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黒野 燁
2019年8月31日 22:43
俺は、居眠りトラックに追突されて死んだ。 肉体は滅び、ぼんやりとした意識だけが空中をふらふらと漂っている。 この状態が一か月ほど続いた。そして俺は、なぜか意識だけが抜けている健康的な肉体を見つけた。 俺はその肉体の中に入ってみた。生前と全く違う肉体だが、悪くない。 ……生前の俺には、美咲という付き合っている彼女がいた。別の肉体で彼女に会いに行っても、意識は俺自身のものだというこ
2019年8月30日 23:59
「ワシはなぁ、昔プリンスエドワード島に住んでたんじゃが、ある日、ギルバートという男の子が……」 「うんうん、そうだったんだぁ」 ……今日は、赤毛のアンか。俺は、公園で老婆の話を聞いていた。 彼女は自分のことを全く覚えていない程に、痴呆が進んでいた。そしてそれを埋めるように、度々自分を、最近観たテレビのドラマやアニメの登場人物だと思い込んで、俺に話してきた。その物語の内容も、すぐに