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【認知行動療法】バランス思考を身に着けるための認知再構成法を解説

認知のゆがみ、考え方の偏りにはパターンがある


前回は自動思考、認知再構成、バランス思考についてそれぞれ解説しましたが、今回は「自動思考で生まれる認知のゆがみパターン」と「認知再構成法」の具体的な方法について解説していきます。

起きた出来事に対して瞬間的に行われる自動思考では、ゆがんだ考え(証拠のない、あるいは証拠の少ない一方的な思い込み)が浮かびやすく、人によってはそのせいで暗いこと(明るいこと)ばかりを考えてしまいます。

この認知のゆがみ、考え方の偏りにはいくつかパターンがあります。

これらのパターンを覚えておくと、あとで考えの偏りを正すことができるようになるので、ここでいくつか紹介しておきます。

認知のゆがみが生まれる8つのパターン


白黒思考:0か100か、正解か不正解の二つしかない、完璧にできないと何の意味もないと考える。
べき思考:「~すべき」「絶対に~してはいけない」と考え、自分で自分をしばりつける。
すべて思考:一度何かが起こると、全部そうなると思ってしまう。
自責思考:起こったことは何でも自分に責任があると考える。
深読み思考:「相手はこう思っているはずだ」と決めつける。
感情的思考:「自分は今こんなに悲しいんだから、実際に悲しくなるようなことが起こっている」と考えてしまう。
先読み思考:「どうせ〇〇に決まってる」と未来を決めつける。
一面思考:良い面と悪い面のうち、悪い面だけ見てしまう。


こうして並べてみてみると、どれも完璧主義者や真面目過ぎる人の共通点であることがわかります。だから完璧主義はメンタルヘルスに悪いと言われるのですね。

咄嗟に生まれた考え(自動思考)に「ツッコミ」を入れていく


認知行動療法では、ポジティブ思考を目指すのではなく、事実に基づいたバランスのとれた考え方を目指します。

よくある間違いが、自分の考えをすぐに否定してしまうことです。しかし、最初に気づいた事実や考えを否定して取り除こうとする必要はありません。

自動思考を単に否定するのではなく、最初に気づかなかった別の事実や考え方がないかを探して、新しい事実を付け足してみることが、バランスの取れた考え方をするためのコツです。

そのための方法の一つが、これから紹介するツッコミ法です。

ツッコミ法には3つのやり方があります。探偵法、博士法、江戸っ子法です。

ツッコミ法その1 ~探偵法~


探偵法とは、他の事実をもっと見てツッコミを入れる方法です。

自動思考が生まれた時、人は事実の一部分にしか目を向けていません。人間の注意力には限界があるので、どうしても常に客観的に物事を見るということができないのです。

そこで、とっさの考えに合っている事実やとっさの考えに反している事実を見落としていないか、自分が探偵になったと仮定して探してみましょう。

例えば、挨拶を無視されて誰かに嫌われたと考えたとします。そのとき、次のような2つの質問をして事実を確認していきます。

あなたがその人に嫌われているという考えに、合っている事実は何ですか?
あなたがその人に嫌われているという考えに、反している事実は何ですか?

自動思考を単に否定するのではなく、その自動思考を支持する事実と支持しない事実を区別してバランスを取っていきます。

単純に、その自動思考に反した考えだけを探さないのがポイントです。

ツッコミ法その2 ~博士法~


博士法とは、他の考え方ができないかを考えてツッコミを入れる方法です。

自動思考で最初は一つの考えにとっさに飛びついてしまいますが、その後で別の考え方ができないかをじっくり考えてみましょう。

また、「他の人だったらなんと言うか?」と自分に問いかけてみるのも、別の視点や考え方を探るための良い方法です。

次のような2つの質問をして事実を確認していきましょう。

その考え方以外に、他の考え方はありますか?
その考え方以外に、他の仮説はありますか?

自動思考によってネガティブな気分になったら、探偵法と博士法を合わせて「バランスのとれた考え」をまとめていきましょう

そして、ツッコミを入れてバランスのとれた考え方ができたら次の質問をしてみます。

とっさの考えと、バランスのとれた考えをした時の感情の強さは0~100でいくつですか?

感情の強さを数字で表したら、両者を比較してみてください。おそらくバランス思考を行った後では、感情の強さは弱まっているかと思います。

ツッコミ法その3 ~江戸っ子法~


最後に、「だからどうした?」と開き直ってみる江戸っ子法というツッコミを解説します。

とっさの考えへの反論が思いつかない時は、とっさの考えが仮に事実だったとして、「それほど悪いことなのか?」「全く対処しようがないのか?」を考えてみるのも一つの方法です。

例えば、「その人に嫌われたのが事実だとしても、きっと何かの誤解なので、後で理由を聞いて仲直りすればいい」「その人に嫌われたのが事実だとしても、それで知り合いがゼロになったわけではない」といった感じです。

江戸っ子法では、「だからどうした」「まぁいっか」を合図に、問題をあとで解決する対処法を探すことと、開き直って状況を評価しなおすことの両方を試してみましょう。

→元記事はこちら:https://kruchoro.com/cognitive-behavioral-therapy-6

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