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筋トレをしてはいけない筋力低下4選

こんにちは。理学療法士のこうやうです。

今回は

筋力低下

について話していきたいと思います。

よくMMTで測って正常な数値が出ないと

筋力低下と判断され

その部位の筋トレを処方されます。

しかしこのプログラムが逆効果な場合があります。

それは筋力低下の原因が筋疲労の場合です。

筋疲労しているところに

筋トレをするなんて鬼畜そのものですよね。

このような状況はありふれているように感じたので

私なりにまとめて伝えたいと思いますので

よろしくお願いします。

それでは始めます。



①knee in toe out動作を呈する症例の股関節外旋筋群筋力低下

knee in toe outとは文字通り

膝が内方を向き、つまさきは外方を向いている姿勢です。

よく前十字靭帯損傷の関連するものとして挙げられる動作ですよね。

この動作を呈する人の関連因子としてあげられるのが

股関節外旋筋群の筋力低下です。

これに関しては

筋骨格系のキネシオロジーにも書いてあるぐらいなので

有名ですよね。

「だから外旋筋群を鍛える」

ということでクラムシェルのようなエクササイズを処方するわけです。

これは私が受けてきた講義の中でも

様々な先生方が主張しています。

しかし私はこれには反対です。

なぜかといえば

knee in toe out動作は

股関節外旋筋群を働かせないとできないからです。

例えば立ち上がりを例にあげます。

座位から膝を内側に入れて

そこから伸展相に入り

立位姿勢になって終わります。

この立位姿勢になって終わるとはどういうことでしょうか。

少なからず膝は前に向いているはずです。

つまりがっつり股関節外旋動作を行っているんです。

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この時点で本当の意味で

股関節外旋筋群の筋力低下を呈しているのか

疑問に持たなければなりません。

何より決定的なのが

始動する時点で膝が内側に入っているということは

股関節外旋筋群が伸張位で

筋力を発揮せざるを得ない状況ということです。

これは筋力がないと行えないものです。

ですからknee in toe outに対して

股関節外旋筋群の筋トレは逆効果と考えます。


②圧迫骨折患者の脊柱起立筋の筋力低下

圧迫骨折患者の脊柱起立筋の筋力低下も

有名な話ですよね。

ではまずなぜ筋力低下が起きているのでしょうか。

私はこの原因は

円背姿勢にあると考えます。

円背姿勢は体幹屈曲位にあり

圧迫骨折のリスク因子として挙げられる

高齢者に多く呈する姿勢です。

脊柱起立筋は体幹伸展位に作用します。

つまり円背姿勢では伸張されている状態です。

そう、これも先ほどのknee in toe outと同じで

伸張された状態で筋発揮をせざるを得ない状況です。

脊柱起立筋

しかもこの姿勢は座位であれ、立位であれ、歩行であれ

維持されているわけですから

脊柱起立筋からしたらたまったものではないはずです。

ですから圧迫骨折に限らず

円背の人には基本的に

脊柱起立筋の筋トレは必要はないと考えます。


➂トレンデレンブルグ跛行を呈する中殿筋筋力低下

これはしつこくいっているので簡潔にいうと

中殿筋の筋力低下→トレンデレン  

ではなく

トレンデレン→中殿筋筋力低下

ということです。

トレンデレンブルグ歩行は

内的股関節外転モーメントが過大な歩行ですから。

中殿筋は疲れるに決まっています。

詳しくは過去の記事をご参照ください。


④変形性膝関節症の患者の大腿四頭筋筋力低下

4つ目は膝OAの大腿四頭筋の筋力低下です。

この大腿四頭筋の筋力低下はなぜ起こるのでしょうか。

まず膝OAになる原因について解説します。

膝が変形する原因として

腸脛靭帯の緊張が挙げられます。

腸脛靭帯が緊張することによって

膝蓋骨が外方に引っ張られ変形に至るわけです。

では腸脛靭帯が緊張するのはなぜか。

それは

膝屈曲位での荷重です。

この時点でわかると思いますが

膝屈曲位での荷重は

内的膝伸展モーメントが正常に比べて

大きくなるはずです。

つまりおのずと大腿四頭筋が使われます。

1パターンに聞こえるかもしれませんが

この場合の筋力低下も

やはり筋の使い過ぎということですね。


なぜこのような勘違いが起こるのか

結局なぜこのような勘違いが生まれるかというと

バイオメカニクスの理解が乏しいからだと私は考えます。

関節モーメントや重力、床反力の関係性を理解するだけで

筋の働き方はおのずとみえてくるはずです。

バイオメカニクスは

毛嫌いしている人が多い印象がありますが

内容は簡単です。

なぜかといえば

解剖学や生理学とちがい

法則にのっとればわかるからです。

一番理解が速くなるのは自分で筋トレをしてみることだと思います。

疲れる筋肉や硬くなるところを認識できれば

十分です。


筋力が上がってくる症例もあるのはなぜか

しかしおのずと筋力が戻ってくる症例があるのも事実です。

これはなぜかというと

私は

活動量の低下に起因していると考えます。

疼痛があれば外出の機会は減りますし

入院していれば特にやることもありませんから

普段と比べてベッドで過ごすことが多いです。

つまり高齢者の場合は治っているどころか

活動量が低下して廃用症候群に一歩近づている可能性があるということです。

自己満足のリハビリとならないように注意しましょう。



本日はこれで以上です。

ここまで読んでいただきありがとうございました。

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