腰部脊柱管狭窄症2回術後でもしびれが残存していた症例
こんにちは。理学療法士のこうやうです。
今回もえせ症例報告をしていきたいと思います。
この方も通所リハビリに通われている方なのですが
腰部脊柱管狭窄症の手術を2回受けているのですが
それでもしびれは治らなかったどころか
もっと強くなったとの訴えがあります。
この症例を通して
いい教訓が得られたので
記事にしたいと思います。
よろしくお願いします。
それでは始めます。
症例の特徴
この方は主訴として
腰背部中心のしびれ・疼痛の訴えがあります。
そしてその疼痛が出るタイミングがはっきりしないとのことです。
本人は「固定に使った金属が神経に当たってるからかなぁ」
という感想を持っています。
この発言からも術後に疼痛が増強している様子が伺えます。
そして腰背部に特に圧痛所見はなし。
しかしながら臀部の触診をしていると
深層に指を入れた際に疼痛の訴えがありました。
NRSは7~8。
私の触った感じでは
梨状筋の筋緊張+を感じました。
この症例についてまとめると
・腰背部中心の痛み・しびれ
・腰背部に圧痛所見なし。
・痛みに明らかなきっかけなし
・梨状筋の筋緊張が高い
といった感じです。
私の考察
この特徴から容易に考えられるとは思いますが
しびれや痛みの原因は
狭窄症によるものではなく
梨状筋症候群ではないか
と推察しました。
その仮説の検証をするために
梨状筋のマッサージや滑走運動を行いました。
すると
しびれや痛みはなくなりました。
そのため仮説は実証され
梨状筋が原因であることが分かりました。
ここから学んだことは
診断された病名と病態が一致しないことがある
ということです。
ですから私たち理学療法士は
医者が診断した病名を完全に信じてはいけません。
つまり何が原因なのかを見抜く技術が必要であるということです。
そのためにも触診技術が重要であるというわけです。
園部俊晴先生でいうところの
組織学的推論というものです。
今回の腰部脊柱管狭窄症という診断はされてはいますが
高齢であればなにかしらの変性があるのは当たり前です。
ですから介入する際にはまず
「本当にこの診断が正しいのか」
という意識を持って取り組むのが重要だと思います。
しかしこれは決してDrの方を否定しているわけではありません。
Drの方は限られた時間の中で診断してくださっているわけですから
むしろ処方をくれたことに感謝しなければなりません。
ですからDrが診断するための
もう一つの目の役を担っているのが私たちの職業だと思います。
理学療法士単独で治療をするのは患者さんにとって
あまりいいことではありません。
他職種が協力しあうことで最高の医療を提供できると
私は考えていますので
連携を大事にしていきましょう。
今回はこれで・・・・・
いえ、本題はここからです。
先ほどの話はさまざまなPTの方が情報を発信してくださっているおかげで
私が言わなくてもみなわかりきっていることだと思います。
この話には続きがありますので
興味のあるかたは読んでください。
最大の問題点
痛みやしびれの原因を見つけた私は
非常に調子に乗っていました。
「よっしゃ、俺が先に原因を見つけたぞ!」
と思ってカルテを書いていました。
そして興味本位にカルテの過去をさかのぼったのですが
こう書かれていました。
「外旋筋群のリラクゼーション後痛み・しびれが消失」
そうです。
私よりさきに原因を見つけているひとがいたのです。
そしてとてつもなくがっかりしました。
たしかに私でも見つけられるのに
他の人が見つけられないわけがないですから。
自分の不甲斐なさを改めて自覚しました。
そしてこのコメントですが
いつに書かれているのか日付を見ました。
するとなんと日付は
R1.3
なんと三年前でした。
つまり
3年も前から原因がわかっているのに全く治っていない
ということです。
このようなことになったのは簡単に推測が付きます。
外旋筋群のリラクゼーション
つまり対症療法しかできていなかったからです。
何年も前からリラクゼーションを続けているのに
何度来ても同じ痛みを訴えている。
全く治療になっていないんですね。
梨状筋のスパズムが高くなる原因を
突き止めていない・または治せていないということになります。
私もその一人になるところでした。
ここから学んだことは
痛みがとれたらその先を考えなければならないということです。
痛みがとれて思考停止してしまえば
それは施術者の自己満足で終わってしまいます。
この症例を通して
患者さんを治すには
考え抜く想像力と探究心が必要だと感じました。
臨床技術はまずあとです。
過去のブログでも書きましたが
患者さんを治すのは技術ではなく考え方であると
再認識しました。
「使えない知識は無駄」というかたもいますが
想像力に知識は不可欠なので
私は勉強を続けようと思います。
まとめ
・対症療法はどうやっても対症療法に過ぎない
・臨床技術より臨床推論が重要
今回はこれで以上です。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
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