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【要介護認定】認定調査は効率化できないか? 又は効率化が進んでいるのか?

本記事は、要介護認定における「認定調査」について私がふと思った疑問でです。一応、色々と調べたり聞いたりしたうえで記事にしましたが、もしも私の疑問に対して制度として既にクリアされているとしたら、是非ご教授いただければ嬉しい限りです。

―― では、以下本文です。

■ 認定調査とは何か?


介護保険サービスを受けるためには、個人が事業所に電話をすれば良いというわけにはいかない。行政管轄としての事業として、しかるべき手続きを踏まえたうえで行われる。

その手続きの1つとして介護を要する高齢者がどのくらいの支援を要するか判断する「認定調査」を行う。

これは市町村等の調査員が対象者の住まいを訪問して、30~1時間かけて本人の心身の状態などを確認する。項目は基本74項目ある。
支援を要する(と思われる)高齢者だけでなく、ご家族や介護事業者など必要に応じて同席することもある。

当然ながら、心身の状態に嘘偽りがあってはいけない。介護度を上げたほうが手厚い支援を受けられると考えて大袈裟に言うのは原則NGである。
調査後は主治医意見書とコンピュータ診断をもって一次審査とし、それから介護認定審査会という二次審査をもって結果が出る。

・・・とは書いてみたものの、私は認定調査の立ち合いはしたことがあるくらいだ。それ以降に具体的にどう審査しているかを見たことがないため、あくまで厚労省などが発信している情報をもとに記事を書いている。


■ 調査当日はバタバタする


認定調査についてWebで色々と検索すると「調査員から質問される項目は決まっているので、事前に聞かれることを確認しましょう」と書かれている。

この手の記事が一体誰をターゲットにしているのか分からないが、本人やご家族だけの調査とは違って介護職員が立ち会う場合は少し様相が異なる。

特に介護施設では認定調査に施設職員が立ち会うことが少なくない。それはご本人が寝たきりや意思疎通が困難な場合なども含めて、細かい情報は日常的に介護をしている職員が伝えることになるためだ。

しかし、施設職員が立ち会う場合に少し困ることがある。それは調査員が「施設職員だから色々と把握しているだろう」と思って、基本情報以外のことも聞いてくることだ。
調査員は確認のつもりでも、いきなり聞かれた施設職員はその情報を慌てて探すこともある。

さらに、基本項目をそのまま聞いてもらえれば分かることを、少し言い回しを変えることもあるため、対応している職員によっては「想定外の質問をされた」と困惑することもある。
なお、このような場合、「それはどういう意味の質問ですか?」とか「確認項目のどれの話ですか?」などと調査員に確認すると、案外すぐに質問内容や意図が分かることが多い。

だが、施設だから細かい情報があるだろうと決めつけず、あまり変化球を投げるような問いかけは避けてほしいというのが本音である。そうでないと、いくら平時でご本人と関わっているとはいえ、聞き方によっては回答できることもバタバタしてしまい、正確に回答できなくなってしまう。


■ 事前回答にしたらどうか?


さて、ここで認定調査について疑問なことが「事前に回答できないのか?」というものである。つまり、訪問しての調査は実施するにしても、調査日までに事前回答できる項目をお知らせしておいたほうが、双方の負担は減るのではないか? ということである。

もちろん、調査員の訪問しての調査を否定しているわけではない。本人と直接対面しないと分からないことだってあるし、生活状況や課題などは住まいを見て察することもある。

私が疑問であることは、調査そのものではなく調査スタイルの話だ。
当日に調査項目すべてをその場で確認するのではなく、事前情報として確認できるところはヒアリングや回答依頼を済ませておき、現地でないと分からないところは調査日に行うと分けたらどうか、と思うのだ。

調査に要する時間は一般的に30~1時間はかかるため、これを簡略化することは調査する側も受ける側もメリットがあると思われる。
特に介護施設で職員が立ち会うとなると、調査の対応中に人手が1名減るというのは正直言って痛手である。
(調査のために1名多めに配置するという考え方もできるが、そのためだけの人件費として考えると少し腑に落ちない)

また、上記のように調査員によっては「ついでにコレも聞いておこう」というような質問をしてきてバタバタすることもある。入所して1年も満たない利用者やご家族が疎遠で基礎情報そのものが不足している場合もある。

基礎情報以外に手元の情報を整理(更新)したい気持ちは分かるが、そのような情確を確認したい場合、当日に聞くのではなく、それこそ事前に問い合わせしてもらいたい。これはもはや、仕事の進め方の話とも言える。


■ デジタル化したほうが良いのでは?


ここまではあくまで、私が立ちあった調査の話であることはお伝えしておく。もしかしたら、調査員によって変わるのかもしれないし、他の地区ではもっと効率的に進めていることも想定される。

その想定も踏まえて、疑問というか提案というかの話をしたい。
それは、調査記録は紙媒体ではなくデジタル化したらどうか?という話だ。

これまで来所した調査員が持参する基本情報は紙媒体ベースだ。手書きで修正した跡も多々見られるし、調査項目も印刷したものに手書きである。

もちろん、修正追記などは手書きのほうがメリットもあるだろう。しかし、基本項目が定まっているうえに後にコンピュータ処理するのであれば、はじめからデジタル端末に打ち込んで、そのまま送信する体制にしたほうが、調査全体としても円滑になるのではないか。

高齢者数が急増している世情において、調査員だって人数が限られているうえに直接訪問での調査するならば、1件あたりの調査時間を効率化したり、調査全体のプロセスを縮小化するほうが良いと思う。

とまぁ、このあたりは上記のとおり調査や審議会が具体的に何をしているのか分からないし、私が言わなくても整備が進んでいると思うので、あまり強いことは言わないことにする。


―――というわけで、認定調査の現行のスタイルについて私なりの考えを述べてみたわけだが、何度もお伝えするように、あくまで私が立ち会った場面しか見ていないことに留意いただきたい。

しかし、もしも全国的に類似のスタイルなのであれば、それはそれで改善する余地があるのではと思う。また、もしも改善した事例があるのであれば、是非とも全国的に広めたほうが良いだろう。

特に行政がらみは実績がないと体制づくりが困難である。そのため、本記事を読んで私が疑問に思っていることに「うちではこうしているよ」とか「そちらの地区は遅れてますね」とか「見えないだけで整備してますよー」などという話があれば教えていただければ嬉しい限りである。


ここまで読んでいただき、感謝。
途中で読むのをやめた方へも、感謝。

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