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今夜も お月さまと一緒に

「今日はまた暑くなったねー。」
「うん、まだまだ熱中症に注意しなくちゃね。」

今日は朝からお日さまがずっと顔を出していて
気温が上がり、夏の暑さとなりました。
こざる達は 今日も いつものように楽しくお喋りしながら、
夕飯の仕度をしています。

「暑いけれど、でも空も秋の空になってきたよ。」
「日差しも真夏のようにカッ!ではないよね。」

少しずつ夏から秋に変わっていっています。

「今夜は上弦の月なんだよ。」
「そうなんだ! これから秋が深まっていって 月が綺麗に見える季節だね。」
「そうだよ、もうすぐ十五夜だよ!」
「なんだか嬉しいねー。」
皆、うんうん頷きます。

「お月さまは、いつも皆を見守ってくれている気がするよね。」
「うん、ふと夜空を見ると、お月さまが 出ていて、
ぼく達を優しく見ている気がして、なんだか安心するんだ。」
「いつもいいところで登場してくれるんだよね。」

そうです。
ちょっと落ち込んでいる時など、何気なく外を見ると
そこに夜空に静かに輝く お月さまがいて、
こっちを見ているように思うことがあります。

「秋になって冬になっていくと、空気が澄んできて
星も綺麗に見えるようになってくるよ。」

地方では 季節を問わずに溢れるほど沢山の星が見えますが、
こざるカフェがある地域は、これからが星がよく見える季節です。

「こうして秋になって夜が長くなっていって、空気もひんやりしてくると
読書の秋だね。」
「暖かい飲み物と本と、お月さまと星空!」
「ああ、なんだかいい季節になるねー。」
こざる達は、その居心地のいい時間を思い浮かべて うっとりします。
それぞれ、お気に入りの本と飲み物で、いい時間を過ごします。


そういう非生産的なことばかりしてきて
今に至ります。

「りこちゃんは、よくこう言ってたよね。
『何でも、効率、効率って言わないんだよ。』って。」
「うん、『本を読むのは勉強じゃないよ。自分の好きな本を読んで、
自分でちゃんと何かを感じて、そうやって心が育つんだ。』って。」
「『すぐに結果なんて求めないんだよ。』って言ってたね。」

りこちゃんは、これをしたから、こうなるということではなく
シンプルに、自分の好きなことをする時間、
効率や生産性とは関係ない時間が、感受性を育てて、
豊かな心、豊かな人生を作ると言っていました。

「役に立つから読む、役に立たないから読まないんじゃなくて、
自分が本当に好きで読みたいものを読めばいいんだよ、ってねー。」
皆、うんうん頷きます。

「本当はね」
こざるちゃんが言います。
「誰もが わかっていると思うよ、わかっているけれど、
特に読みたいわけではないベストセラーのビジネス書を
時間がない中で読んでいるんだよ、きっと。」
「本当は、自分が読みたい本を読みたいよね。」

いつも時間に追われるのではなく、
そういう時間が普通に持てる暮らしを
みんなができる世の中になってほしいです。

「もうすぐ十五夜だから、また皆で、お月見しようよ!」
「うん!」
「ぼく達が小さかった頃も、りこちゃんがベランダに
お茶やら おやつやら用意してくれて、皆でお月見したねー。」
「そうだね、りこちゃんと ぼく達、お月見もよくしたよね。」

ラジオから、軽快なリズムの歌が聴こえてきます。

「ひとけない月影のアスファルト 空カンを蹴っているシルエット
話かけたら壊れそうで ガードレールに 腰かけてた
気がすんだならとなりに来てね」

松任谷由実の『September Blue Moon』です。

こざる達はリズムに乗ってテンポよく
お皿やお箸を並べていきます。

「きみは September Blue Moon
今夜はひとりでふさぎ込んでる
過ぎた夏の日々に悲しいこと考えたの
きみは September Blue Moon
私でよければ近くにいるわ
灼けた膝の上で手をつないでいたいから」

夕飯の仕度ができたようです。

「りこちゃん、呼んでくるねー。」
こざるちゃんが、踊るように りこちゃんの部屋へ向かいます。

「眠そうなストアーのレジスター
自動ドアつれて来た秋の風 信号機が街角染めて
少しは気分もかわったら いつものように家に帰ろう」

「りこちゃーん、夕飯 できたよ。
今夜は秋刀魚の塩焼きだよ! 美味しい梨もあるよ!
皆で一緒に食べよう!」

「きみは September Blue Moon
今夜はセンチで魅力的なの
ずっと見ているから これ以上沈まないで
きみは September Blue Moon
ゆっくり追いかけ歩いてゆくわ
二人だけの道をプラタナスくぐりながら」

こざるカフェは、今日も ゆっくりゆっくり
のんびり 穏やかに時間が流れていきます。

読んで下さって、どうもありがとうございます。
台風が近づいています。出来るだけ被害がないようにと願います。
よい毎日でありますように (^_^)

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