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新型コロナウィルスと医療介護経営

オミクロン株の爆発的感染、いわゆる第7波が猛威をふるっています。

経済を止めずに、コロナとお付き合い。

わかりますよ。うんうん。

なので、人の動きは止めないが、医療介護体制はそのままでいきましょう💡

いや、もう絶対無理でしょう。

「世間の人の動きはどんどん動いてもらってOKです。しかし医療介護福祉業界は院内施設内でクラスターになったら大変でしょう?」
「医療介護福祉業界は今まで通り自粛生活をベースに陽性者対応を頑張ってね。社会インフラの一つですもんね。」

まぁ一理あるのかも?

しかし、救急搬送そのものが困難、救急受け入れ見合わせ、手術の制限、外来制限。。。のみならず、介護施設も入所制限加わってくれば、医療のみならず介護サポートが必要な地域の方々への皺寄せも。

さて、どうなる医療介護福祉業界。周囲の病院さんや介護施設さんでもクラスターで受け入れストップが続々出てきています。
いざという時に繋がらない救急。いざという時に来てもらえない救急。いざという時に受診できない医療。いざという時に入れない施設。その時その立場になって初めて経験し、わかる事ですよね。

医療介護現場の人員増

最近は医療介護の実情も一般的に理解が進んできたのか、コロナ禍当初にあったような、「ベッドを増やせ」「看護師増やせ」「〇〇増やせ」という意見を目にする機会は減ってきたのかなと、肌感覚ですが思います。

医療も介護も、元々ぎりぎりの人数で経営しなければ、なかなか利益が出にくい収益構造です。なので経営上最重要なのが、いわゆる適正な人員配置ですね。
ざっくりの例ですが、患者何名に看護師1名配置する!など昼夜でルールがあります。全てにおいて最低配置人数が決められているのがこの業界。保育園とかも同じですよね。何歳児には先生何人配置、みたいなやつですね。
医療も介護も得られる収益はほぼ決まっているので、適正配置じゃないと収支バランスを維持するのは難しい。

収益上は人員配置が多すぎてはダメ。
人員配置が多いのは違法ではないけど、収益が下がって困るのは事業主。
逆に人員配置ルールより人が少なくては、運営そのものが違法状態。
アウト。

なかなか良くできた縛りですよね笑
なので余剰人員という概念はほぼない業界特性があります。


スタッフは簡単に増やせるのか

元々そんな状況下であるのに、普通の入院用ベッドをコロナ対応ベッドにして補助金もらって、それを原資に人を一時的に増やすとして、コロナ禍が終わったらどうなる?コロナ対応ベッドは廃止して、元の入院用ベッドに。補助金は無くなる。
残るのは、余剰人員を抱えて一気に赤字に転落する姿。そんなとこまで国もサポートしないでしょう。人件費率が上がって経営が厳しくなっても自己責任。
「ん?人が増えたらその分稼いだらいいやん?」ができないんです。
全ては点数制度で収入もMAXが決まっています。
いわゆる収入の天井が =ベッド数で大方見えてくるわけです。
HIT商品が出たからウハウハ!とは無縁の世界観。

なので安易な増員は困難。
ましてやコロナ禍なんて関係なく、元々誰もが知る人手不足な業界。
看護師・介護職募集の広告や看板なんて、ずーっとはるか昔から至る所に。
コロナ禍なので増員!!なんてそもそも構造的に出来るはずもなく。
しかも、そもそもどこにそんなに人財がいるんでしょうね。

ベッドは増やせるのか

では「ホテルみたいに新しい病院を建設して、ベッド数を増やしたらいいんじゃないの?」
元々ベッドの増減(病院等の新規開設)は許認可制なので自分達の都合では一切できません。減らす時もそのベッド数(まさか現物じゃないですよー)を都道府県にお返しします。

ベッド数を増やせないとはどう言うことか?
極論ですが例えば医療スキルが優秀で性格も良く経営の才能もあって神様のように崇められるような医者がいても、基本的には自分の病院を新規で建てることはできません。
例える言葉は悪いですが、ぼんくらで何もできないような医者でも、親が500床の病院を経営していたら、その医者は500床(500ベッド)を引き続き経営できます。

つまり、全ては許認可制であり、地域における人口動態、機能の役割などから見たベッド数自体がほぼほぼ決められています。

この地域にこんなに病院なんか不要やし、経営効率も悪いし、医療成績も悪いんで今後の身の振り方を考えるようにって、公的病院がいきなり名指しで発表され、その文言の捉え方で揉めてた案件が昨今話題になりましたよね。
病院経営は社会インフラとは言いながらも、一方でお国の厳しい管理下にあると言っても過言ではありません。
ベッド数は自分の好き勝手ではどうにもできないんです。
ついでに言いますと好き勝手に広報広告も打てません。
医療広告ガイドラインという法律で、言って良い文言や表現、これはダメな文言、表現など全てがルールに縛られています。

病院を増やしたいなら新規は無理なので、M&Aなんかをしていくか、売りにでた病院を買い取るか。
優秀だからといって自由に立地を決めて土地購入して、図面書いて建設して、さぁ病院経営!!ができないんですね。

なので、入院ベッド数は新規でバンバン増やせないんです。

結論としては野戦病院のようなものを臨時で作るか。。。
今ある病院のベッドをコロナ対応できるベッドに変更していくか。
この二択でしょうか。

ただ野戦病院を作ったとて、コロナ病床を増やしたとて、前述の通りスタッフの確保が課題。補助金だけもらってコロナ病床を名乗っておきながら、受け入れできないって何事だ!!問題も記憶に新しいところです。
どこの医療機関も介護事業所も、十分すぎるぐらいのスタッフが恒常的にいない。いないところにさらに自宅待機や感染が増える。もう無理。。。

なので転換できるベッド数も限られてきます。
元々役割があったベッドなので、転換すると言うことは、そこを利用する予定であった患者さんへの皺寄せも同時にあります。心臓や脳や内科や整形外科の受け入れ予定のベッドをコロナ専用にするって事ですから・・・。

人の命を預かる業種なので、規則規制がすごいのは理解できます。
命の前で医療介護は平等でなくてはなりませんよね。

現行のルールでは

少しずつ情勢に応じての対応しかないのかなぁ。
感染力があまりにも強い印象。
濃厚接触者や感染者の復帰や待機期間の短縮。
他に何も手立てがないまま、スタッフ感染が増加したり、自宅待機が増えてきたら、もうお手上げ。機能をストップするしかない。応援にも限界がありますよね。
局所的災害ならば、災害派遣で凌ぐってのがありますが
全国全世界同じ状況。局所災害じゃないんですよね。
世界規模の地球災害です。

全国的に医療介護現場は医療介護におけるスタッフのモチベーションのみで保たれている。これ以上感染拡大が止まらなければ、現場の崩壊はすぐのところに来ている気がします。

2類から5類へ?

つい数年前まではインフルエンザの感染対策でどこの施設も病院も躍起になっていました。
新型コロナがインフルエンザと同じ5類になったところで、感染力が相当高ければクラスターは完全には防げないので、あまり今と変わらないのか?
5類でも自宅待機する?濃厚接触認定する?在宅療養におけるサポートもなくなる?タミフルのように予防投薬できる薬もない。

患者側も、入院などの治療費が今は無料でも、5類は個人負担が出てくる。
病院なども今は保健所などのサポートがあるけど、5類ならなくなりますよね。重篤化しての転院先も自分達で調整しないといけない。受け入れ先が見つからなければインフルと同じなので「自院で診てね」が基本路線。
全ての医療機関が「類」が変わっただけで、病態そのものは変わらないこのウィルスに対応できるのか?変異もどんどんなされるでしょうし。
そして5類ならワクチン費用も自己負担でるのかな?

現行ワクチンもオミクロンには効果がないようなNEWSが流れる中、慌てて医療従事者には4回目接種に路線変更しつつ、10月にはオミクロン対応ワクチンの接種ができる予定というNEWSが。
今慌てて効果があるんだかないんだかの現行ワクチン接種した人は、来年1月まで新しいワクチンを接種できない事態に。
なんだかなぁ。。。もう少し整理整頓してほしいですよね。。。

病院単体、施設単体だけで「5類なのでインフルエンザと同じ扱いです」で、うまく回せるのか?
しっかりと制度設計の議論が必要ですね。

最終的に本当のお手上げはウィルスと対峙する力がなくなっての思考停止。
そうならないように、あらゆる手立ては講じておかねば。






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