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令和6年読書の記録 土屋健『古生物出現!空想トラベルガイド』

 今は化石でしか見ることのできない古生物が、もしも現代の日本に蘇ったとしたら、どこでどのように暮らしているだろうか? ナウマンゾウやカムイサウルスが街を闊歩し、翼竜が空を飛ぶ、そんな「もしもの世界」を旅してみよう。架空の旅のガイドブックを通して、北の古生物展誤記・北海道から、おなじみ恐竜王国・福井、さらには関東、中部、近畿まで、化石の発見が相次ぐ古生物天国・ニッポンの魅力を味わい尽くす。想像力をかき立て、早速本書を携えて古生物と"触れ合う"旅に出たくなる一冊。

↑カバーそでの解説引用

 『古生物出現!空想トラベルガイド』ですから基本「空想」なんですが、現在までの古生物研究の研究結果をベースにしており、そのことが「芯」として本書を貫いているため、「空想なんですよ」という約束事を隠して『地球の歩き方』にこのまま掲載したら普通に読者は信じてしまうんじゃないか、というくらい、妙にリアリティのあるトラベルガイドです。

 本書の前半三分の二くらいは、古生物研究の成果に基く空想トラベルガイドですが、後半三分の一くらいには「前半の空想はこういう事実や研究結果をもとに書いているんですよ」という丁寧かつ親切な解説が掲載されており、著者のサイエンスライター土屋健さんと、全国各地の博物館の学芸員さん、研究者の方たちが、大人気なく(といったら言葉が悪いですね、ごめんなさい!)童心を忘れず、軽い悪戯心込みで前半の空想トラベルガイドを作成していったことや、それを作成する前段階でも、子供のような好奇心でもって古生物研究に取り組み、古生物に慈しみをもって接しておられることがよくわかる、愛情に満ち溢れた一冊だと思います。

 この本を手にとる多くの人は古生物に興味がある人だと思いますが、古生物に興味がない人にこそ、この愛情と好奇心と悪戯心の詰まりまくった本を読んでほしいです。学校の教科書もこんな本ばかりならいいのに。

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