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とりあえず今日は

迷子になった。
人生の迷子。

未来についてしつこく考え事をしすぎて、頭の中でごちゃごちゃと絡まりあっている。
途中から自分が何を考えているのかも分からなくなる程に。

今日電車で隣に座っていたサラリーマンも、右手に持つスマホで「遊戯王」と検索しながら左手のスマホでツムツムをしていた。彼も混乱しているようだ。

もっとシンプルに
細い月がきれいとか、
風が気持ちいいとか、
コメダのモーニングが優しいとか、
そんなことだけ考えて生きていたいのに。

最近まで同じように途方に暮れていたはずの親友がデザインの学校に通い始めて急にいきいきと輝き出した。楽しそうで眩しい。
「いやーーー!!!置いてかないでーーー!」
と叫びそうになる気持ちを必死に押し込めて、彼女の行く末を見つめている。
(このまま夢を叶えて幸せになっていったらどうしよう、、大好きな親友だけど手放しで喜べる自信がない。
人間だ、、あまりに人間すぎる。)

学生の頃は周りもみんな同じような人生を送っていたけれど、社会人になって仕事も収入も休日も時間も余裕も価値観も、それぞれに差がつき始めてすれ違っていく。
人生が新たなフェーズに入っているのを感じている。
人と比べるのは良くないけれど、人と比べずに自分の幸せを計るのは案外難しい。

会社を辞めて、社会のレールから一気に外れたような気がした。
大抵の人が同じ方向を向いて歩いているレールから降りてみると、どこまでも続く広大な砂漠があって、そこに道はない。
砂漠で暮らす人にはいろんな人がいる。
一人でどこかへ向かっていく人もいれば地面に穴を掘る人もいるし、各々がオリジナルの生き方をしている。
そんな砂漠で私を縛るものは何もなくて、どこへでも自由に進めてしまう。
私はそれが怖いのだと友達に話すと、
「なんか良いことのように聞こえるけど?それを良い状況と捉えることはできないの?」
と言われた。
「どこへでも行けるのに、目的地が決まっていないからどっちに向かって歩けば良いのかわからない」
と答えた。


今日も今日とて、バイト帰りの夜道を一人で歩く。
宇宙を見上げればそこには未だ解明されてない最大の謎が広がってる。
小さな地球で小さな人間が悩みを抱えて生きている。
空を見上げれば自分の悩みがちっぽけに思えるとよく言うけれど、地球が生まれて私が生まれて、他でもない現実社会を生きている以上、宇宙の謎なんてどうでもいいことのように思えてくる。

夜空を見るのを辞めて地面を見つめてとぼとぼ歩く。
ヒョロ長いヒルがいて足を止めてしばらく見つめる。
再びとぼとぼ歩き出す。
マンションの隣の部屋の扉にでっかい貝の置物がへばりついていてめちゃビビる。
虫かと思った。
家に帰る。


自分の部屋であたしンちのユズヒコのぬいぐるみを眺める。
嬉しいな。
もう、なんでもいっか。
今の私にはユズヒコのぬいぐるみがあって、ユズヒコのぬいぐるみを嬉しいと思える心がある。
とりあえず、今日はそんな感じで。

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