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エッセイ『馬に失礼やろ』

 趣味は新聞一面のコラムを読むことです。一面コラムの面白いのは、本題に入る前の蘊蓄です。知識ひけらかし系マウントおじさんにひけらかされたらうんざりしてしまうのに一面コラムに書いていたら膝を打ちがち。あれを書いている人たち、普段は部下に知識ひけらかし系マウントちゃんになっていないか心配です。そういう裏の顔が見えないところが好きなポイントでもあります。基本匿名で性別も年齢もわからない人が書いているのに、ただただ「新聞だ」という一点で信頼が担保されているのも新聞というメディアの歴史によるものでしょう。正直最近は「もっとがんばれよ」と思うこともあるけれど。

 読売新聞『編集手帳』によると、寺山修司は競馬が大好きだったらしいのですが、その競馬にまつわる、今でいう、ちょっとした「炎上」がありました。ある牝馬が中央から船橋に移籍した際、「あの美しい馬がアバラヤのような小屋の中で」と事実にない批評をしたところ、船橋の森誉騎手から抗議文を受け取りました。偏見を恥じた寺山はすぐさま森に面会を求め謝罪、そこから友情が育まれました。

 朝日新聞『天声人語』によると、競走馬の名付け方には、いくつかルールがあるそうです。●カタカナで二文字から九文字であること●過去のG1レースで優勝した馬と同じ名前は認められないなど。逆に、それらを満たせばわりと自由に名前を付けることができるらしい。

 どうして『編集手帳』も『天声人語』も競馬関連の蘊蓄が載ったのか、といいますと、風力発電を巡る汚職事件で逮捕された秋本真利容疑者の話に繋げるためです。国会で開発業者に有利になる質問をして、賄賂を受け取った疑いがあり、贈賄側の社長と共通の趣味が競馬なのです。資金は競走馬の共同購入に使われていました。

 国のために政治してほしいけど、いつもお金のためにしますよね。いくらいっても馬耳東風、馬の耳に念仏、いや馬に失礼やろ。

蠱惑暇(こわくいとま)

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