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13歳の決断

今日、息子は、
大きな決断をしました。

この決断に至るまで
様々な葛藤がありました。



昨年、息子は、
中学生になりました。

4月の間に
所属する部を
決めなければ
なりませんでしたが、
運動部がいい
ということ以外、
何も決まっていませんでした。

これと言って
スポーツの経験も
なかったため、
最終的に、
部活体験をして、
一番楽しかった
ソフトテニス部に
入部することしました。

中学校の部活動の
ソフトテニス部とは別に、
この地域には
中学生のための
ソフトテニスクラブチーム
という組織がありました。

このクラブチームという組織は
ソフトテニス特有のもので、
近年出来たばかりのようでした。

クラブチームへの入会は
あくまでも任意でしたが
ソフトテニス部員は、
全員このクラブチームに
所属していました。

どうやら、
ソフトテニス部に入部したら
クラブチームにも入会する
というのが
暗黙のルールに
なっているようでした。

息子も、
みんなが入るからと
何の迷いも無く
クラブチームに
入会しました。

クラブチームメンバーは、
全員部活のメンバー。

コーチも全員
部活動と同じコーチ。

どうやら
活動日や時間帯によって
名前を変えている
それだけのようでした。

部活動は、
平日は2時間、
休日は3時間、
土日のどちらかは
休みと決まっていますが、
クラブチームには、
制限はありません。

学校の決まりの範囲を
超える部分は、
クラブチームの練習で補われ、
平日は、
部活終了後夜8時半まで、
土日は、
部活動以外の時間を
全て埋める形で
朝から夕方までまる一日
クラブチームの
活動時間となりました。

入部した頃は、
全てが新鮮で、
友達とワイワイ楽しく
やっていた息子でしたが、
夏を過ぎた頃から、
全く自由な時間がない
この生活に
ストレスを感じるように
なっていきました。

息子には
やりたいことが
山のようにありました。

あれを作りたい、
これを試してみたい
色んな思いやアイデアが
次々と湧いてきました。

でも、
それをするための時間が
全くありませんでした。

様々な計画や、
やろうと思って準備した材料が
手つかずのまま放置され
幾日も過ぎていきました。


初雪が降り、
12月から
インドアになりました。

他の部や団体と交代で
体育館を使用するため、
必然的に
クラブチームの
活動時間が
少なくなりました。

それによって、
自由な時間が
ぐんと増えました。

息子は、
ずっとそのままになっていた
作業の続きをしたり、
新しい計画を練ったりと、
充実した時間を過ごして
いました。

自家製餌やり装置を
作ったのもこの時です。

しかし、
そんな夢のような生活も
あっという間に終わり、
雪が解け、
いよいよ春休みから、
また以前のような
忙しい毎日に
戻ることになりました。

息子は
少し苛立っていました。

そんな矢先のこと。

地域でコロナ感染者が
出たため、
急きょ、春休み後半の
部活動、クラブチーム活動が
一切休止になりました。

突然降って湧いた時間。

宿題もまだたくさん
残っていましたが、
息子は
この一年間
ずっとやれずにいたことを
実行することにしました。

それは、
私の実家の農作業を
手伝いに行くこと。

中学生になってから
あまりの忙しさに
農作業の手伝いに
一度も行っていませんでした。

久々の農作業。
息子は
嬉しくたまらない様子でした。

私の出勤前に、
息子を実家に送って行き、
帰りに迎えに行く
という生活を
何日か続けました。

仕事帰りに迎えに行くと、
一日作業をして、
疲れているはずなのに、
「楽しかった。
あっという間に時間が過ぎた!」
清々しい顔で言いました。

また、実家から
木材を少し分けてもらって、
せっせと物作りを
楽しんだりもしていました。

自然、農業、そして物作り…。

あぁ、やっぱり、この子には、
こういう生活が合っているんだな…
改めてそう思いました。

実家の父母も、
「助かるよ。また来て手伝ってね」
と喜んでいました。

こうして、
充実した時間を
過ごす中で、
息子の思いは、
固まったようでした。


「クラブチーム、辞める」


クラブチームを辞めて、
その時間に、
やりたいことをする。
テニスは好きだから、
部活動はそのまま続けたい。
そして
これまで以上に、
部活動の時間に集中する。


もちろん、
私たちは
息子の意見に賛成でした。
ただ、
それはとても勇気がいる
ことだろうな
と思いました。

部員、つまり先輩も
全員所属している
クラブチームを
辞めるのですから…。
しかも、
部活では、
他のメンバーやコーチと
毎日顔を合わせるのです。


自分だったら…


でも、
息子の気持ちは
揺るぎませんでした。
息子は、
自分の気持ちに正直に生きる
そう決めたのです。




そして、
今日、


息子は、
クラブチームを
辞めてきました。


大きな決断をした後の
その表情は、
実に清々しくて…

そんな息子を
そんな我が息子を
私たちは、
心から
誇らしく思いました。

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