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希死念慮なんだろうか

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すぐ、死について考えてしまう。鬱っぽかったり、そうでもなかったり。
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#短編小説

答えはいらない。

「しんでもいいですか」

数ヶ月前、自分で匿名のSNSに投稿した文章だった。
そのひとつ以外にも似たような内容のものがあったけれど、
なぜかその九文字が目に止まった。

命を絶ちたいという願いの言葉であるが、
何故か他社に許可を得るような疑問文だ。

「だめだよ」

と言ってほしいのか。

「どうぞ」

と背中を押してほしいのか。

どちらにしたって、自分の命を他人に選択させようとしているのだ。

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ちゅうに

何かを創る為に、

絶望と余裕が欲しいな、と

絶望するだけの余裕が欲しいな、なんて

絶望すると、達成感が欲しくなる、

その達成感って絶望から浮上させてくれる

そういう状態で創ったものって、

誰かにいい評価貰うためのものじゃなくて、

自分が納得するためのもの

だから、周りの人なんて気にしないで創れるもの

一心不乱に何かに集中したいんだよ、ね

自分の世界に入りたくて、浸りたくて、

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おかしいのは誰か

−−−−−−−昔話をしよう。

 

 そう語り始めた「仙さん」と呼ばれる彼、いや彼女?は一言で「不思議なひと」だった。

 性別を始め、年齢、名前、どこに住んでいるのか、その他もともと謎のひとだった。ヒョロリと背が高く、色白。常に微笑むその目には長い睫毛。声は高くも低くもなく、女性特有の柔らかさも男性のゴツさもなかった。そして少年というような幼さもなかった。ただなんとなく「日本人だろう」というこ

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『歩道橋の上で』

無理しないでね、なんて嘘よ
あたしのために無理してよ、

なんてね、嘘よ

こんなこと考えてしまうのはきっと、
今周りが真っ暗だからね
こんなこと考えてしまうのはきっと、
今夜が特別寒いからだね
こんなこと考えてしまうのはきっと、
私以外誰も歩いていないからね

来た道は戻りたくなくて
でも家には帰らなきゃいけなくて

だから歩道橋を通って違う道を進むことにしたの

歩道橋に登ったら空が近くなった

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どうか見てはくれないか

「どうせ見てもらえないのだ。」

僕の作品も僕自身も

仕事終わりの車内。
中学の時に好きだったバンドの音楽を鳴らしながら、そのリズムを狂わすように左へ曲がる合図が光ってる。
中々車は途切れず思うようには帰れない。
若干のイラつきを誤魔化すようにうろ覚えの歌詞を歌う。

ライトを点けるかどうか迷っていると、走る音が聞こえるトラックが前を通りすぎた。

あー、今アクセル踏めばトラックとぶつかれたかな

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いつだろうか

父の体重が、私の体重よりも軽くなった時、

「あ、この人っていなくなっちゃう存在なんだ。」

と実感した。

その1年後、父はいつもと同じようにコタツでうたた寝をしていた。
いつもと違ったのは、私が「おやすみ」と言っても瞼が閉じたままだったということだ。
私は違和感を感じつつ、まぁ、いいか、と自分のベッドへ向かった。

次の朝、父はいなかった。
仕事に出かけた訳ではなくて、姉から聞けば朝具合が悪く

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