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執着を手放した時、目の前に現れた世界…それは愛だった

不妊治療での
ハプニングから
気付いた
人を癒す力。

とは言え、
あの時のショックは
大きくて…

あの日を境に
病院から
足が遠退いてしまいました。

だからと言って
赤ちゃんを諦めた訳ではなくて…

自然に任せていて
どうにもならなかったから
不妊治療を始めたというのに、
結局また、
自然に任せるという
先の見えない迷路に
はまり込んでしまったような
状態でした。

「一人じゃ可哀想よ」
「なおみさんは、
 一人だからいいわよね。
 うちなんか3人だから大変よ」

周りの人の
何気ない言葉に傷付きました。

まるで、
一人っ子の親は
母親としてまだまだ、
あなたには
子育ての大変さは分からない
とでも言われているようで、
惨めな気持ちになりました。

一人っ子親の私が
子育てについて
語る資格はない…
そう思って
言いたいことも言えず
いつも小さくなっていました。

誰かの妊娠の話を聞くたびに
心がザワザワしました。

一番辛かったのは
義妹の第2子妊娠の話を
聞いた時でした。

義妹には
息子より一つ年下の男の子が
一人います。

同じ一人っ子同士で
長年過ごしてきましたが
ついに義妹が妊娠…

その話を始めて耳にした時、
私は心から
祝福することが出来ませんでした。

主人に報告する時に
この気持ちを
ちゃんと伝えようと思いました。

「○○ちゃん、おめでただって」
その後に、
でもね、私、素直に喜べなかった…
そう言うつもりでした。

ところが…

「そうか!良かったなぁ!」

主人があまりにも
目を輝かせて喜ぶものですから…

私は喉まで出かかったその言葉を
飲み込んでしまいました。

私はなんて心が狭いのだろう
主人はあんなに
喜んでいるというのに…

主人に気持ちを
吐き出せなかったこと
それどころか
自分の心の狭さを思い知り
私はその後
自分を責めるようになりました。

一人になると酷く落ち込み
ポロポロと涙がこぼれました。

そんなある日
私は義母に言いました。

「私…
 ○○ちゃんがおめでただって聞いた時
 心から喜ぶことが出来ませんでした…」

そしたら、義母が
にっこり笑って言いました。

「なおちゃんにも
 そういう気持ちがあるって分かって
 安心した。
 それが普通だと思うから」

ずっと辛かった気持ちを
正直に伝えることが出来たこと
そして、何より
その気持ちを受け止めてもらえたことで、
随分と楽になりました。


だからと言って
赤ちゃんが欲しいという気持ちが
無くなったわけではなくて…
むしろ、その思いは
より一層
強くなっていきました。

次の子のためにと
息子の時に使った
ベビーベット、布団、ゆりかご
子ども用椅子、衣類、
チャイルドシートなど
べビー用品は全て
クローゼットや押入れに
大切にしまってありました。

それらは
かなりのスペースを占領し
ずっとその出番を
待ち続けていました。

でも、
その出番がくるかどうか
それはあまりにも不確かなこと、
不確かな未来でした。

そしてそれは
赤ちゃんが欲しいという
私の執着そのものでもありました。


ある日、私は決断しました。

断捨離しよう

そう。
これら全てのベビー用品を
処分することにしたのです。

もし、赤ちゃんを授かったら
その時また考えればいい…。

もちろん
もったいないという気持ち
もありました。

でも、もう、そう決めました。

譲り受けたものや
お借りしていたものは
その持ち主に連絡をし
処分について承諾を得ました。

それから、
必要な方に譲ったり
リサイクルショップに持ち込んだり
引き取ってもらえないものは
処分したりしました。

ただ、衣類だけは、
息子との思い出が詰まっていて
全てを手放すことが出来ませんでした。

主人と私の
お気に入りだった
ベビー服や子供服数枚
それから
手作りの衣類数枚は、
思い出に残すことにしました。


全てを処分し終え、
変わったこと…

まずは、
クローゼットや押し入れの中に
大きなスペースが生まれました。

そして
何より大きな変化は
驚くほど
気持ちが軽くなったことでした。

それはまるで
思い荷物を下ろし、
人生の新たなスタート地点に
立ったような
清々しく軽やかな気持ちでした。

赤ちゃんはいらない
ということではなくて
授かったら授かったで嬉しい。
でも、
もしこのままでも十分幸せ
そんな気持ちでした。

思い返せば…
息子が生まれた時
生きている奇跡に感動し
涙しました。

やきもちやきのピーすけが
新しく家族になった息子を
温かく迎え入れてくれた時
「幸せ過ぎて涙が出る」
そう言って泣きました。

それどころか
娘を亡くした時でさえも
そこにある愛を感じ
心から感謝することが出来ました。

それなのに…

いつの日からか
私の心は
今ある幸せから離れ、
赤ちゃんが授からないことに
苦しむようになっていたのです。

息子がいて
ピーすけがいて
主人がいて…

息子が生まれる前に
夢にまで見た幸せの中に
私はずっといたのです。

ずっとずっと
そこには
たくさんの愛が
溢れていた…

断捨離を機に
私は握りしめていた
赤ちゃんへの執着を手放し
今ある幸せに
目を向けることが
出来るようになりました。


その後、
赤ちゃんを授かることは
ありませんでしたが
それでも
私は幸せでした。


息子が産まれる前は
元気な赤ちゃんを
生んであげられない自分を責め
息子が産まれた後は
兄弟を生んであげられない
自分を責め…

今ある幸せに
目を向けない限り
ずっと悩みは尽きないのですね。

つい先日
5人のお子さんが
いらっしゃるお母さんが
仕事をしていない自分を
責めていました。
私から見たら
5人のお子さんを育てている
もうそれだけで
十分素晴らしいことだと
思いました。


これがないと
あるいは
こうでなければと
何かを握りしめ、
「今」を否定していると
とても苦しくなります。

でも
それを思い切って手放した時
いつだって
そこには
愛が溢れていたことに
気付きます。


独身の人にも
パートナーがいる人にも
子どもがいない夫婦にも
一人っ子の家族にも
子宝に恵まれた家族にも
離婚した人にも
大切な人を亡くした人にも
みんな平等にあるもの

それが愛…

もし、
あなたが今苦しんでいるのなら
思い切って
その握りしめているものを
一度手放してみてはどうでしょうか。

手放す勇気が持てなかったら
せめて
その握りしめている手を緩めてみる
それだけでも、
世界はずっと優しいところだと気付く…
そんな風に思います。

最後に、
大好きな手嶌葵さんの
「瑠璃色の地球」を贈ります。

この地球に生まれた奇跡に
感謝の気持ちが溢れてくる…
そんなステキな曲です。

夜明けの来ない夜はないさ
あなたがポツリ言う
燈台の立つ岬で
暗い海を見ていた

悩んだ日もある 哀しみに
くじけそうな時も
あなたがそこにいたから
生きて来られた

朝陽が水平線から
光の矢を放ち
二人を包んでゆくの
瑠璃色の地球

泣き顔が微笑みに変わる
瞬間の涙を
世界中の人たちに
そっとわけてあげたい

争って傷つけあったり
人は弱いものね
だけど愛する力も
きっとあるはず

ガラスの海の向こうには
広がりゆく銀河
地球という名の船の
誰もが旅人

ひとつしかない
私たちの星を守りたい

朝陽が水平線から
光の矢を放ち
二人を包んでゆくの
瑠璃色の地球
瑠璃色の地球


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