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六月のひとめぼれ(丸太町「銭幸」の青梅)

丸太町駅を降りて、椹木町通へ入る。その通りは第二赤十字病院の構内を突っ切っていて、西へ進んでいくと通りの上に病院の渡り廊下が見えた。それをくぐると見たことのある外観のパン屋があった。

こんなところにも進々堂があったとは知らなかった。京都のあっちこっちへ行ってるつもりだから、こんな風に初めてみる道に出会うと、なんだか果てしない気持ちになる。

大路小路が分かれて分かれて、それらは網の目に広がって、この町は膨張し続けているんだ…というのはただの想像で、実際はグーグルマップに頼って決まり切った道しか歩いていない自分のせいなのである。

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大通りを渡るとすぐ左手に銭幸はありました。

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お店には誰もいない。

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若あゆ、水無月、水まんじゅう…店先に並んでいるおかしはもう夏仕様。

「青と緑とかがまざった丸いお菓子ありますか?」

と尋ねると

「あれはないねー。今年は出るか分からない。」

という返事が。

青と緑とかがまざった丸いお菓子、というのは「涼玉」のこと。青色、緑色、黄色のお餅がマーブルになった見た目にも涼しい夏の和菓子(グーグル画像検索しても出てこなかった)。「京都のおまんやさん」を読んで知って、これはこの夏食べなくてはと銭幸さんに来たのです。

「京都のおまんやさん」は10年ぐらい前の本だし仕方ない(でもとっても良い本。絶版になっているので図書館で借りました。いつか古本市で会える日を夢みている。)。と諦める。

「青梅」は6月いっぱいまでだよ、ということでそれをいただく。

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6月もあと1週間で終わり。だから梅の季節もあと1週間で終わり。家で仕込んでいる梅シロップは、透明のシロップが梅の色に染まりつつある。「青梅」が店先から消える頃には、いい感じにできているに違いない。ただその前に、水無月を食べないと。

と考えが至ったところで、和菓子は常に生活と共にあるから好きなんだなあとあらためて思う。

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店先の「外の人が見たら意味不明だけども中の人にとっては秩序立てられて存在しているゾーン」を確認し、お店を後にする。

ちなみに、墨染の銭幸さんはこのお店の番頭さんが開いたお店。いまはほぼ別店舗として営業してるのだそう。

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「青梅」はまるで本物の梅のよう。中は白あんかと思いきや梅のあんこ。ちょっと酸っぱくてさっぱりとしたお味でした。梅雨の時期にいただきたい和菓子です。

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▶ 銭幸餅
住所:京都市上京区椹木町通西洞院東入
電話:075(231)2976
営業時間:午前8:00~午後6:00
定休日:月曜日


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