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世界電子政府ランキングを正しく理解して考えなければならないこと2

昨日に引き続いて、国連UNDESAが発表した世界電子政府ランキングについて書いていきたいと思います。

▼昨日のnoteはこちら▼

改めてE-Government Surveyとは

国連の経済社会局(UNDESA)が、2年ごとに行っている国連加盟国の政府電子化を、いくつかの指標を用いて調査している報告書になります。

EGDI(E-Government Development Index)と呼ばれる指標値を用いて、各国の電子政府開発の進捗状況をまとめられております。また、EGDIは以下の3つの指標値の平均値に基づく複合指標になっています。

EGDIは以下3つの指標値を元にしている
①OSI(Online Service Index)オンラインサービス指標
→国連事務局独自の調査と各国からのアンケート回答に基づき算出している
②HCI(Human Capital Index)人材指標
→UNESCO(国際連合教育科学文化機関)のデータより算出
③TII(Telecommunications Infrastructure Index)通信基盤指標
→WB(世界銀行)とITU(国際電気通信連合)のデータより算出
<その他>
EGDIは4段階に区分されている
Very High、High、Middle、Low

昨日も書いた通り、この指標値やEGDIのランクが高い低いが重要なのではなく、2030年までに達成すべきSDGsで掲げている世界共通の目標とゴールに向けての活動が重要であるということです。

なので私自身も「ランキング」という言葉を使ってしまっているが、当該調査報告書のタイトルは

「E-Government  Survey2020 ~Digital Gavernment in the Decade of Action for Susteinable Development」と記載されている。

つまり、持続可能な開発のために、2030年までの残り10年でどうデジタル政府推進をしていくか?のため調査となります。

3つの指標値をもう少し深堀

本調査の本質は理解いただけたかと思いますので、次はより調査内容を理解するために、3つの指標値OSI、HCI、TIIについて深堀ってみます。まず冒頭結論を申し上げると、日本が最も現実を受け止めて改善していくべき指標はOSI→HCI→TIIの順になると思っています。

OSI

Online Service Indexということになりますが、言葉から創造できる通りで、その国のオンライン化を数値化したものになります。オンライン化というと、例えば住民票の取得といった何かしらの申請業務を想像されるかと思いますが、それだけではなく政府が国民に対して国の情報をきちんとWeb上で公開しているか、さらに情報に対してのアクセスのし易さも評価の対象となっている。

報告書の中に注視したい内容があったので、少しだけ紹介します。

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上記はオンライン化されているサービスの一例と、何か国でオンライン化されているのかを示した一覧表となります。例えば、Apply for birth certificate(出生届)ですが、2020年には149の国でオンライン化されており、世界で最もオンライン化されているサービスの一つとなるようです。

この事実には驚きを隠せませんでした。子供が生まれた時を思い出したのですが、確か2週間以内に親の住民票が置いてある区役所に届け出なければならなかったはずです。調べてみると郵送でも受付可のようですが、まず役所のHPから申請書をダウンロードして、プリントして、記入して郵送しなければならないようです。それはそれで手間な気がしますが、これでも昔よりかはユーザフレンドリーになったのでしょうね。

もちろんスポットを切り出して話をし出すとキリがないですし、後述いたしますが、国の規模や成熟度が異なるので比較は難しいです。これだから日本は遅れている!という言いたいわけではなく、これだけの国が進めているのだから、先進国と言うのであれば今の時代進めなていかないと置いてけぼりになってしまう、ということを認識しましょう、ということです。

また、オンライン化することが目的になってしまわないようにしないとなりません。オンライン化はあくまで手段であり、目的は国民の生活利便性の向上でないとなりません。情報の公開やアクセス性についても同様です。

HCI

Human Capital Indexということですが、私も初めて目にした時には電子政府調査なのだからIT人材の数や、IT人材に向けての教育サービスなどから算出されているもんだと思っていました。

しかし実際には全く異なります。冒頭申しあげたとおり、UNESCO(国際連合教育科学文化機関)のデータより算出されているようです。以下がその内容となります。

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Adult Literacy
成人識字率。15歳以上の国民のうち、日常生活に関する簡単な文章を理解して、読み書きができること。
Gross enrolment ration
総就学率。小学校・中学校・高校の入学者数合計の学齢人口割合。ただし、学齢人口=年齢かかわらず。
Expected years of schooling
一定の年齢に達した児童が将来受けることが期待できる学校教育の年数。
Mean years of schooling
その国の成人人口(25歳以上)が就学した平均教育年数。

先日のnoteでも書いたが、日本はこのHCIが低評価で0.8684ポイントでした。日本は大学進学率も50%ぐらいはあるのに、なぜ?と思う方も多いのではないでしょうか。

Gross enrolment rationMean years of schoolingからも分かるように、小中高大学校をストレートで入学卒業するだけではなく、その後に教育を受けている人数が多いほどHCIの値は高くなります。いわゆるリカレント教育です。実際にオーストラリア、デンマーク、フィンランド、スウェーデンなどの国々はリカレントに注力しており、HCIの値は非常に高い水準にあります。

一方、日本と韓国は大学受験を勝ち抜き、一流企業に就職することがゴールという風潮が未だに一部にあるせいか、HCI値は主要国の中でも非常に低い水準にあります。

韓国HCI 0.8997
日本HCI 0.8684

リカレント教育が国のデジタル化を進める、とは言い切ることはできませんが、近年叫ばれている「学びなおし」「学び続ける」をすることは重要であることに違いは無いと思っています。これは自分自身にも強く言い聞かせたい課題です。入社後に培ったスキルや知識だけで一生涯働き続けることは困難で、常にアップデートをし続ける必要のある社会になりつつあると感じています。

このように、数値化することで自国のポジションを把握することができ、改めてこの教育というのも今後の日本あるいは自身の課題であるというこに気付かされます。

TII

Telecommunications Infrastructure Indexといことになりますが、この数値は一言で言うと、通信インフラ整備されているかどうか、です。

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今回の調査では、4つが評価項目として設定されています。

・インターネットユーザ
・固定ブロードバンド契約数
・アクティブなモバイルブロードバンド数
・携帯電話契約数

TIIの順位だけで見ると、第6位ということで我々も普段の生活で全く不便することなくインターネットに繋がることできるので、こちらは妥当な評価であると思っています。電子政府の象徴ともいえるエストニアよりも、通信インフラは整備されているようです。

他の国の指標を見ていると、TIIが低い国は総じて他の値も低いように見受けられました。やはり通信インフラの整備という土台があったの電子政府の実現であることがわかります。

中締め

また少し長くなってしまったので、残りはまた次回!ということで、本日はこのあたりで中締めとさせていただきます。

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