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日航123便:御巣鷹山の悲劇と私の不思議な縁【稲川淳二オマージュ】

これは私、生涯忘れることはありませんね。

日航の123便っていうジャンボジェットが御巣鷹山に落ちたんですよね。大惨事ですよ。
実はこの飛行機に私乗ってるはずだったんですよね。というのもね、あの頃私健康ものの番組やってました。
「稲川淳二のためになる話」って番組です。で、その時に、和田美容研究所の和田こうたろうさんという方、私の友人なんですよね。
彼が手伝ってくれたんですよ。

あの当日なんですがね、私すごく具合が悪かったんですよ。立ってられないんだ。どうにも具合が悪い。
まぁ撮影はやったんですが。そうしましたらね、和田さんが「稲川さん、これ飲んでくださいよ。うちの研究所で開発したもんなんですけどね」って言うんですよ。
「あぁどうもありがとう」ってそれをもらったんです。まぁ撮影が済んで、こうたろうさんの方はというと大阪に用があったんですよね。
それですぐ空港に行っちゃった。本来乗る飛行機が決まっていたんですけど、早く済んだもんだから123便に乗っちゃったんですよね。
私はというと、具合が悪かったから次の日の朝一番の新幹線で大阪に入ろうと思っていました。それが運命の分かれ道でした。

今でも私、彼の顔覚えていますよ。笑って「稲川さん、これ飲んでくださいよ」って言っている顔。彼も髭があります。
お父さんの和田しずおさんがよく「稲川さんと似ているんだよねぇ、うちのせがれ」って言うんですよ。大好きな友人でした。
ところが皮肉なことにその番組の担当をしていたディレクターが、御巣鷹山の現場に飛ばされました。

真っ暗ですよね。道がないわけだ。這い上がっていくんですよ、物を掴んで。でも怖い。近づいていくと油の匂いと焼け焦げたような臭い。
そして血の匂いが鼻を突くんで「うわー!」と思った。でも道がないからみんなはい登っていく。困るのは何かを掴んでしまった時。
でもライトはつけられない。見るのが怖いから。あまりにも悲惨だから。登っていると何かが手にぬるっと触るっていうんですよ。
上の方から音がするので見てみると、木の枝から何かがブラブラとぶら下がっているんです。

「稲川さん、たまらなかったよ…」と話をしてくれました。どのくらいすごかったかというと、遺体を調べていると、ひとつの遺骨にもう一つの遺骨が入っていたそうです。
衝撃でハマっちゃっていたそうです。事故の凄まじさというのはすごいですね。地獄ですよね。

帰ってきた彼が、服を脱いでズボンを脱いで、お母さんに「これ捨ててくれない?」って言ったそうです。
それで疲れきっているからそのまま寝ちゃったそうです。夜中になると

「兄貴兄貴、兄貴」

見ると彼の弟が、「兄貴あれ見てくれないか?ちょっとおかしいんだよな」
弟に起こされたので「えー」と思っていると室内に生乾きの洗濯物が。お母さんがロープを張って洗濯物を干していた。みんなきちんと干されている。
なのに弟さんが指をさした「兄貴あれ見てみなよ」と言った洗濯物は、その洗濯物だけゆらゆらと揺れていたそうです。

「稲川さん、その服とズボンだけど、私がおふくろに捨ててくれって言ったその服とズボンなんだよ。おれ御巣鷹山から何か持って来ちゃったのかなぁ」って言ってました。

(了)



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