#カフェ
商店街シリーズまとめ
自分の中で「商店街シリーズ」と呼んでいる作品があります。
駅前にある少し寂れた商店街を舞台に、出勤する人、働く人、通りすがりの人、お互いを知らなくてもちょっとずつ関わりのある人たちの視点で書いたショートストーリー集です。
それぞれ一つの作品として単品で読めるようにしていますが、連作として見るとまた違ったストーリーや裏話を知ることができるようになっています。
noteを始めて間もない頃に書いた1
『看板』商店街シリーズ第2話
記憶に残る幼い頃にはすでに周囲から愛想がないって言われていた。
面白くもないのに笑えない性質の私にとって、周りに合わせて笑えだなんてずいぶんと理不尽な要求だったし、笑わないせいで理不尽な待遇、つまりあからさまに無視されたりいじめられたりしたけど、自分でもどうしようもない。
世間一般の基準から外れるとこういう扱いを受けるんだ。そう覚えて大人になった。
特に夢も希望もなく、淡々と暮らせたら十分だった
『靴屋』商店街シリーズ番外編2
クリスマスのイルミネーションに包まれた華やかな駅前広場に、ベンチはない。
今日おろしたての真っ白なコートが汚れてしまう気がして、生垣の縁石に腰をかけるのはためらわれた。
もう来るはずの彼を待って、私はクリスマスツリーの下に立ち続けた。
付き合い始めて1年以上になるのに、毎回こうも繰り返し待たされると、私は大切にされていないんじゃないかという思いがよぎる。
私より後に来た人が、私より先に待ち人と出