがお気持ちに併せて大きくしていくのが効果的ですね」
「……ちな

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山に埋まっていた物【怪談】

山に埋まっていた物【怪談】

作業員全員が土の詰まった筒を見て固まっている。

地質調査の為に訪れたこの山地で、通常通りのボーリングを行った際に異変は起きた。
土の詰まったパイプを外し中身を確認した所、地面から数メートル下の部分で人骨が発見した。人骨が見つかるのは別段珍しい事では無い。
問題なのは、それが1番上の人骨から約2メートルおきに3箇所、綺麗に頭蓋骨のみが入っていたからだ。
つまり、体の向きはどうあれ、全く同じ位置に人

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鏡の池【都市伝説】

鏡の池【都市伝説】

特に名前もない、何の変哲もない溜池がある。元々は農耕用だったのだが、過疎化と共にただ生活排水を垂れ流す為だけになってしまった、どこにでもありそうな池。
だがいつ頃からかその池は「鏡の池」と呼ばれる様になった。藻や浮草、生活排水その他諸々によって鏡と言うには程遠い汚さと反射率なのだが。

月の無い夜に覗き込むと、鏡を張った様に綺麗に自分の姿が水面に映るのだと言う。そこですかさず
「お代わりください」

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