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【連載】第3次本州紀行~苫小牧→八戸→仙台→苫小牧~ 第5話「微睡」一ノ関~小牛田 ※ホテル禁止

(4)一ノ関駅~小牛田駅「微睡」

ここまでの東北本線の乗客はすべて同じく、そこそこの乗車率だったが、小牛田行の列車も例外ではなかった。程好いローカル感を醸し出しながら、列車は仙台方面へと向かっていく。

朝2時くらいに目が覚め、5時前に八戸港に着き、そこから徒歩と普通列車だけでここまで来ている。先ほど昼食も終えた。
するとどうなるか。
「眠気」だ。眠気が襲ってくる。さすがの私も睡魔には勝てず、微睡み始める。もっともその前に、向かいの席のおじさんはいびきをかいてぐっすり眠っていたがwww
服装からして完全に地元民だろう。まあ終点までお互いゆっくり眠ろう。
睡眠の代償として景色が楽しめないのは残念…と言いたいところだが、ここも単調な風景が続く。とはいえ、盛岡~一ノ関よりは開けた景色が見えるので、特段悪いわけではない。途中下車に値しそうなローカル駅も見受けられる。
ただ、私の脳が休息を欲していて、景色に意識を向けることができない。この区間は次の楽しみにとっておき、しばし眠ろう。
列車は田園地帯を走行しつつ、終点の小牛田駅に到着する。

小牛田(こごた)駅。交通の要衝



小牛田は東北本線のほか、陸羽東線、石巻線が分岐する交通の要衝なのだが、新幹線は通っていない。短絡できる古川駅が新幹線停車駅に選ばれたため、高速交通のターミナルとしての役割はそちらに譲り、小牛田はローカル交通のターミナルに変化した。そのせいもあって、3路線乗り入れのターミナル駅としてはひっそりとしている。芸備線の備後落合駅をプチ都会にしたような感じだろうか。諸行無常を感じずにはいられない。
途中下車したいのだが、次の列車がすぐ到着するらしいので、ホームで列車を待つ。小牛田で降りた乗客は殆ど次の仙台行に乗るようだ。
なぜ仙台まで直通させないのか、いささか疑問ではあるが…。

向かいのホームから陸羽東線・鳴子温泉行の普通列車が発車した。鳴子、旅愁を誘う地名だ。高校生数人と地元民十数人を乗せたローカルムードたっぷりの列車が静かに小牛田駅を発車していく。混雑確定の仙台行列車よりこっちに飛び乗りたい所だが、今回は仙台に行かなければならない。忍耐、忍耐だ。
列車は25分程度遅れてやってきた。これなら途中下車して探索する時間があったのに…と内心私は悔しがるが、その声はどこにも届かず私の中でこだまするだけだ。
その声もやがてかき消され、待望の仙台行の列車が入線してくる。
いよいよ旅も後半戦だ。気を引き締めていこう。まあ乗ってるだけなんだけども。
仙台、そこにはどんな光景が待っているのだろうか。
(続く)

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