kozue

日常の小さな幸せや哀しみを、そっとすくい上げて言葉にしたい。

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記事一覧

寒くても

外を歩くと指先が氷みたいに冷たくなった。こんな夜は高村光太郎の詩の一節を心の中で繰り返す。 冬よ 僕に来い 冬よ 僕に来い 寒いのは辛い。だけど潔く受け入れよう…

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2年前
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がんばったあなたへ

今日も一日お疲れ様でした。 頑張ったことは自分自身が一番よく知っているから。だから自分のこと、いっぱい褒めてあげてくださいね。 自分のことなんて褒められないよっ…

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2年前
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からっぽ

からっぽに ホッとする時がある 例えばお弁当箱 からっぽのお弁当箱 朝は不機嫌そうにしていたけれど もりもり食べて 元気になった姿が目にうかび 安心するのだ 例…

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3年前
17

十回目の結婚記念日に

記念すべきその日 あなたからは何も無かった 何も無かったことが問題なのではない 何も無かったと がっかりしている私がいたことが 問題なのだ あなたはいつものよう…

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3年前
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呼ぶな 私のことを 返事などするものか 「〇〇さんの奥さん」とか 「〇〇ちゃんのお母さん」とか 何をしていても 追いかけてくる 声、声、声 私は一人の女 役割り…

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4年前
17

夜の南海電車で

初夏の夜。難波発の区間急行の中に私とその人はいた。車内は冷房があまり効いておらず、二人ともじっとりと汗をかいていた。私たちは一緒に映画を見た帰りだった。映画の内…

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はじめまして

kozueです。仕事と家事の合間に読書を楽しんでいます。そして、創作も。一人でも多くの人に私の言葉が届きますように。

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4年前
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寒くても

寒くても

外を歩くと指先が氷みたいに冷たくなった。こんな夜は高村光太郎の詩の一節を心の中で繰り返す。

冬よ 僕に来い

冬よ 僕に来い

寒いのは辛い。だけど潔く受け入れよう。自分の身体をギュッと抱きしめ冷たい風の中を歩いていく。私は負けない。夜空を見上げるとオリオン座が輝いていた。

がんばったあなたへ

がんばったあなたへ

今日も一日お疲れ様でした。

頑張ったことは自分自身が一番よく知っているから。だから自分のこと、いっぱい褒めてあげてくださいね。

自分のことなんて褒められないよっていうあなた。それなら私が代わりに。

言いたいことも飲み込んで、辛くても笑顔で、よくがんばりましたね!偉い!

明日はきっといいことあるよ。

からっぽ

からっぽ

からっぽに

ホッとする時がある

例えばお弁当箱

からっぽのお弁当箱

朝は不機嫌そうにしていたけれど

もりもり食べて

元気になった姿が目にうかび

安心するのだ

例えば家

からっぽの家

お客さんの理不尽な要求と

愚痴ばかりの同僚に

何度も頷いた後の

誰もいない家

家族が帰ってくるまでの

わずかな時間

その静けさに

救われるのだ

例えば心

からっぽの心

眠りに落ち

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十回目の結婚記念日に

十回目の結婚記念日に

記念すべきその日

あなたからは何も無かった

何も無かったことが問題なのではない

何も無かったと

がっかりしている私がいたことが

問題なのだ

あなたはいつものように

乱暴にドアを開け帰ってきた

何も言わずにテレビをつけ

つまらないバラエティを見ながら

大好きな唐揚げを食べ

つまらないコントに

声をあげて笑った

そして突然

オカン元気にしてるかな

と 呟いて

部屋を出

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声

呼ぶな

私のことを

返事などするものか

「〇〇さんの奥さん」とか

「〇〇ちゃんのお母さん」とか

何をしていても

追いかけてくる

声、声、声

私は一人の女

役割りも肩書きもない

一人の女なのだ

呼ぶな、呼ぶな、呼ぶな

力をこめて

声を踏みつぶす

夜の南海電車で

夜の南海電車で

初夏の夜。難波発の区間急行の中に私とその人はいた。車内は冷房があまり効いておらず、二人ともじっとりと汗をかいていた。私たちは一緒に映画を見た帰りだった。映画の内容はもう思い出せない。おそろしく不細工なゾンビが出てきたような気はする。

今度はいつ会える?

その人は何度も聞いてきた。私はもう会いたくはなかった。他に好きな人がいたからだ。けれど、その人を傷つけてしまうことが怖くて、曖昧に頷いたり首を

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はじめまして

kozueです。仕事と家事の合間に読書を楽しんでいます。そして、創作も。一人でも多くの人に私の言葉が届きますように。