背中

振り返ったらぼくがいた。

ふとした瞬間に、無力感に襲われる。

わたしはちっぽけな存在で、何をしたところで何も変えることなんてできない。それどころか、何の行動も起こせない意気地なしで、すぐそばにいる好きな人が困っていても何もしてあげられない。
そのうち愛想つかされて、ひとり取り残されてしまうに違いない。そんなの嫌に決まっているけれど、でも抵抗らしいこともできなくて、うずくまって泣くだけだ。

これまでだって何をしてきただろう。何ら大したことしてきてないじゃないか。やろうと思えば誰だってできることを、ちょっとやろうと思ってやってきただけだ。特別でも何でもないし、何か劇的な出来事が起こったわけでも、誰かの何かに影響を与えたわけでもない。
ただひとりでもぞもぞと身じろぎして、首をひねって狭い景色を変えただけ。半径1メートルもない世界で、目新しいものが視界に入ってちょっと感動してみただけ。

そんな、突然世界から突き放されたような、たまらない寂しさのようなものを感じる。わたしが何をしたところで何も変わらないのだろうという無力感とともに、ふとした瞬間にやってくる。

そんなとき、今まで自分が頑張ってきた証を振り返ることができたらいいなと思う。わたしにとって、今まで書いてきた文章たちがそれだ。自分が歩いてきた軌跡。傷だらけになって、ボロボロに泣いて、何もかもが怖くなっても、文を書くことはずっとやってきた。
それらを読み返したら、過去の自分が可愛く見えてくると同時に、じわじわとした鈍い温かさをまとった励ましを受け取ることができる。
何もできないことはない。ここまで歩いてきたじゃないか。どんなに遅くても、自分の足で、ちょっとずつでも着実に、前に進んできたじゃないか。

だから、大丈夫だよ。

ふとした瞬間に、どうしようもない負の感情に襲われたら、立ち止まっていいんだ。ゆっくりと後ろを振り返って、自分の足跡を眺めてみるといい。

過去の自分が、今を励ましてくれるから。

読んでいただきありがとうございます。 今後も精進いたします。