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2031年の地方改造論 選挙に不利でも伝えたいコト

地方の首長たるもの、新しいニホンの形を模索し、未来の我が国の繁栄のため学びを深める必要がある。
今回は「令和ニッポン改造論-選挙に不利でも言いたいマニフェスト」-玉木雄一郎氏(国民民主党党首)から学びを得、2031年の地方を改造する案を検討していきたいと思う。
 
まず、本書のチョイスに関してだが、数多くの政治家の中でも彼の考える政策は本質をついていると感じたことがきっかけだ。
選挙に不利になることでもやらなければならないことはやるという強い意志を持っている。
現在の国政政党の中で最年少の党首ということもあり、
錆びついた自転車のチェーンのような老齢政治家より柔軟で新しい考え方が彼ならできると考えている。
 
まず彼(国民民主党)の政策や思いをまとめた上で、
地方創生に活かせる新たなアイデアを得ようと思う。


改憲について


彼の主張は、「憲法解釈により自衛隊の存在の是非を問うのではなく、憲法に明記すべき」としている。
その理由は憲法解釈によってできることを変えてしまえば、今後も自由に解釈することがある程度可能であるということだ。
それであれば、きちんと憲法上にその存在とできることを明記すべきだとの見解だ。
憲法にきちんと明記することを決めた上で、国としてどうしなければならないかを建設的な議論により話し合う必要があるというのは賛成だ。

そんな曖昧な解釈だから、他国につけいられる。
R5年の日本の防衛予算が二倍になったことは記憶に新しいが、現岸田政権がそんな重大なことを政府主導で即決できるわけがないと思う。
バックにはアメリカが必ずいる。その防衛予算の発表も岸田首相の訪米後まもなくというのだから、あながちまちがっていないのではないか。
アメリカは世界の警察として
一見秩序を保っているように思えるが、それも持続可能なのかは不明だ。

現在もアジアの勢いが伸び続けている今、米国も日本を足がかりにしてアジアでのプレゼンスを高め、中国を牽制しようと躍起になっている。現に初の日米韓の合同軍事演習などの積極的な実施、日米の軍事演習も最大規模のものがR3に行われたり、異例づくしだ。
その背景には台湾有事があることも勿論だが、米はそれさえも利用しようとしている。
 
この一連の動きの中で
「日本もアメリカの友好国としてちゃんとお金をかけて手伝えよ」
というメッセージを防衛予算の増額から感じ取れた人はどれほどいるだろう。
アメリカ軍だけでは立ち行かなくなってきているほど、中国の勢いが増している。
自国の領土を守るため防衛費を増やすというのも良いが、憲法解釈により際限なくできることが変更される度に混乱が生じ、他にやらねばならないことに時間がかけられないということは避けたい。
 
玉木氏の憲法改正の主張は実は憲法9条だけではない。
国の平和主義を唱えるのであれば、
平和に不可欠なものはもう1つあるという主張だ。
それは「食料安全保障」だ。
日本がアジアに進出した背景には、自国の資源不足があったという。
アジアに進出し、日中戦争が起こり、ABCD包囲網がしかれ、日本はさらに孤立➙戦争に踏み切った。という背景がある。
 
自国の農業や漁業、林業等の第一次産業を保護し、自国の食料安全保障をすべきだとの主張だ。
豊かな山々から流れ出るきれいで栄養豊富な水は、豊かな穀物や野菜、美味しい魚を育んでいる。
農業従事者は年々高齢化し、減少していく。
今や日本の食料自給率は38%(R2年)だ。(1965年は75%)
諸外国カナダ266%、オーストラリア200%、アメリカ132%、フランス125%、ドイツ86%、イギリス65%、イタリア60%、スイス51% と比べてもかなり低い。
 
外資により、日本の土地が大量に買われている。
山ごと中国に買われたりするのはどうなのか?
そのあたりも含めて、きちんと議論される必要があるとの見解だ。
これは地方自治体にも通じる話だろう。後ほど詳しく述べていきたい。


所得税について


国税の1つである所得税は、日本の貴重な財源だ。
だが、玉木氏はその制度の歪さを指摘している。
所得税は2つの方法で徴税される。
1つは累進課税制度による直接課税だ。
所得が増えれば増えるほど税負担が増えるというものだ。
問題なのはもう一方の金融所得課税のほうだ。
 
これは金融商品から得られる所得(利子、配当、株式譲渡所得等)に課税されるもので、一律20%で固定されている。
これが徴税の逆進性を生んでいる
年収が1億以上の人々は金融所得による収入のほうが多いため、累進課税では正しく徴税されておらず、逆に2000~3000万の所得の人たちに重く所得税がのしかかっている状態だという。

一定以上富を築き上げた人たちは、さらに富み、それ以下の人たちは税負担が重くなっている。これは是正されるべきだろう。

地方自治体においても、地方交付税という形で税収の多い地区から税収の少ない地区へ富の分配があされているが、もっと競争を促し生産性をあげるべきだという私の意見に通ずるものがある。


家計ファーストの政策


ここは一部の政策のみ紹介するが、一つは教育だ。

200万の年収の親からは、200万の年収の子しか生まれないという現状。
つまりこどもの教育はかなり家計に依存した形だと主張だ。
この連鎖を断ち切るにはしっかりと国が教育にお金を投入し、教育を保護・発展させていかなければならない。
建設国債があるのなら、
こども国債があっても良いという彼の主張は最もだと感じた。
論理はこうだ。
建設国債が認められているのは、国が借金をして未来の国民に負担を負わせる形を取ってでも未来の国民に有益であるとの判断から認められている。
それであれば、未来の日本を支えるこどもの教育にお金をかけるために、国債を発行するということは何らおかしくないのではないかということだ。
しっかり教育にお金をかけ、3歳から義務教育を開始すべきだとの主張もしている。


LGBTQ/マイノリティ/夫婦別姓/女性の社会進出


 
性的マイノリティや女性の社会進出や選択的夫婦別姓などはきちんと議論を深め、少数だからといって社会から弾かれるようなことがあってはいけないとの主張。
これからの時代は多様な価値観を理解し、受け入れていくことで未来が作られる。
同性婚を認めること、選択的夫婦別姓を認めること、政界の女性進出を増やすことは全然進まない。

原因に関して、後ほど考察したい。

注目すべきは、
そういった価値観を認め制度を整えることにより経済効果があるらしい。
アメリカのある州では、同性婚を認めた地域では、
同性婚に伴う費用等含め1500億の経済効果があり、
1億の税収があったらしい。そして、1万8900もの職を創出したらしい。

経済効果もあり、デイバーシティーを認めることは未来をつくる。
これらを進めない手はないだろう。
 


選挙制度について


現在の衆参の選挙では、小選挙区比例代表並立制がとられている。
比例代表制は、政党に投票された票数によって議席が割り当てられるものだ。
大きな政党が議席を取りやすく、政権交代が起きにくくなることによって、安定した政治が可能だというメリットはある。
しかし、現状はその影響で自民党に圧力をかけられる野党が不在のため、緊張が生まれず変化が起きにくい。
非常に民意を反映しにくい構造になっているのだという。
 
例えば、衆議院議員の定数は465人で、
うち289人が小選挙区選出議員、176人が比例代表選出議員だ。
そのうち自民党の比例代表当選数は72人。
比例代表枠の約40%を自民党が占めている。
これでは、勝負にならないのは誰の目にも明らかだろう。
 
そこで、彼が主張するのが、完全小選挙区制への移行だ。
人への投票が全てを決める制度であれば、
民意もよりダイレクトに反映しやすいという論理だ。
 
ここまでが、玉木雄一郎氏の主張の中で私がピックアップしたものだ。
この中から8年後の地方自治体が取れる戦略を探っていく。


今回はこの3つにフォーカスを当てて検討していきたい。
第一次産業保護
家計ファーストの政策
LGBTQ/マイノリティ/夫婦別姓/女性の社会進出(パリテ法)

 

地方の第一次産業保護に関して


自治体でもできることはたくさんあるだろう。
簡単に野山を海外に売ってしまわないためにも、山や土地を持っている状態・農業漁業に従事するメリットを与えてあげれば良い。

農業や漁業従事者には、きちんと保護をかけ、獲れたものはきちんと地産地消できるようにする。価格競争で負けて、売上が落ちてしまうのを防ぐため、その土地のものを使っている飲食店にも補助金を出すなどすれば好循環が生まれるのではないか。
玉木氏の主張にもあったが、どのように保護をかけるかが重要だ。
今までの価格維持政策では、減反などを行うことで生産流通量を減らし、価格を保ってきたという背景がある。
それでは、税金がなくては立ち行かないシステムになってしまう。
そして、放棄された水田や畑は荒れる。
 
そうではなく
しっかり農作物を作りながら持続可能な形で保護する必要がある。
所得補填で安定して保護して農業に臨める素地を作ること・国際標準規格を導入し、国際的なブランドを獲得する
ことは玉木氏の主張にもあった。
 
また、日本の自然は豊かで、それ目当てに海外からの観光客が山ほど来る。
なので、自然を生かした街づくりに予算をかける。
そして、野山でのアクティビティをもっと発展させ、国内のアウトドア関係業者を呼び込む。
国内の所有者に土地の使用料が恒常的に入ってくるようにする。
国の安全保証にも関わる問題なので、
きちんと国が話し合うべきだが地方でもできることは沢山あるだろう。


家計ファーストの政策


主に教育に関してだが、
地方でもできることとしては、教員の質の向上を上げるのはどうか。
教員は日々様々な業務に追われて余裕がなく、自己研鑽に当てる時間もない。
教員の余裕を作り、きちんと質を高めていく必要があるだろう。

まず、動画教材の導入だ。
 
その辺の教師がどれだけ頑張っても、スタディサプリ(株式会社リクルート)の動画教材に登場する先生のクオリティに勝るのは難しいだろう。

であれば、教壇に立って教えなければならないみたいな無駄で非生産的なことはやめるべき。教える目的は生徒が理解することにほかならない。本質を見失ってはいけない。
 
先生はファシリテーター的な立ち位置で、進度が追いつかない生徒に個別に対応できる時間も増え、授業の準備もいらないので、余裕が生まれる。
 
もうひとつは、ネットの中学・高校をもっと広めることだ。
不登校の生徒や日本の公立の教育機関では対応が追いついていないギフテッドと呼ばれる生徒たちには集団で学ばせる意味はない。

個別にやりたいことを存分にさせたり、
手厚いサポートがネット学校であればできるであろう。
そうすることで、現場の先生がそういった特殊ケースの対応に追われることもなくなり、余裕ができる。
 
教師の時間を作った上で、教師には野外教育やファシリテーターの講習を受けてもらったり、もっと質の良い教育を届けるために自己研鑽に励んでもらうべきだろう。

民間企業との人材交換も積極的に行うべきだろう。 


LGBTQ/マイノリティ/夫婦別姓/女性の社会進出


これは自治体でどんどん規制を緩和し、多様性を認めるべきだろう。
 
上述したように経済効果も生むこともわかっている。
 
何がこういった制度の導入を阻んでいるかというと、日本の伝統的な家族観が壊れるだとか、文化を守るべきだとか言い始める人達だろう。あとは、マイノリティなので、やはり変えたところで波及効果が少ないと思っているというところだろう。

何かと変化を嫌う人たちには理由は関係ないのだ。
ただ恐れているだけの場合が多い。
 
逆に言うと、強力なリーダシップでうもすもなくトップダウンで進めていくことができる項目だとも思う。


以上、要約とそれを踏まえた私の意見を述べてきました。

国政政党の党首がここまで明確に自分の意見を素人にもわかりやすく公に出していることをもっと評価したい。

政治家が何を考えて、何をやっているのかしっかり説明する人がいない。
自民党政権も批判が多いが、良い政策を出していたりとかコロナワクチン対応等、評価スべきところは少なからずあるのにも関わらず、国民に伝わっていない。
これは問題の1つで、地方行政でも同じことが言えるのではないか。
きちんと説明し、わかってもらおうとする歩み寄りがもう少し必要だと感じた。

今回の参考図書

「令和ニッポン改造論 選挙に不利でも言いたいマニフェスト」-玉木雄一郎

非常に良書なので、老若男女に手にとってもらいたい一冊だ。

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