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「疼痛の悪化」は悪いことではない

こんにちは。理学療法士のこうやうです。

今回は

疼痛の悪化

について書いていきたいと思います。

実は

最近自費リハビリにて、クライアントを悪化させてしまい

口コミでほぼ名指しでクレームをいただきました。

そのため、めちゃくちゃに落ち込んでたのですが

2年前ぐらいから入っている

Medical Emergence Group

にて

ATCの川尻さんと八スポの穐山さん(explain painの講師)に

「痛みが悪化した症例に対してどう信頼関係を作るか」

という質問をさせていただき

その回答に

とてつもない感銘を受けたので

ここで記事にさせていただきます。

よろしくお願いいたします。

それでは始めます。



タイトルの通りではありますが

結論から言うと

痛みの悪化は悪いことではありません。

これをなぜか説明するには

「揺らぎ」について知る必要があります。


  


「揺らぎ」

は実はそこまで難しい概念ではありません。

振り子をイメージしていただければと思うのですが


人間は調子が常に一定ではなく、良くなったり悪くなったりと不安定な中で生きている

人間は調子が「悪い」「良い」を行ったり来たりしています。

そこはみなさん生きているのでわかると思います。


では長年、痛みを持っている方はどうなっているかというと

下の図みたいな状態です。

振り幅が小さくなり、調子が一定に近づく。「安定的」な状態。

常に痛みがあるわけですがそこから変わらないのですから

調子が一定的、つまりより安定していくわけです。

ちなみにこの安定は必要ですが、

慢性疼痛をもっているかたにおいてはそこまでいいものではありません。

これは人体が

「これ以上は変化したくないよ!!」

と言っている状態です。


ですがそんな中で私たちセラピストは身体を変化させていきます。

これは振り子の振り幅を

大きくするための作業です。

運動療法であろうが徒手療法であろうが構いません。


痛みの改善には

まずこの振り子を動かすことから始めなければいけないのです。


ではそのように考えると

痛みの悪化は悪いことなのでしょうか?

察しのいい方は理解していると思いますが

悪化はまぎれもなく振り子を動かした反応なんですよね。

つまり

これから良くなるためのスタートダッシュが切れている

ということです。

痛みの悪化は「変わらない」よりはるかにいいわけです。

悪化させたことは

治療プログラムの完全な否定どころか

肯定的な反応とも捉えられます。

実は

痛みが悪化した時こそ、治療を継続していくべきなのです。

私の落ち度は

悪化した際に施術の提案をできなかったことですね。

悪化したまま、振り子を動かさない状態に戻すと

そりゃ悪化したままに決まっています。

もったいないです。

これから変わる準備がもうできているのに。


ここで重要なのは

このようなことは患者がいい反応を示してから

知識を共有するといいってことですね。

何の効果も感じていないのにこのようなことをいうと

説得力に欠けてしまいます。

ですがいい反応のときにこのような知識を共有しておくと

いざ痛みが悪化した時にポジティブに捉えることができるので

痛みの悪化が辛いだけのマイナスイメージではなく

痛みとの向き合い方を学ぶ教育の機会に変わります。

前回の記事とのつながりにはなりますが

「自分のせい」と落ち込んでいる暇があったら患者と向き合え

ってことですね。

悪化はこれから変わる可能性を示してくれているわけですから。



このような知見をくれた

川尻 隆 さん(SASS Centrum,Inc代表)
穐山 大輝さん(八王子スポーツ整形外科 理学療法士)
門間 昭さん(NEXPORT新小岩店パーソナルトレーナー)

に感謝いたします。

ありがとうございました。


本日はこれで以上です。

ここまで読んでいただきありがとうございました。

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