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米ゲームストップ株騒動 -SNSを制す者は世界を制す-

 ゲームストップ?

 先週から報道で見かけるゲームストップ株騒動ですが、多くの日本人からすると聞き覚えのない会社名で、一体何がアメリカで起きているのか疑問を感じた方は多いのではないでしょうか。

 もちろん私もそのうちの一人。いくつかのニュースソースや、Newspicks民のコメント、Twitterなどを眺めていると全容の雰囲気を掴むことはできました。ただし、どの情報が正しいのかは横によけておいて、起きていた事実からSNSが社会に与える影響と、その可能性や危険性を少し考えてみたい。

ゲームストップ株の乱高下、何が起きていたのか?

 ゲームストップ社はアメリカに本社を置く世界最大のゲーム小売店で、2018年時点では世界14か国で7000店舗を超える規模の企業のようです。Playstation、Xbox、NSwitchなどのハード・ソフトの販売事業、さらには中古ゲームの買取販売事業や電子デバイスの販売と、日本のゲオやハードオフのようなイメージでしょうか。

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 2020年まではゲーム販売事業が絶好調で、年商100億ドルに達する勢いで成長を続けていましたが、昨今のスマホゲームに市場を喰われ、ソフトもオンライン販売が進み、赤字決算へ転落し、誰がどう見ても時代の波に飲み込まれてしまった落ち目企業であることは一目瞭然です。

 そんなゲームストップの株価が今年の1月中盤あたりから急騰を始め、年始時点では18.84ドルだった株価は1月28日には一時460ドルを超えた。ウナギ上りにそのまま突き進めば良いのでしょうが、その数日間で株価は乱高下を繰り返し、昨日2月1日時点では200ドルを少し超えたところに位置している。

▼1カ月の月足▼

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▼5日間の月足▼

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 この騒動の仕掛け人としてキース・ギルというアメリカ人がWall Street Jounalに記事に上がっていました。

 米オンライン投稿サイトであるRedditのWall Street Bets(WSB)を通じて、個人のアマチュア投資家達やウォール街の人間たちを扇動し、意図的に株価の押し上げを謀ったようです。

 RedditとはWikiによるとソーシャルブックマークサイトのようで、WSBは株式などに関する2チャンネルの「板」的な存在のようです。特定の領域向けに焦点を当てたコミュニティをサブレディット(Subreddit)と呼び、その中の一つがWSBということのようです。※正確な情報かどうか定かではありません。複数のニュースソースを読むに、そのように理解。誤りあればコメントください。

 今回私が注目したいのは、これまでも同じような仕手戦は幾度となくアメリカでも日本でも繰り広げられてきたことでしょうが、SNSを使って大衆、世間、社会、世界を動かす事件であったということ。定かどうかわかりませんが、たった一人の人間のSNS上での暗躍により、株価は暴騰し想像できないほどの大金をたった数日で手にしてしまったのです。

▼以下、WSBのリンクです。▼

SNSを制す者は世界を制す

 安西先生の名言を借りるとすると、現代のSNSは正に世界を制するためのツールなのではないだろうか。ツールといってもナイフと同じで、人間が生きていく上で欠かせないものですが、使い方を一つ間違えてしまえば、人をも殺めてしまう危険性もはらんでいる。

 今回のゲームストップ社騒動が悪の使い道であったかどうか、素人の私にはわかりませんが、少なくとも世間の認識としては法に触れる使い方であった、という見方が強いようです。しかし、キース・ギルは見事に相場を動かし、巨万の富を得ることができました。(この後どうなるか知りませんが)

 同じようにSNSというナイフを使ってアメリカという超大国を制したのが前大統領である、ドナルド・トランプ。

 彼はTwitterというナイフを使い、アメリカ国民の腹の底に溜まっていたうっ憤を代弁し、多くの支持者を集めることに成功し、大統領選挙という戦いを勝ち抜くことが出来た。正にSNSで世界を制したという、世界で最もメジャーな事例の一つだと思う。これについても、悪しき使い方であったのか、それとも良き使い方であったのかはコメントは差し控えたい。なんとなく日本のメディアの論調としては、トランプ=とんでもない大統領という世論形成をしたいように見えていたが、7000万人というアメリカ人からの支持を集めていた事実がある。彼は70歳を超えているが、世界で最もSNSを巧みに使うことのできる人物なのかもしれない。

 しかし一方で、自らもその餌食になったのが先の選挙。

 一時期この動画がニュースでも多く報道されていたので、目にしたことがある人も多いかとは思います。非トランプ支持者がTiktok上でトランプの選挙集会の妨害を呼びかけていました。もちろん、これが敗因の全てではありませんが、SNSを通じて選挙妨害を堂々と拡散し、多くの民衆を動かしたことは間違いありません。

 さらに革命も起きていました。既に10年も経っていますが、アラブの春。当時日本でもこぞってみんなが使い始めていたFacebook。このアラブの春もFacebookによって為し得た革命だと報道されており、自分たちのFacebookはなんて平和ボケしているのだろうか、と感じていたことを書きながら思い出しました。

SNSを通じての何がしか、日本では起きるのか

 ゲームストップ社株価乱高下も、トランプ大統領誕生も、選挙妨害も、アラブの春も、全てSNSというナイフを使われての出来事でした。

 しかしこれらは全て日本の外で起きた出来事。(ゲームストップ社騒動は、ボーダーレスではありましたが・・・)

 今後、日本でもSNSというナイフを使いこなす新世代の賢者、あるいはナイフを振り回す愚者は現れるのだろうか。

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