漢方逸話① あの薬用人参の話
前回、前々回と食養生の話をしてきたが、秋編、冬編はもう少し先に紹介しようと思う。
そこで、今回は漢方の逸話について書きたいと思う。
第一回は「人参」について紹介しよう。
薬の世界で人参というと、薬用人参すなわち朝鮮人参、高麗人参を指す。植物の分類上ではウコギ科のオタネニンジンのことをいう。
一般的な人参は食用人参で、セリ科の人参、1年草である。
朝鮮人参は地上部は木で、100年以上生育するものもあるのだという。
この薬用人参の漢方的な薬効としては、胃腸を整えながら気(エネルギー、元気など)を補う作用があるとされている。生薬の中では一番人気で、様々な漢方薬(補中益気湯:ほちゅうえっきとう など)やドリンク剤などに配合されている。
薬用人参は朝鮮半島から中国北東部にかけて自生していたが、今では天然物は残っていないと言われており、現在は栽培品で対応しているのが現状だ。薬用人参は大変高価で、上海にある野生人参館に展示されているものは、約6,000万円と言われている。
現代医学的には、消化器系機能調整作用、免疫調節作用、抗ストレス(精神安定)作用、老齢ラットの生存率上昇作用など様々な報告があがっている。
漢方薬は今から約2,000年前に中国で作られ日本に伝わったものである。よってもともとは中国で自生していた薬草で作られていたわけである。しかし、日本で人参を配合した漢方薬を製造するためには、輸入のみでは調達が大変であり、国内で栽培する必要が出てきた。
そこで、次回は人参の栽培秘話を紹介したいと思う。
今回はここまで。
読者の方に少しでも興味が生まれ、漢方に触れるきっかけになれたなら嬉しく思う。
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