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いプラスう=ゆ

自分のことを「ワクイ」という次男は小学1年生。平仮名と片仮名を覚えたところです。私は昨年からハングルを勉強しており、最近はNHKの語学講座でロシア語講座も聴いておりますが、語学の勉強をしていると、平仮名や片仮名の勉強をしていた小学1年の頃に戻ったような感覚があります。同じ土俵ではありませんが、なんとなく、同じ地平に立ったような気がするのです。語学の勉強は私の知る限り、いちばん手っ取り早く若返りができる手段だと思います。 
 
覚えたての頃は、いろんな疑問が出てくるものです。大人はわからないことを知ってるフリしてごまかす・・という術を身に付けてしまう分、覚えようという努力を怠りがちになるものです。 
 
今朝、学童保育に連れていく途中にワクイが私に質問してきました。 
「ねえねえ、“い”と“う”はくっつくとどうして“ゆ”になるの?」 
どういうことかと言えば、「言う(いう)は言う(ゆう)になるでしょ?」と言うものですから、私はその着眼点が実に羨ましくなりました。私たち大人は・・と一般化してはいけないかもしれませんが、少なくとも私は「言う(いう)」が「言う(ゆう)」になることについて、もはや気にする感性が腐ってしまいました。私と同じくらい年を重ねた人のなかには「言う(ゆう)という言い方は間違いだから、言う(いう)と言う(いう)ようにしましょう」なんてことを言い出すかもしれません。 
 
しかし私は、「言う(いう)」を「言う(ゆう)」と言う(ゆう)のは決して間違いではないと思う者です。とりあえず私は、「言葉って、固くなくて、柔らかいものだから、使っているうちに、言いやすい言い方に変わっていくものやねん。言う(いう)も言いやすいから言う(ゆう)に変わっったんやと思うで」と答えました。 
 
そう答えたあとで、他に何か例はないだろうか?と、学童保育に連れていく間、ずっと考えていました。途中、足を止めて考えてみましたが、やはり咄嗟には出てきませんでした。こういう話題は好きなほうなだけに、すぐに例が出てこなかった自分が情けなくなりました。年を重ねるごとに、本当に反射神経が鈍くなった。脳みそには、それなりに大きな引き出しを何個も持っているつもりではいるのですが、いかんせん、どこの引き出しにどんなものが入っているのかわからないし、必要なものを必要な時に瞬時に取り出すことができません。こうなると、大きな引き出しなんて何個も持っているだけ無駄な気がしますが、これはこれで、持っておかないと碌にインターネットで検索することさえできなくなります。 
 
学童保育にワクイを預け、職場のパソコンで私はさっそく「音便」を検索しました。ベネッセ教育情報サイトによると、「音便」とは、 
 
もとの音の一部が発音しやすいように変化することで、動詞の音便の種類は、イ音便・促音便(そくおんびん)・撥音便(はつおんびん)。形容詞の音便は、ウ音便があるそうです。例えば、五段活用の動詞の連用形が「て(で)」「た(だ)」などに続くときや、形容詞の連用形が「ございます」などに続くときに変化します。 
 
もう少し詳しく例をみていくと、 
「歩く」という動詞は「~ます」に続くときの連用形は「歩き(ます)」ですが、 
同じ連用形でも「~て(で)」「~た(だ)」に続くときは、音が変化して、 
「歩き+て」→「歩いて」「歩き+た」→「歩いた」となります。 
 
音便の種類をみていくと、 
イ音便は「て(で)」「た(だ)」の前の音が「~い」の音になります。 
「急いで」「聞いた」などです。 
促音便は「て(で)」「た(だ)」の前の音が「~っ」の音になります。 
「言って」「行った」などです。 
撥音便は「て(で)」「た(だ)」の前の音が「~ん」の音になります。 
「読んで」「飛んだ」などです。 
また、形容詞のウ音便は、 
「ございます」の前の音が「~う」になったりします。 
「よろしく+ございます」で「よろしゅうございます」です。 
 
と、こんなことが書いてあったのですが、私の探していたものとはちょっと違うようです。おそらく、私の探しているものは「雰囲気」を「ふいんき」と言ったり、「原因」を「ゲーイン」と言ったり、「全員」を「ゼーイン」と言ったりする、あれなんだと思います。こういうのって、書き言葉としては失点なんだと思いますが、読む分には読みやすいように変化しているんだから、頑なに踏ん張らなくてもいいんじゃないかと私は思います。ハングルの「합니다(ハムニダ)」も、本来なら「ハプニダ」と読むはずですが、「プ」が「ム」になったのは、おそらく、「そのほうが読みやすいから」でしょう。専門的なことは何一つわかりませんが、 
話し言葉に関しては「最も自然な形」に変わっていくようにできているのが言語だと思います。自然すぎて疑問すら出てこないその変化を敏感に感じ取り、「どうして」と聞いてきたワクイのことを私はなかなかやるな!と思ったんですが、(この「思ったんですが」の「ん」も本来は「の」ですよね。たぶん)親ばかかしら。 

#令和3年8月10日  #コラム #エッセイ #日記
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