見出し画像

お花見とワッフルの春休み

夜空に細い三日月と その上に金星が 美しく輝いています。
今日も りこちゃんとこざる達は いつものように
皆で一緒に 楽しく夕飯を食べました。
そして のんびりと 食後のお茶を飲んでいます。

「りこちゃん、今夜の食後のデザートは ワッフルだよ。」
「あら、美味しそうね。」
「ちょっと 小さくするよ。」

こざるちゃんは、りこちゃんが食べやすいように、小さく切ってお皿にのせます。

「はい、どうぞ。ゆっくり よく噛んで食べてね。」
「うん。」
「じゃあ、いただきまーす!」

皆で ゆっくり食べます。

「わー、美味しいねー。」
「うん、美味しいね。」
りこちゃんも嬉しそうに 食べています。

「以前、りこちゃんの友人仲間が お花見の頃、遊びにきた時に、ワッフル作ったよね。」
「うん、ワッフルっていうと その時を思い出すよ。」
皆、うんうん頷きます。

数年前、りこちゃんの友人達、皆、既におばあさんでしたが、
それでも 今よりも皆、若いおばあさんで、それなりに元気で それなりにフットワークも軽く、
よく一緒に遊んでいました。

「それで、皆、お花見しにやって来たんだよね。」
「うちのすぐ近くの桜並木と、 小さいけれど桜がたくさんある公園に 皆で行ったんだよ。」
「そして うちで ワイワイ楽しく お喋りしながら 食事したんだよね。」
「皆、よく喋って よく笑ったねー。」
皆、うんうん頷きます。

「それでね、ワッフルメーカーで ワッフル焼いて、出したんだ。」
「そしたら、皆、『わぁ、ワッフルなんて お洒落ねー。』って大喜びしてくれて…」

こざる達は、パタンと挟んで焼くタイプのワッフルメーカーでワッフルを焼いて出しました。
すると 中身は 女学生のような おばあさん達は、登場したワッフルに 嬉しくなって はしゃいで、大喜びでした。

「ワッフルって、ベルギーよね?」
「ベルギー、行ったことないわー、行ってみたいね。」
「きっとお洒落なところなんでしょうね。」
「テレビで見たけれど、とっても美しい広場があるところよね。」
「そうそう、ブリュッセル!」
「あー、皆で 遊びに行きたいねー。」

皆、とっても嬉しそうに食べてくれました。

「ぼく達、本場と違って、ホットケーキミックスで作ったから、本物とは違ったんだけどね。」
「でも、本当に喜んでくれたよね。」
「うん、あの時の笑顔、とってもよく覚えているよ。」

本当に嬉しくて楽しい時間でした。

今は、もう旅立ってしまった人もいます。
りこちゃんのように 入院したことがある人もいますし、施設で暮している人もいます。

ラジオから、ゆっくり 優しい歌が聴こえてきます。

「春休みのロッカー室に忘れたものをとりに行った
ひっそりとした長い廊下を歩いていたら泣きたくなった
目立たなかった私となんて交わした言葉数えるほど
アルファベットの名前順さえ あなたはひどくはなれてた」

松任谷由実の『最後の春休み』です。

皆、ワッフルを食べた時を思い出しながら、静かに聴いています。

「もしもできることなら この場所に同じ時間に
ずっとずっとうずくまっていたい
もうすぐ別の道を歩き 思い出してもくれないの
たまに電車で目と目があっても もう制服じゃない」

「ワッフルのお代わり、あるよー。」
「お茶のお代わりも淹れてくるよ!」


「もうすぐ別の道を歩き 思い出してもくれないの
そよ風運ぶ過ぎたざわめき
今は春休み 今は春休み 最後の春休み」


こざるカフェは、今日も ゆっくりゆっくり
のんびり 穏やかに時間が流れていきます。

読んで下さって、どうもありがとうございます。
今夜の三日月(正しくは四日月のようです)と 金星、とっても美しくて 眺めていると ホッとします。
よい毎日でありますように (^_^)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?