見出し画像

HIITは有酸素運動の代わりにならない

こんにちは。理学療法士のこうやうです。

今回は

HIITと有酸素運動

について書いていきたいと思います。

タバタ式などのHIITが流行った時期があり

今でも脂肪燃焼目的などで

よく使われるトレーニング方法となっています。

巷では

「有酸素運動の1時間分に相当する」

というような表現もされます。

ですが有酸素運動とHIITは

全く違う運動なのに同じような効果を

もたらすのでしょうか?

それについて

私なりに書かせていただきますので

よろしくお願いいたします。

それでは始めます。


HIITとは

HIITですが

High Intensity interval training

の略称で

タバタ式などが有名ですね。

10秒休憩20秒全力ダッシュ×8セット

というように

休憩と高強度運動を交互に

繰り返していく構成になっています。

私も陸上部だった頃によく実践していました。

やればわかるんですが

本当にキツイんですよね。

筋トレ界隈でも

有酸素運動は筋肉が減るから

HIITがいいという流れもあり

今はかなり広まっている印象を受けます。

ではHIITが優れているのかというと

私は決してそうではなく

有酸素運動とは全く別物と考えています。

心臓への負荷の掛け方

まず2つの運動は

心臓への負荷の掛け方が全く違います。

実はトレーニングをすると

心臓、特に左心室も肥大していきます。

この肥大の方向には2種類あり

遠心性肥大(伸張性肥大)
求心性肥大(短縮性肥大)

と呼ばれます。 

1)から引用

遠心性肥大は持久運動を長期的に続けると

もたらされる肥大の仕方で

トレーニングは有酸素運動があたります。

求心性肥大は瞬発的な運動を長期的に続けていくと

もたらされる肥大の仕方で

いわゆるウェイトトレーニングがあたります。

ではHIITはどちらに該当するのかというと

全力かつ短い秒数を何回も繰り返す運動のため

求心性肥大が当てはまるといえます。


ここで負荷の種類を説明していきます。

容量負荷ですが

簡単にいうと

心臓が通常以上に拍出量を増やさなければいけない状況

になる負荷です。

拍出量を増やそうとすると

心臓自体を大きくする必要があるため

遠心性肥大をします。

圧負荷は

血管系のもつ抵抗に対し圧力を持って心臓が血液を拍出する

負荷のことをいいます。

心臓がより強く血液を拍出するために

求心性肥大を起こします。


このような肥大があるわけですが

この肥大から見ると

有酸素運動の代わりにHIITをやることが

どれだけリスクなのかわかります。


肥大方向がもたらすリスク

リスクが圧倒的に大きいのは

求心性肥大です。

なぜかと言えば

心臓部の硬化が起こるからです。

圧負荷がかかり続ける状態は

高血圧となり

やがて心臓が硬化し、左心室の拡張機能障害を起こします。

これが結果的に心不全へと繋がり

急死へと至ります。
  
では遠心性肥大はそうでもないのかというと

リスクはあり、

遠心性肥大を繰り返すと

心筋が薄くなり、結果的に収縮機能障害が起こります。

どちらも同じ心不全はわけですが

収縮機能障害は薬物で改善できるものがありますが

拡張機能障害を改善させるものはないため

治療が難しくなるのです2)。


結局のところ

バランスが重要なわけではありますが

昨今フィジーク、ボディビルブームがあり

有酸素運動をやけに避ける傾向にある

人が非常に多いです。

そこでHIITを加えるとなると

心臓に圧負荷をかけ続けることになり

脈拍数も上昇して、息切れが多くなったり

交感神経が優位になって力が抜けないようになったりと

長期的にみるとリスクが多すぎます。


筋肥大や脂肪燃焼にしか目がいかない

死に急ぎ野郎は勝手にやっておけばいいですが

長きに渡って運動を楽しみたい方は

人と話せるぐらいの負荷ぐらいの

ジョグをお勧めします。



むやみやたらに

キツイ運動をすることは

割とリスクな場合があります。   

健康になるためにも

いろいろな視点から運動を考えていきましょう。



本日はこれで以上です。

ここまで読んで頂きありがとうございました。



参考文献

1)木下 訓光:スポーツ心臓は生理的適応か 心臓 Vol 48 No.2(2016)p122-126
2) https://www.ompu.ac.jp/u-deps/tho/intro/shinzo/benmaku.html

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?