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ニュースウオッチ9④印象操作

③拡大解釈からの続き/

いきなり話が逸れますけど、つい最近、NHKがまた大きな不祥事を起こしましたね。

番組放送前のインタビュー原稿をスタッフが無断で持ち出して、敵対する勢力に渡してしまったんだとか。1989年のTBS「オウム真理教ビデオ問題」※を思い起こさせます(※TBSが坂本弁護士のインタビューを放送前にオウム真理教幹部に見せてしまった事件)。
今年のNHK不祥事ランキングで上位にくるんじゃないかと思うくらい、深刻な事態です。

この流出事件についてNHKが出した見解に、印象深い言葉がありました。それは「興味本位」というもの。子会社の派遣社員が興味本位で情報を持ち出し、某インフルエンサーに渡したというのですが、事の重大さと動機の軽さがかみ合ってない。そこに違和感を覚えました。

「興味本位」も動機の一つではあるのでしょう。でも、それだけの理由で社内秘の書類を外部に持ち出し、あまつさえ敵対勢力に渡すでしょうか? 

今回流出した情報がきわめて重要なもので、持ち出すことがいかに罪深いかは誰にでも分かること。しかも、そのような情報にアクセスできる人間は限られてるからすぐに犯人は特定されますし、バレたらクビ確定ですよ。損害賠償請求されるかもしれないね。興味本位でするような悪戯とはわけが違う。クビを覚悟の確信犯だったと見るのが、妥当ではないかと思います。

真の動機はおそらく別のところにあるのでしょう。たとえば「某インフルエンサーの熱烈なシンパだった」とか「勤め先の待遇に不満があった」「セクハラ、パワハラの恨み」など、結果の深刻さに見合ったそれなりの動機があるはず。本人がそれを口にしなかったか、NHK側が隠蔽したかはわからないけど、「興味本位」ということにしておこうとNHKが判断したのでしょうね。

「“派遣社員” が ”興味本位" で無責任に悪事を働いた。子会社の不始末で、NHK本体は関係ない」というイメージをかもしだし、世間の人を納得させたいという意図を感じます。「子会社」「派遣社員」「興味本位」というワードの組み合わせで、印象操作をしているのです。

そう考えると、NW9のあの言い訳「ワクチンで亡くなった人の遺族であっても、広い意味でのコロナ禍で亡くなった遺族には変わりないと考えてしまった 」も、違った様相を帯びてきます。

➁「隠蔽工作」で書いたように、NHKはこの支離滅裂な言い訳によって、「不適切報道」に作為があったこと、故意の捏造・歪曲をおこなったことを隠したいのではないかと、私は考えています。
実際のところ、7/21付けのNHKの報告書「「ニュースウォッチ9」報道について」を読むと、この言い訳をNHKがやけに前面に出しているように感じるんですよ。

報告書全9ページの中で、担当職員(と上司)がコロナ感染死とワクチン接種死を混同するなど、コロナの問題をはじめ社会問題への認識が不十分であるとする記述は、全部で6か所あります。
そして、これを補強するかのように、担当職員の経験不足を原因の一つとしてあげています。

報告書の記述から浮かび上がる担当職員の人物像は……

・普段は映像編集の仕事をしていて、取材をするのは年に数回。
・コロナ禍遺族のインタビューは未経験だった。
・新型コロナやワクチンに関する認識が不十分。

「コロナ感染死とワクチン接種死の区別もつかないほど見識がなく、取材経験も浅い」といったところでしょうか。このような人物像に対して、世間はどう反応するでしょう?

A:そういう人間ならうっかりしても無理はない、と納得する。
B:そんな人間に取材させるな!と驚きあきれ、憤慨する。

多くの人はBでしょうね。特に、NHKの内情をよく知らない一般の視聴者は、「まさかあのNHKが!」と驚愕し、「けしからん!受信料返せ!」と怒るでしょう。NHKに批判殺到です。でも、これでいいのです。

「ダメな職員がポカやらかしました。すみません」で済めば、NHK的には御の字なんですよ。いくら責められたっていいんです。捏造報道という真相から、世間の目をそらすことができるのだから。

これこそまさにNHKがたくらむ印象操作なのです。

しかも、NHKの報告書では、担当職員とその上司がコロナやワクチンの問題に疎いことを「社会問題に対する認識不足」であるとした上で、ご丁寧にも2021年放送のBS1スペシャル「河瀬直美が見つめた東京五輪」 での捏造問題を引き合いに出しています(これもBPO案件です)。

「BS1スペシャル」の問題に続き、再び、社会問題への認識不足が要因の問題が起きたことは、深刻な事態だと受け止めています。

NHKによる報告書「「ニュースウォッチ9」報道について」。強調筆者

同様の記述がもう一か所あります(ちなみに「BS1スペシャル」の語は、全9ページの報告書で合計8箇所も出てきます)。

シナリオありきの捏造なのに、社会問題への認識不足による過失にすり替える。「わざとじゃないです。よくわかんなくて、間違えちゃいました」としらばっくれているのです。「BS1スペシャル」の五輪字幕問題でも、デモへの認識が甘くて字幕間違えちゃいました、と主張していましたが、「今回も同じ理由なんですよ」と言いたいみたいです。わざわざ過去の過ちを引っ張り出して強調するところが、あやしいよね。2年も経たずに放送倫理違反起こしてるから、反省の意を示す必要があるんでしょうけど。

担当者もその上司も、コロナはじめ社会問題に疎いタイプだと印象付けて、それが原因で「不適切報道」が起きたと言いたいみたいです。
報道機関でドキュメンタリーを担当している人たちが、よりによって「社会問題への認識不足」だなんて……それじゃあ仕事にならない! そんな馬鹿なことがあるものか!と誰もがみな呆れ返ります。これが本当なら人選ミス、採用ミスのそしりを受けても仕方がないですけど、NHKは別にそれでかまわないんですよ。

表向きの理由はただの目くらましなので、世間の人がそっちに食いついて炎上したら、しめたものです。捏造・歪曲がバレにくくなりますからね。

だから、そういう点をいくら非難しても、彼らにとっては痛くも痒くもない。馬鹿なふり、うかつなふりをして、その場をしのごうというのですから。捏造の確たる証拠をつかまないことには話になりません。
かりに尻尾をつかまれても、反省なんかしないでしょうけどね。報酬額を大幅に減額するくらいでないと、たぶん懲りないです。


【追記】12/5に公表されたBPO検証委の意見書記者会見の様子を見るに、BPOもNHKの説明を受け容れているわけではなさそう。でも、決定的な証拠があがっていないのか、それ以上は追及できないみたい。NHKはしらを切り通したのですね。

五輪字幕問題の時だって、当初は「字幕の一部に不確かな内容があった」とごまかしてたけど、結局は「字幕は誤りだった」と認めることになりました。BPOに「単なる字幕の付け間違いという問題ではない」とお叱りを受けてます(それでもNHKのガイドラインでは「捏造」にはあたらないらしい!)。


出家詐欺報道でも「ヤラセじゃない」って言い張って、BPOから疑問視されてたし。限りなくクロに近いのに自白しない。毎度毎度、同じことの繰り返しです。

【追記2】この記事を書いている間に、衝撃の事実が発覚しました。取材メモ流出の件で、NHKがなぜかColaboに謝罪し、その写真が公開されて大騒ぎになってます。

こんな写真出されてしまったら、下手な言い訳できないよね、NHK。スタッフおよび機密情報の管理体制の甘さ、とかいうレベルの問題じゃないってことですよ。書きたいことはたくさんあるけど、今日はこの辺で。

⑤「辻褄合わせ」へ続く

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