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若者と、若者支援NPOの間に「肉」を置いたら、出会いの場になるのか。

出会い(アウトリーチ)という課題

対人支援領域では、受益者(当事者)とつながることを「アウトリーチ」と言ったりします。さまざまな取り組みの方法がありますが、得てしてマーケティング的な手法や、顔と顔の見える関係などの話になります。

何かしら若者向けの取り組みを考えて、企画を作ってみたものの、うまく受益者に情報が届けられない。届いているようだけれど、申し込みがない。そんなときに「課題はアウトリーチ」みたいな話題が出てきます。

育て上げネットでは、「出会う」「つながる」「選ばれる」というプロセスにわけて、情報を知ってもらい、何かしら連絡が取れる状態を作り、その取り組みに参加してもらうためにどうしたらいいか、を考えています。

支援という目的の香り

若者や子どもたちを支える領域では、どうしても「相談支援」「学習支援」「就労支援」という表現のもと、その言葉を使わなくても「支援」という目的の香りが出てしまいます。

もちろん、まさにそれを望んでいたということであれば、直接的に出会いの場が生まれやすいところです。しかし、お互いにどんな人間なのかもわかりませんし、いきなり身の上話をするのもハードルが高い。もしかしたら、これまで誰かに助けを求めてうまくいかず、そういう「支援」的なものへの忌避感もあるかもしれません。

支援NPOとしては、自分たちにやれることはどうして「支援」という目的になってしまいますが、出会いやつながりについて、その目的性を必ずしも持たなくてはいいのではないか、と考えています。

私たちにとって、「支援」はひとつの目的であり、出会いは「入口」ですが、出会うことを目的にした「入口の目的化」という言葉で、いろいろなチャレンジをしています。

支援の香りではなく、お肉の香りでつながれるのか

新年度になって、希望する利用者(若者たち)とBBQを企画しました。やりたいという声がかなりあったので。当日は天候が悪くて、室内でご飯食べるという形式に変えたのですが、ちょっと想定していない人数が集まりました。

室内に変更して食事をすることに

育て上げネットの、若者たちが利用する場になったので、僕も顔を出したところ、確かに、すごい数の若者たちであふれてました。左手にはお皿、右手にはお箸。お腹いっぱいなのか、ソファーとかで寝っ転がってたり。

普段、よく話す若者たちもたくさんいましたが、見た記憶のない若者たちもたくさんいました。それは、誰かのきょうだいしまいであったり、友だちであったり、どこで知ったのかわからないけれど楽しそうに食べながらみんなと話をしていたりする若者たちです。

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その光景を見て、僕らは「もしかしたら、BBQなどこれまであまり出会いの場としてやってこなかった企画なら、若者たちともっと出会えるのでは」と考え始めました。

その上で、せっかくチャレンジするのであれば、美味しいお肉を提供するとともに、応援を募り、可能なら一緒に若者たちとも食べてもらおうと、寄付も集めてみることにしました。

寄付の種類もいろいろ考えました

苦しい若者を助ける文脈ではなく、一緒に美味しいものを食べましょうという文脈で

育て上げネットとつながっている若者の中には、実際にかなり過酷な環境で育ったり、いまこの瞬間に大きな困難を抱えていることもあります。ただ、現場に来ていただいた方々からはよく、「どこにでもいる若者たちなんですね」と言われます。

パっと見たり、話をしたりして、その苦しさが垣間見えることの方が少ないかもしれません。それだからこそ、情報を発信していくときには、とかく、困難性を表現することが多くなってしまうことがあります。

一方、今回のチャレンジでは、一緒に美味しいものを食べ、同じ時間を若者たちと共有していただくこと。そして、とにかく「お肉」を若者たちにたくさん食べてもらいましょう、というあまりやってこなかった文脈で情報を出しました。

職員としては不安もあったと思いますが、多くの方々から応援、ご寄付をいただくとともに、「BBQに行きます」とか、「お肉は正義!」など、とても嬉しいコメントをいただいています。

実際、企画しているBBQにどれだけの若者たちが集まるのかはわかりません。また、「アウトリーチ」として効果性が見込めるとしても、おそらく、行政などでは、予算をこういう形には使いづらいのだろうと思いますので、公共への訴求は簡単ではないでしょう。

それでも、「お肉」に限らず、若者たちにチャンスをもたらすことや、楽しい時間を過ごすこと、美味しいものを食べることに、一緒になって、楽しんでくださる方々も一定数いるのではないか。みんなが楽しければ定期的にできるかもしれないと、少しだけ期待しています。


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